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第42回全日本競歩能美大会
兼 Asian 20km Race Walking Championships in NOMI 2018
兼 ジャカルタ2018アジア競技大会 男子・女子20km競歩代表選手選考競技会
併催 第12回日本学生20km競歩選手権大会
3月18日(日)日本陸上競技連盟公認能美市営20kmコース(往復2.0km)
Men Asian 20km Race Walking Championships
1位 及川 1:21’32
男子全日本 20km競歩
2位 及川 1:21’32
15位 石川 1:27’22
16位 成岡 1:27’28
34位 山下 1:30’39
学生選手権男子 20km競歩
1位 及川 1:21’32
11位 石川 1:27’22
12位 成岡 1:27’28
27位 山下 1:30’39
勝負強さを見せ、総合2位でゴールした及川
表彰式では笑顔を見せた
初の20kmのレースに挑み、奮闘した石川
成岡はスタミナに課題を残すも健闘を見せた
山下は積極的なレース運びをし、大学生活最後の大会を終えた
春の暖かさも感じられる気候の中、第42回全日本競歩能美大会(以下、全日本)が開催された。アジア選手権、学生選手権が併催して行われている今大会に東洋大からは4名の選手が出場。及川(済4=愛知)がアジア選手権と学生選手権で優勝を飾るとともに、全日本でも2位に入るという輝かしい成績を収めた。
及川は「15kmまでは集団の中で力を溜めて、そこからが勝負」というプランを立てながらレースに挑んでいく。その言葉通り15kmまではトップ集団の中に位置取り、他の選手の動きをうかがっていた。そして15kmに入ると、大きくレースが動く。前回大会でも優勝を果たした松永(H28年度工卒=富士通)が一気にペースを上げ、集団から抜け出したのだ。しかし及川はそのペースに付いていけず、2位を藤澤(ALSOK)と争う一騎打ちの展開に。藤澤は2月に神戸で行われた日本選手権で及川に勝った実力者であるため、一層歩きに気合が入る。温存していた体力を使い、一時は松永よりも速いペースで1kmを刻んでいく。「ラストでは勝負強さが見えた」と酒井監督が語るように、徐々に藤澤との距離を離していく及川。4年間の思いを込めた圧巻の歩きで、見事総合2位でフィニッシュ。アジア選手権、そして松永が3連覇していた学生選手権において優勝を飾るという結果に及川は「ホッとした」と語り、笑みを浮かべた。
石川(済2=横浜)と成岡(工1=伊賀白鳳)は今大会が初の20kmレースとなった。両選手とも前半はトップ集団に果敢に食らい付いていくも、後半にペースダウン。監督も「20kmをしっかり歩けるスタミナと歩型をやっていきたい」と語っており、今後のレベルアップに期待が高まる。
山下(総4=富山商)は及川とともにこれが大学生活最後のレースとなった。「自分の悔いの無いようなレース展開にしよう」。そう心に決め、前半から積極的に集団の前方でレースを進めていく。しかし故障明けで練習も十分に積めていないことが影響し、徐々にペースが落ちていってしまう。悔しさが残るレースとなったが山下は「課題を克服していきたい」と実業団での飛躍を誓った。
競歩王国と呼ばれる東洋大。今後、そんな強豪校を担っていく後輩たちに及川は「何も心配していないので、のびのびとこれからも伸びていってほしい」と期待を寄せる。目前に迫ったトラックシーズン。昨年度、悲願の表彰台独占を果たした関東インカレに向けて後輩たちは先輩たちの思いを継承していく。
■コメント
・酒井監督
及川はアジア選手権の日本代表でもあった。しっかりアジア選手権で優勝できて良かった。学生の中ではトップとなり、松永(H28年度工卒=富士通)が3連覇してそれに次ぐ4連覇となった。全日本に関しては藤澤(ALSOK)選手に全日本競歩で負けていたので、今大会では勝てたので良かった。レースに関しては、松永が飛び出したところに付いていけなかったにしろ、ラストでは勝負強さが見えた。歩型も非常に安定していた。(山下は)故障上がりということで練習不足だった。前半が良くても後半に落ちてしまった。社会人でも続ける子なので、しっかり練習を継続できるようにしてほしい。(石川は)後半10kmのラップが非常に落ちているので、歩型も安定性に欠けていたので課題が残った。(成岡は)警告が何枚か出て、後半の歩きに課題もあった。石川と成岡は今大会が20kmの初のレースなので経験を積んだ。後半が大事だと分かっていながら大分ラップが落ちているので、20kmをしっかり歩けるスタミナと歩型をやっていきたい。(今後に向けて)競歩はインカレでも得点源なので、しっかりインカレというものをメインで考えていきたい。一方で世界と勝負する種目でもある。先日スイスのルガノで池田が優勝、川野が3位とやってきた。やはりここから世界に勝負できるようなところは引き継いで、松永や及川のような国際大会で活躍をできるような選手を育てていきたい。
・及川(済4=愛知)
