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天皇賜盃第87回日本学生陸上競技対校選手権大会
9月6日(木)~9日(日) 等々力陸上競技場
▼2日目
男子100m予選
3組(風:-5.2)
1着 松尾 10”75 ※準決勝進出
4組(風:-1.4)
1着 宮本 10”36 ※準決勝進出
男子400m準決勝
1組
2着 ウォルシュ 46”10 ※決勝進出
2組
5着 吉津 47”77
男子1500m決勝
12位 中村駆 3’54”27
男子10000mW決勝
1位 池田 40’35”34
2位 川野 40’42”50
14位 長山 42’40”38
表彰式で笑顔を見せる同級生でもありライバルでもある二人(左から川野、池田)
宮本は決勝で多田(関学大)との直接対決が予想される
ウォルシュは大会3連覇に向けて3日目の決勝に挑む
全日本インカレ(以下、全カレ)2日目、10000m競歩では圧巻のレースで池田(済2=浜松日体)が優勝を果たした。それに川野(総2=御殿場南)が続き“競歩王国”東洋大がワンツーフィニッシュを飾った。さらに激戦必至の100m予選には松尾(総2=神辺旭)、宮本(法1=洛南)が出場し二人そろって各組トップで準決勝に進んだ。400m準決勝でもウォルシュ(ラ4=東野)が余裕のある走りで決勝進出。選手たちは次を見据え順当に駒を進めた。
関東インカレ王者として挑んだ池田は、スタート直後から後方で様子をうかがっていた。チームメイトで後輩の長山(済1=埼玉栄)が積極的に前に出ると、池田と川野もともに集団の前方で歩きを進める。池田が動いたのは4000m付近、上位集団が形成されると一気にそれを突き放しにかかった。池田に付いていったのは川野を含め5人。しばらくレースはこう着状態に入ったが、7200m付近で池田と川野がペースを上げまさしく二人の一騎打ちとなった。抜きつ抜かれつの攻防を繰り広げるも、8500m付近でついに池田が川野を20mほど引き離す。そのまま池田がゴールテープを切り、熱戦を制した。
レース後池田は、西塔(H25年度済卒=愛知製鋼)や松永(H28年度工卒=富士通)といった歴代の先輩たちと並び全カレ王者となった心境を「自分も同じように優勝できたことは素直にうれしい」と語り、安堵の表情を浮かべた。故障明けであっても池田と競り合い2位でゴールした川野や、1年生ながら一時レースを引っ張る攻めの歩きを見せた長山と競歩部門の強さは盤石なものになりつつある。酒井監督は「目指すのはやはり世界」とさらなる高みを選手たちに期待していた。全カレのタイトルを獲得した池田の新たな挑戦にも注目したい。
資格記録ランキングトップの多田(関学大)と決勝で争うことになる100m予選では松尾、宮本ともに落ち着いたレースで難なく予選突破を果たした。前日の4×100mリレーでまさかの予選敗退を喫したが、悪い流れを断ち切り100mでどこまで勝負できるかまたその記録にも期待がかかる。
さらに大会3連覇のかかる400m準決勝では、ウォルシュが余裕を見せつつ決勝進出を果たした。同じく準決勝に登場した吉津(ラ2=豊橋南)は惜しくも決勝にいくことができなかったが、4×400mリレーで悔しさを晴らす。
1500mに出走した中村駆(済3=西京)は集団の後方でレースを進めるが、なかなか前に出ることができず悔しい12位という結果となった。これから始まる駅伝シーズンに向けてラストの積極性など課題を再確認した。
競歩部門のメダル獲得にチームの士気も上がっている。3日目は決勝の種目も多く、より多数のメダルを獲得するべくこの流れに乗っていきたいところだ。
◼️コメント
・酒井監督
順位としての目標は1番、2番と長山が入賞という予定だったので、結果的に見ればトップ2は取れたが、長山に関してはまだ目標達成ができなかったと。勝ち方に関しては初めてのタイトルなので、池田の中では迷いもあったりいろいろなレースプランがあったので、今回は今回のレースパターン、またいろいろな勝ち方をつくっていきたい。川野は8月に一度故障したので、その中では今回いいレースをしたと思う。(1500mについては)最後のところがやはりまだまだ課題なのかなと。3周目ラップをしたところで、思い切ってもっと積極的に思い切りの良さっていうのも必要だったかなと思う。(競歩部門の今後の意気込みを)競歩部門は、学生の中ではもう勝たなきゃいけないところだが、目指すのはやはり世界なので、世界陸上やはり卒業生の松永が10000mで日本記録を出したが20kmのレベルがやはり高いので、そこで代表取るには世界を意識したトレーニングを実業団にも負けないくらいやらなきゃいけない。ただ、駅伝も考えれば同じブロックにそういう子がいることは、すごくいいことであるし、短距離にもジュリアンがいる。陸上部全体として世界陸上など狙っていきたい。
・池田(済2=浜松日体)
(レースプランは)4000で出て、結構中盤から早い段階で勝負を決めちゃおうという考えでいた。(実際はレースプラン通りには)いかなかった。出ることはできたが離すことはできなかったり、何度も川野に前に出られたり他大学の選手も付いてきたりとまだまだ課題が残っている。(長山選手の歩きはどう映ったか)長山にもしっかり入賞であったり3位が見える位置にいてほしいというふうに言っていて、しっかりそういった意気込みや気持ちが前面に出してくれたかなと。1年生らしく積極的なレースしてくれたのかなというふうに思った。(川野選手との競り合いのどこで出ようというのは決めていたのか)いやそれはお互いもう出し切るだけだなという感じだったので、どこで出ようというよりはお互いきつい中出し切ったのでどこで出ようというのは考えていなかった。(全カレ王者となって)強い先輩方が優勝されてきている日本インカレで自分も同じように優勝できたことは素直にうれしいし、ホッとした気持ち。(今後の目標は)次のレースが国体になるので、そこで10000mで優勝を狙って頑張っていきたいと思う。
・川野(総2=御殿場南)
(レースプランは)風がある中でのレースだったので6000mまでは後ろの方で隠れて、6000m以降は一気に突き放して1位2位まで絞れたらよかった。実際のレースでは、池田が4000mのところで出たのでその流れで一緒に出てそのままゴールまでいったという感じだった。(結果について)8月の序盤で左の臀部を故障してしまって、一時期練習中断していてその中での今日のレースだったので最低限のレースはできたかなと思う。(今後に向けて)10月に山形で行われる高畠競歩で50km競歩に出場しようと考えているのでそれに向けて切り替えて頑張っていきたい。
TEXT=稲村真織 PHOTO=小野由佳莉、小島敦希