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2018.04.24
アイススケート

[アイスホッケー]熱戦を繰り広げ、強敵である明大に7季ぶりの歴史的勝利!!

秩父宮杯第66回関東大学アイスホッケー選手権大会

4月22日(日) 東伏見ダイドードリンコアイスアリーナ


東洋大5-4明大(OT)


[ゴール(アシスト)]

17:49 阿部(武部、柴田)

39:13 阿部(柴田、佐藤)

42:09 所(猪狩)

45:01 渡邊(古川誠、中村)

64:53 柴田



2得点を挙げたFW阿部


体を張ったセーブを見せるGK水田


 FW柴田のゴールで勝利を決めた



 決勝リーグ第2戦目は昨年度の学生氷上選手権大会(以下、インカレ)決勝戦でも敗れ、7季もの間勝利を収めていない明大との試合。1ピリで先制点を許してしまうが、PP(パワープレー)のチャンスを逃さずに得点を奪い返す。両チームとも一歩も譲らない試合が続き4-4で3ピリが終了。試合はOT(オーバータイム)に突入した。緊張感の漂う中、FW柴田(社4=武修館)のシュートが決まり見事5-4で歴史的勝利を果たした。

 

 1ピリ開始6分、PPの局面でチャンスをものにすることができず、その直後、明大に先制点を許してしまう。両者ともにパックを奪い合い、なかなか攻めることができない。1ピリ終了まで残り2分のところで、再度PPのチャンスが訪れる。FW柴田のパスからFW阿部(社4=白樺学園)がパックを押し込み最初の1点を決め、試合を振り出しに戻した。


 続く2ピリでは開始3分、明大に1点を奪われ、またしても1点を追うかたちに。果敢にシュートを打つものの決まらず、2ピリが終わろうとしていた。しかし、2ピリ終了まで残り47秒のところで流れが変わる。シュートを決めたのは1点目を獲得したFW阿部だった。これで2-2の同点となり、シーソーゲームを展開し2ピリを終えたまま3ピリへ。


 「1ピリ、2ピリは東洋のホッケーができなくて、噛み合っていないホッケーだった」と古川誠主将(社4=白樺学園)。気持ちを切り替え、迎えた3ピリでは白熱した戦いを見せた。スティックが飛ぶほど激しく、得点が入ってもおかしくない場面が何度もあった。両チームとも一歩も譲らない攻めのプレーで熱戦を繰り広げる。開始2分、FW猪狩(社2=駒大苫小牧)のパスからFW所(社3=駒大苫小牧)がシュートを決め逆転。「久々に点数が決められて本当にうれしかった」と今大会初ゴールに喜びを見せた。さらにその3分後PPの局面でDF渡邊(社4=日光明峰)がロングシュートを放ち2-4と点差を突き放す。また「今日の勝ちはGKのおかげ」とFW阿部、「GK水田に助けられた試合」とGK古川駿(社4=八戸工大一)が語るように、GK水田(社3=駒大苫小牧)も明大の鋭いシュートに対して体を張ったセーブを何度も見せた。「チームのみんながシュートやブロックをして守ってくれていたので自分も頑張ろうと思った」とGK水田。しかし明大も負けてはいない。立て続けに2点を奪われ、残り3分で4-4と同点に。さらには残り1分、混戦でGK水田が負傷しGK古川駿と交代。その後、明大の猛攻を守り抜き同点のまま試合は延長戦に持ち越された。


 5分間のOT(オーバータイム)となり、得点が入れば試合終了というサドンデス方式の延長戦。両チームともパックを奪い合い、相手に流れを渡さない。シュートが放たれる度、会場では歓声や落胆の声があがった。途中出場のGK古川駿は「プレッシャーは半端なかった」と語りながらも明大からのシュートを何度もセーブ。緊張感の漂う中、勝利を手にしたのは東洋大だった。ラスト7秒でFW柴田が相手GK目前まで迫り、そのままパックをゴールへ。今シーズン初得点となるFW柴田のこのゴールで5-4と明大に見事勝利。実に7季ぶりとなる明大戦の勝利に会場からは歓声が上がった。


 昨年度のインカレの雪辱を果たし、7季ぶりの歴史的勝利。「先に点を取られても精神的に崩れないで、なんとかしがみついていったというところに少し成長が見られたのではないか」と鈴木監督は選手の健闘を称えた。「今日が大事な試合だとみんなで話した。今日勝てないと今シーズン明大に勝てないくらいの気持ちで臨んだ」とFW柴田は語った。チーム一丸となって戦い抜いたこの1勝は選手たちにとって大きな1勝であることに違いない。