(レースプランは)想定はしていなかったが、藤澤さんや松永さんという実力のある先輩方がどう動くか次第で変わってくるなと思っていた。どんな状況でも対応できるように準備していた。(結果について)ホッとしたというのが一番大きい。(レース展開は)今回はタイムというよりは順位を争う勝負のレースだったが、どこまで我慢できるかというものだった。15kmまでは集団の中で力を溜めて、そこからが勝負だと思っていた。余裕があっても集団の中から出たりせずという勝負のレースだった。15kmの勝負所では藤澤さんとの一騎打ちで、自ら仕掛けてチャレンジしていきながら競り勝つことができたのでそこに関しては自信につながるレースとなった。(大学での4年間を通して)一年一年を思い出せば、どのレースも自分にとって思い出深いレースだ。ここまでやってきて、2月の日本選手権で自己ベストを更新することができたりと4年目で力を発揮することができた。監督も忙しい中、長距離と同じように競歩ブロックも最後まで面倒を見てくださったお陰だと思っているので、改めて感謝したい。(後輩たちへ)今期の1年生はとても力のある子たちで2、3年生も非常にみんな頑張っている。非常に頼もしい後輩たちだった。自分が4年生でブロック長だったが、後輩たちから刺激をもらってばかりで、逆に自分もやらなきゃという気持ちを後輩たちにつくってもらった。特に何も心配していないので、のびのびとこれからも伸びていってほしいと思う。
・山下(総4=富山商)
東洋大学のユニフォームを着る学生としての最後のレースだったので、自分の悔いの無いようなレース展開にしようと思って臨んだ。(収穫や課題は)やはりこれが自分の実力だと思うしどんな状況であれ、このようなふがいない結果を出してしまったのは最終的に学生のうちの自分の課題になったなと思うので、これから社会人で自分は競技をやらせていただける機会をいただいたので、そのチャンスを無駄にしないように課題を克服していきたいと思う。(今後の進路は)地元富山の東条うどんといううどん屋さんで、東洋大学のOBの方がやられているところ。自分は競技メインでサポートをしていただける環境で、競技を続けさせていただく。(先輩の松永選手はどういう存在か)1年のときからたくさん迷惑を掛けたしたくさん怒られたがたくさん励まされたすごい偉大な先輩で、一度も越えることはできなかったがこれから社会人というところで戦う限り、やはり倒さなくてはいけないし憧れで終わってしまっては松永さんにも申し訳ないので、松永さんを越えることで恩返ししたいと思っているのでこの気持ちを忘れずに、社会人として頑張っていきたい。(後輩たちへ)後輩はすごく強くて自分自身は何も残してあげられなかったのかなと少し悔しいが、これからも自分は競技を続けるしお互いを刺激しあって普段刺激をもらってる分、後輩たちにも刺激を与えられるような先輩であり続けられるように社会人でも頑張りたい。
・石川(済2=横浜)
レースプランとしては目標が1時間23分台だったので(1kmあたり)4分20秒ぐらい行こうと思っていて、タイムとかよりも順位が上を目指して頑張ろうと思っていた。できれば後半も切り替えて上げていけるように行きたいと思ってはいたが、実際レースだとあんまり後半上がらず、逆に落ちてしまい結構苦しい感じになってしまった。(レースを振り返って)今まで後半落ちてしまってそこを頑張ろうと思っていたが、今回も後半落ちて、特に一人になった時は自分でペースを作れなかったのでそこが反省するところが多かったと思う。(今後の意気込み)20kmっていうのがなかなか結果が出ていなくて、1万mとかはなんとか勢いとかでいっている部分があるが、20kmだと勢いだけでは無く正確な動きとかが必要だと思うので、次はトラックになってくるが、しっかりトラックをやって次また20kmで結果を出せるようにしていきたいと思う。
・成岡(工1=伊賀白鳳)
初めての20kmということで、この1年結構貧血とか故障続きでいろいろあったが、今回初めて20kmに出場させていただいて最初は集団に付いて余裕を持った状態で10kmを通過して、残りの10kmでしっかりビルドアップして争っていくというプランだった。(収穫や課題は)今回のレースで最初の5kmを20分36秒くらいで通過したが、ある程度前よりかは10kmの通過も42分10秒くらいだったので9月ぐらいと比べて、10月以降故障していたが少しずつ調子が戻ってきていると実感したので、あとは残りのラスト10kmで粘りきれなかったというのは課題だと思う。しっかり練習の中で後半のビルドアップだとか、体づくりという部分でもまだまだ後半になってからフォームが崩れたりだとか、いろいろ課題が見つかった。次はトラックシーズンになるが走る距離が短くなる分、スピードとかが必要になってくるのでそれに合わせてメニューとかを決めていきながら修正して、次は関東インカレに向けて選考に入れるようにしっかりやっていきたい。(今シーズンを振り返って)マネージャーの仕事をさせていただきながら選手としてやらせていただいているが、やはりマネージャーとしてチームを支えている分いろんな人の支えがあって自分が競技をできているんだということがこの1年痛感した。大学として箱根駅伝だとかそういう部分でもマネージャーという仕事がどれだけ大切か、故障して練習できない分そういうマネージャーの仕事に徹したことで仕事の大切さを感じた。故障とか体調不良とかいろいろあったがそういう経験があるからこそ2年生3年生になってしっかりやっていけると思うので、ポジティブに捉えてやっていきたいと思う。
TEXT=小野由佳莉 PHOTO=小野由佳莉、松井美乃、稲村真織