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平成30年度東都大学野球1部秋季リーグ戦・駒大2回戦
10月10日(水) 神宮球場
○東洋大3x-2駒大
ようやく本調子に戻り始めた甲斐野
2イニング無失点と安定感を発揮
「今日は楽しめた」試合後、取材陣の前でそう語ったのはここ3戦で苦しみ続けたクローザー甲斐野(営4=東洋大姫路)だ。
延長十回、上茶谷(営4=京都学園)の後を受けグラウンド整備後の真っさらなマウンドに上がる。「今日は楽しめた。ここ最近との一番の差」と相手打者との対戦を心から楽しみ対峙し続ける。2死から味方の失策で走者こそ背負うものの、後続を二飛に打ち取るとマウンド横で大きく手を叩き感情を表に出す甲斐野らしい姿も見られた。続く十一回のマウンドにも上がった守護神。この回は空振り三振を2つ奪い、いいリズムでチームのサヨナラ勝ちをアシストした。
「苦しかったなぁ」。ようやく自分の仕事をできた安心感からかポツりこんな言葉が出た。振り返れば中大2回戦から3戦連続で中継ぎ失敗。これ以上失敗は許されない試合での登板に、「今日は心の中で『抑えたらカッコいいだろう』とか『やれる』と言い聞かせてた」と自らを奮い立たせ続けていたという。何かを変えようと模索している中で、前夜と今朝に「癖が出てるかもしれないよ」と杉本監督に言われビデオを複数人で見て確認を行う作業をした。「ないと思ってたけど、あった。今日は逆をつこうと思ってたところもある」と甲斐野はいつも通りのにこやかな表情で話し球場を後にした。
「明日も抑えたる」と満足しないクローザー。「俺が打たれたらダメ」と口酸っぱく言い続けたこの男が、明日も駒大打線をねじ伏せる。
■コメント
・甲斐野(営4=東洋大姫路)
今日は純粋に相手打者との対戦を楽しめた。昨日の夜と今日の朝にビデオを確認して、自分の癖を確認した。自分と思ってたところと違うところを玉井コーチに指摘されて、『なるほど』ってなった。ここ3戦いいところがなくて、苦しかった。さすがに自分でもメンタルにきた。普段だったら帰って調整なりをするんだけど、そういう気にもならないくらいに。でも、壁にはぶち当たるもんだって考えたら楽になっていい事がこの先あるっていう考え方にしてた。マウンド上では『抑えたらヒーロー』とか考えて、自分を奮い立たせてた。負けたら下の順位が見えてくる土壇場の試合だったし燃えるものはあった。
今日はいい投球ができたけど満足したらいけないと思う。壁に当たった点はまだ解消できてないけど、明日抑えます。
TEXT/PHOTO=須之内海