Article

記事


2018.07.16
ボクシング

[ボクシング]日大に惜敗 「自分の持てる力は出せた」

71回関東大学ボクシングリーグ戦

 

7月14日(土)後楽園ホール


東洋大 3-6 日大

 

【LF】●川谷(判定)松本◯

【F】●福井(判定)飯村◯

【B1】◯堤(判定)村田●

【B2】●田村(判定)金子◯

【L1】○木村蓮(判定)神足●

【L2】◯今永(RSC)根岸●

【LW】●中川(判定)鈴木◯

【W】●原田直(判定)荒本◯

【M】●田中(判定)石灘◯

主将としてチームを引っ張った原田直

最終戦は黒星となったが今季5戦4勝を挙げた福井

毎試合チームを活気づけた中川

最優秀選手賞を受賞した堤

今試合で唯一のRSC勝利をした今永L級の階級賞を受賞した木村蓮




    最終戦の相手は前年度の王者日大だ。勝てば2位、負ければ4位という苦しい状況の中、ベストメンバーで試合に臨む。



    LF、F級を判定により落としてしまった東洋大。この流れを断ち切ったのはB級の堤(営1=習志野)だ。ゴングとともに激しい打ち合いが繰り広げられる。2、3Rも相手の動きを読みながら着々とパンチを決めていき5-0で判定勝ちをもぎ取った。文句なしの勝利を決めるも堤自身は「スタミナ不足や体の強さがまだ弱いとはっきりした試合だった」と内容に納得はしていない。来季リーグ戦でさらに成長をした堤の活躍に期待が掛かる。



    B級を終えた時点で勝敗は1―3とまだまだ苦しい状態が続く。しかし続くL級、木村蓮(営3=飛龍)と今永(営1=王子工)の二人が鮮やかに勝ち星をさらった。木村蓮の相手は苦手としていたリーチの長い選手だったが、自分の距離をとり確実にパンチを叩き込んでいく。相手の攻撃はしっかりと避け最終的に5-0で判定勝ちとなった。今永は「チャンスがあれば攻める」との言葉通り果敢に攻めていった。ボディを中心に攻めていき、開始2分44秒でカウントを取った。勢いそのままに2R目も相手のタイミングをしっかり読み取り相手の動きを封じ込めていく。そして3R目の開始23秒で日大側からタオルが投げ込まれRSCでの勝利を決めた。



    これで白星数は並んだ。会場も一気に盛り上がる。ここで登場したのは中川(ラ4=高知)だ。相手のガードが固く苦戦しつつパンチを打つ。激しい打ち合いとなったが審判により手を挙げられたのは日大の選手だった。もう後がない状態でリングに上がったのは主将、原田直(営4=崇徳)だ。応援にも一層力が入りみんなが声を枯らしながら背を押す。開始のゴングが鳴り、原田直はボディを中心に攻めていく。パンチの応酬が続き、最後のゴングが鳴った時に東洋サイドでは誰からともなく拍手が起こった。しかし、審判があげたのは日大側の手だった。どよめきが挙がるが無情にも試合は進んでいく。
 最後にリングに立ったのは田中(文2=享栄)だ。顔を中心に攻めていき素早いパンチを繰り出すも相手に一歩及ばず。判定により黒星となった。



    「要所要所で勝ちきれなかった」と三浦監督は振り返る。しかし各選手はよくやったと労いの言葉も添えられた。今年は涙を飲む結果となったが来年こそはと闘志に燃える。木村蓮、堤、今永が来季の中心になることは間違いない。そこに加えて他の選手がどれだけ伸びてくるかがリーグ戦勝利へのカギとなってくる。主将の原田直も後輩たちへ「来年に向けてチームとして力をつけてほしい」と言葉を残した。来年度、進化を遂げた東洋大ボクシング部がリングに戻ってくる。