◼︎コメント


・鈴木監督

チームとしては内容がよくなかった試合だったが、その中でも要所をしっかりと抑えて最後は本当に精神的なところで努力して勝ちきれたと思う。(チームの調子は正直、全然スケートもできていなかった。やはりもっとスケートしてフィジカルに戦うホッケーというのがチームの目指しているところなので、そこの内容には届いていなかったと思う。昨日(中大戦)の今日なので選手たちには難しいところはあったと思うが、最後は選手の努力で勝つことができたゲームだった。GKの途中交代について水田がゴール前の混戦でけがをして古川が出ざるを得ない状況だった。すごく難しい状況の中のスタートだったが、本当に素晴らしいセーブで勝利に導いてくれた。勝因はある程度気持ちのアップダウンはあったと思うが、その中で先に点を取られても精神的に崩れないで、なんとかしがみついていったというところに少し成長が見られたのではないかと思う。(次戦に向けて次の試合はチームにとって1番大切なゲームになるので、メンタル、フィジカルを準備したいと思う。


・FW古川誠主将(社4=白樺学園)

素直に嬉しい気持ちはある。だが60分勝ちしないと優勝はないっていう形だったので、60分で勝って終わりたかった(明大に勝利するのは7季ぶりだったが)何年振りとかっていうのは僕たちは意識していなかった。入学してから一回も明大には勝っていなかったので、この試合がすごく大事な一戦になるっていうのを貴人さん(鈴木監督)からも言われていた。リードされても絶対気持ちで負けないようにプレーしようって話をしていた。(試合を振り返って)1ピリ、2ピリは東洋のホッケーができなくて、噛み合っていないホッケーだった。それでも明大にこれだけやれるっていうのは、やっぱりいい選手がいて、やはり今までやってきたことが出せている結果なんじゃないかと感じた。(延長戦の時の意識)僕らはもう負けても失うものはないので、絶対点数を取りにいく、っていうのを僕と出口が試合に出ていた時には考えていた。(よかった点)リードされてもちゃんとピリオド内に追いつけたってことがすごくよかったことなんじゃないかと感じた。(勝利が決まった時)正直いって僕もOT(オーバータイム)ではすごくチャンスがあったのに、今日はそれを結果につなぐことができなかった。自分自身はすごく悔しい思いもあるけれど、チームが勝ったっていうこの勝利が大事な1勝だと思う。次の最終戦も春通してベストゲームをできるようにこの1週間でもう一回しあげていきたいと思う。(MVPは)けがしてまでゴールをきっちり守ってくれたGK水田に渡した。


・GK古川駿(社4=八戸工大一)

チームのみんなが走って当たった結果。勝てて良かった。GK水田に助けられた試合。ナイスセーブがあったからこそ後半まで接戦の試合になったし最終的にオーバータイムに勝つことができて良かった。(途中出場について)まず、ここで出るの?と思った。プレッシャーはめちゃくちゃ半端なかったが、チームメイトみんなが頑張っていい試合をつくってくれたので自分も止めてチームに貢献できたらと思った。勝ちたいと思った。(アイスタイムを無失点で抑えたが)無失点で抑えられたのは良かった。6分しか出てないが、何年も勝てていない明大に勝てたことはうれしい。(次戦に向けて意気込み)早大戦勝って気持ちよく関東選手権を終われればと思う。


・DF渡邊(社4=日光明峰) 

みんな立ち上がりがあまりエネルギー無くて、監督に一言言われてベンチから盛り上がっていこうってことで声掛けて少し改善されて点数を入れることができた。最後点数が追いつかれてしまったのは、ゲームの戦い方だったり気持ちの問題が少なからずあったと自分では思う。久しぶりにゴールを決めれた。最近あまりいい調子ではなかったがこういうビックゲームで決めれたことはいいことだと思う。(中大に負けて)みんな落ち込んでいて明日頑張ろうって言っていたが、まだ気持ちの準備ができていなかったから1ピリでエネルギーがなく、監督に怒られてしまった。(明大には7季ぶりの勝利だが)僕個人的には明大だからとか法大だから中大だからっていうのはあまり気にしないでするべきことをするって考えて戦っているので、あまり意識しなかった。でも、入学して以来勝っていなかったのでうれしい。(課題は)スタッフにも言われたが、(昨日の中大戦は)ゲーム内容も良かったけれど勝てなくて、今日は悪かったけど少し良くなって勝てたってことで、そこがホッケーのすごい難しいところで悪くても勝てたっていうのは次の成長につながると思う。(早大戦にむけて)1週間あるのでしっかり準備してやるべきことをみんなでやれればいい結果につながると思うので個人個人準備して臨みたいと思う。


・FW柴田(社4=武修館)

最後勝ち切れたのはチームにとって良かった。内容を通すと、最初から自分たちのホッケーができなくてそこから立ち直ることができたのは監督の一言のおかげ。立て直せたのが良かった。監督の一言で立ち直るんじゃなくて、自分たちの気持ちで立ち直るというのは今後の課題でもある。勝ち切れたのは良かったので次の早大戦につなげたい。(監督には何を言われたのか)簡単に言えば怒られた。ちゃんとやれと、今までの自分たちのホッケーをちゃんとやれと言われた。(どういう意気込みで臨んだか)昨日(中大戦)ああいう形で負けて、明大にも7年くらい勝ててなくて今日が大事な試合だとみんなで話した。今日勝てないと今シーズン明大に勝てないくらいの気持ちで臨んだ。(7年ぶりの勝利について)個人的には東洋大OBに兄がいたので、ずっと勝ててないのが悔しかった。今日自分のゴールで勝ててうれしい。(ゴールについて)今シーズンあまり調子が良くなくて、今日はゴールに向かう姿勢を目標にしてやってきた。2ピリの阿部のゴールのアシストで要所要所で見えてきて、ゴールに向かったのがあの1点につながった。(今の気持ちは)うれしい。(次戦に向けて意気込み)今は目の前の一戦を戦うしかないと思っている。次の早大戦も自分たちのフィジカルで早いプレッシャーのホッケーをして勝ちたい。


・FW阿部(社4=白樺学園)

チームのみんなが明治を倒して絶対勝つという気持ちはあったので、結果はどうであれみんな体張っていい試合ができたと思う。(昨日からの気持ちの切り替えは)昨日負けて終わったが、まだ優勝が無いってわけではなかったので、チームでそこを確認して今日の明治戦に臨んだ。(今日2得点ですが)自分自身、絶対決めてやるっていう気持ちはずっとあってそれが最後に僕が決めるという形になっただけで、そこまでの過程が大事。だからラインメイトにすごく感謝している。(7季ぶりの明大からの勝利だか何か対策はしていたか)目の前にある相手を倒すだけなので、一週間ごとにその相手は変わっていくのでそこまで意識はしていなかった。(試合前のミーティングで話したことは)フィジカルなスケートっていうのが東洋の持ち味であって、そこを第一に掲げていた。あとはコーナーで一対一負けないとかシュートブロックだったりというのを一番最初に確認して試合に臨んだ。(試合後のミーティングは)みんな盛り上がっていい気分で終わった。(泣いてる人は)もうGK水田は軽く泣いていた。肩脱臼してまで止めてくれたので、今日の勝ちはGKのおかげかなと思う。(次戦に向けて)優勝は難しいんですけど来週の早大戦に向けてみんなで一から練習して、絶対勝って春終わりたいと思う。


・GK水田(社3=駒大苫小牧)

すごく苦しい展開も続いて、最初から最後まで時間が長く感じられたが、歴史的勝利ということで、そこはやっぱり自分を褒めてあげたいと思う。(自身の調子はそんなに立ち上がりはよくなかったが、チームのみんながシュートやブロックをして守ってくれていたので自分も頑張ろうと思った。(チームの調子は)よかったが、昨日(中大戦)の敗戦が少しいたかったので次に向けて頑張りたいと思う。(途中交代したあとは)本当に頑張ってほしい、それだけだった。(次戦に向けて)あと残りの大会全部のタイトル取れるように頑張りたいと思う。


・FW所(社3=駒大苫小牧)

全体としては中大戦と比べて良くなくて、いまいちな感じだった。勝てて良かった。個人としては毎試合毎試合、コンディション作りはしっかりやってきているので今回はしっかりやることをやれて、点数を決められて良かったと思う。昨年の秋の明大戦からゴールを全然決められなくなってしまって、久々に点数が決められて本当にうれしかった。決められない間はずっと悩んで、友達とか家族とかに相談していた。今年はチェックとか我慢しながらやっていたが、この試合はガンガンチェックとかいって、そうしたら自分のプレーがうまくできたのでそれが点数につながったのかなと思う。(チームとしては)中大戦よりも走っていなかったり、相手にパックをすぐ取られたりするプレーが多かったので、そういったところが良くなかった。(7季ぶりの明大戦勝利は)練習試合とかで引き分けとかはあったが、僕が入ってから初めて勝った。明大に勝てたというだけでけっこううれしかった。(次戦に向けて)いいホッケーができればまた点数にもつながると思うので頑張りたい。



TEXT=岡村珠里 PHOTO=金澤瑞季、外狩春佳、伊藤なぎさ、川口朋珠、越塚日南