■コメント

・三浦監督

優勝チーム日大に土をつけてやろうと思いベストメンバーをそろえてぶつかった。だが要所要所で勝ち星を落としてしまった。出だしのライトフライ級とフライ級を落としてしまったのが1番大きかったかなと思う。あとはライトウェルター級、ウェルター級の4年生の部分で互角以上の戦いをしたがジャッジの支持を得られなかった。そこが1番痛かった。向こうももちろん強いメンバーを揃えてきているため勝負所で勝ちきれなかったという感じ。ただ選手たちはリーグ戦最終戦になって、自分の力を発揮できるようになってきた。自分の持てる力は出せている選手が多かったと思う。ライト級の今永は1年生でリーグ戦初めの2戦は連敗してしまったが、後半の3戦は連勝して今日も勝った。タイミングをしっかり読んで、日大の選手を完全に封じ込めて何やっても勝てないと思わせられた、非常に良いボクシングをした。高校生チャンピオンで鳴り物入りで大学に入ってきたがやはり大学の壁というのは当然あって、それに最初はつまづいていた。だが、日に日に良くなってきて、最終の日大戦は良い内容の勝ち方で1番成長が見られた。バンタム級の堤に関しては力のある選手だから、その力をしっかりと存分に発揮してくれて、4戦中4勝という結果で終わっていた。今日も村田昴(日大)というすごく強い選手にあたってはいたが、戦略的に向こうの動きを序盤で把握して、読んで確認して試合を組み立てることができていた。勝ち切ったというのができたからすごく大きな勝ち星だったと思う。この二人は、非常に良かった。(リーグ戦全体として)レギュラー選手、最上級生の4年生は頑張ってはくれたが、ここぞというポイントで星を落としたりがあった。勝ってくれ、というところで勝ちきれなくて今年は4位という結果になった。だが各選手はしっかりやってくれた。3年生の木村蓮あたりは安定感があって4戦4勝だった。来季に向けて考えるとその木村蓮、今永、堤あたりを軸として、プラスで他の選手が成長して来なければいけない。どこの大学でもそうだが計算して勝ちきれる選手はいる。その上でプラスαで成長してくる選手が優勝へのキーポイントとなる。今季に関して言うと、何名か勝ち星を計算できる選手はいたが、新たに成長してくる選手が少なかった。その辺りを来季に向けて立て直していかなければならない。


・原田直(営4=崇徳)

この3週間で調整してやってきたことは出せたかなと思う。試合は負けたが自分の持ってるものは出せた。(チームについては)すごいいい雰囲気だった。同期の久野とか黒川も声枯らして応援してくれてるのを見て、最後だからっていうのもあるがアップしながら涙目になるくらいすごいいい雰囲気だった。いいチームだったなと実した。来年もこの同期と応援に来たいなと思う。(後輩に対して一言)今日は後輩がしっかり勝ってくれたから盛り上がれたし、力は絶対に他の大学に負けてないから試合に出る選手だけじゃなかてチームとして力をつけて来年に向けてやっていってほしい。(主将としての1年間は)主将として何か出来たわけではなかったからもっと厳しく言えれば良かった。でも東洋らしさのあるいいチームになったなと思う。


・堤(営1=習志野)

自分の良いところ、悪いところが出た試合だったかなと思う。スタミナ不足や、体の強さがまだまだ弱いというところがはっきりした試合だった。(負けている中でリングに上がった時の気持ちは)前の2人は負けてしまったが、すごく頑張って試合をしていて、自分も最大限に力を出さなきゃいけないな、というそれだけの気持ちで試合に挑んだ。(リーグ戦の総括)この大学リーグ戦の雰囲気にもまだ慣れていなくて少し緊張してしまって、今回全ての試合があまり良くない試合だったので、来年はしっかりと克服して全勝したいと思う。


・木村蓮(営3=飛龍)

リーチの長い相手が自分は苦手なので、少しは苦手意識はあって、単発になりすぎた部分はあったが、パンチもらわずラウンドごとは取ってったっていう感じがあった。リーチが長いのでブロッキングして狙おうと思ったが、途中噛み合わなかった。でもその噛み合わなくなっても、しっかりラウンドごとは取っていたのでよかった。(リーグ戦全体を通して)内容よりもリーグ戦は勝つことが大事なので、全部出た試合で勝てたことはよかったなとは思うが、チームが勝てなかったことは。来年自分が4年で一番上の代なので、しっかり後輩も下からあげてって来年こそは優勝したい。


・今永(営1=王子工)

(今日の調子は)前回や、毎週の試合と変わらず、いつも通りだった。相手の情報がなく不安なところもあったが、まず1R目では相手の出方を見てチャンスがあれば攻めようと思っていた。内容として雑になったところも結構あったから、これから練習してもっと完璧に近い試合運びができるように頑張りたい。カウントを取ったときは良いタイミングでパンチが当たったのでダウンが取れたが、まだまだ取った後のチャンスで決めきれなかったところがあるからそれは反省点。(初のリーグ戦の総括は)初めの方の試合では自分の油断もあり、実力がそんなものだったという感じだから、次のリーグ戦からは初めから勝てるように練習していきたい。


TEXT=中村緋那子/PHOTO=梅山織愛、松井美乃、岡村珠里、長枝萌華