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2019.12.20
陸上競技

[陸上競技]冬の3連続インタビュー〜第2弾・長距離部門(前半)〜

 春、夏に行ってきたこの企画。今回は長距離部門を中心にインタビューし、今年1年の振り返りや今後に向けて意気込みを語っていただきました。その模様を3日間にわたってお届けします!


 相澤選手、今西選手、定方選手、渡邉選手へのインタビュー(取材日・11月24日、聞き手=稲村真織)



 先日の競歩ブロックに続いて長距離部門へ。東京箱根間往復大学駅伝競走(以下、箱根)を控え、まずは主将の相澤選手(済4=学法石川)にインタビューを行いました。主将としてもエースとしてもチームを支えるその背中は、一回りも二回りも大きく見えます。さらに、インタビューのなかで将来について色紙に書くようにお願いすると"マラソン日本記録更新!!"と力強く書いてくださいました。


ーー出雲全日本大学選抜駅伝競走(以下、出雲)・全日本大学駅伝対校選手権大会(以下、全日本)を終えて今年の駅伝シーズンの振り返りをお願いします。

まず個人としては2つの区間新を取って目標としていた記録というものはしっかり出たんですけど、出雲にかんしてはトップで渡すことができなかったのがすごく悔しくて、その分全日本はその借りを返してやろうと思って走ったので、全日本ではいい走りができたかなと思います。チームとしてはやっぱり3冠を目標にしていたのでまず1番最初の出雲では僅差で負けてしまいましたし、全日本にかんしても自分のとこで先頭に立てたんですけど、しっかり走らなくちゃいけない選手が差を広げることができなかったので負けてしまって、まだまだベストメンバーが全然そろわないというチーム事情のなかで課題なのかなと思います。


ーー収穫はありましたか。

昨年まで駅伝を経験したことのなかった三大駅伝未経験者がしっかり出雲で走れたということが収穫です。2区の大澤、宮下、宮下はもうちょっと走れたかなと思うんですけどあと定方の活躍がすごく出雲では光っていて、大澤にかんしても今年の箱根で10区を走って悔しい思いをしていてそれをしっかり今年の箱根では、という思いでやってくれていると思うので出雲でもいい走りをしてくれました。全日本でも多少他校のエースから離されてしまいましたけどタイム自体は悪くないので、これからも頑張ってくれるかなというふうに思っています。定方にかんしても4年生になってやっとチームの中心選手になりつつあって、すごく頼もしくて任せられる選手になってきていると感じます。


ーー全日本の区間新記録をもって三大駅伝全ての区間記録を持つことになりますが。

自分が入学したときは区間新記録を出せるとは思っていなかったですし、それでも今年にかんしては走る前から全部の駅伝で区間新というのは自分のなかで目標を立てていたので、どの区間でも出雲でも全日本でもあまり狙えない区間記録ではなかったのでしっかりそれを狙って走ることができましたし、全日本かんしても今までで1番いいレースができたかなというふうに思っています。


ーー今季は4年生の安定感が光っているように思いますが。

4年生が走らないとチームというのは成り立たないので、もちろん一人一人が自分がやってやるんだという気持ちで4年生は特にできているかなというふうに思います。定方とかも僕と今西は結構2年生のときから経験を積んできていますが、今シーズン初めて走ったばかりですけど自分が勝たなくちゃいけないという責任を持って走ってくれているところは、すごく4年生としていいと思います。


ーー全日本では渡邉選手の復帰もありましたが。

昨年1年間ほとんど春の日体大以来試合に出ていなくて、彼自身手術をしたりすごく苦しい思いをしたと思うんですけど、そのなかであれだけいい走りでトップと数秒差で持ってきてくれたというところはすごく頼もしいなと思いましたし、箱根に向けても距離は長くなるのでもちろんこれから彼も走り込まなくてはいけないんですけど、すごく彼が走れるようになってきたことで戦力も1枚加わったのでいいプラス要素になったかなと思います。


ーー先日の八王子ロングディスタンス回避はどのような意図でしたか。

全日本である程度のペースで入っていて自己ベストは更新するようなペースで入っていったんですけど、もちろん今後を目指す上では八王子に出ることも必要ではあるんですけど今の状態から考えても、出雲・全日本と2つレースを走ってからの八王子を走って箱根は、正直自分のなかではきついという気持ちがあって、一つ一つ壁をつくって走りたかったので今回は走らずに箱根はしっかりキャプテンとして走らなくちゃいけない大会なので、それに合わせた方がいいかなということで欠場しました。


ーー自身の将来については。

箱根は本当に通過点に過ぎないですし箱根駅伝が目標ではなくて、自分の1番の目標はパリ五輪のマラソンでメダルを取ることなので、今はそれに向けて必要なスピード練習をやっていますし、そのプロセスで10000でも来年しっかり結果を残せればいいかなというふうに思ってやっています。


ーー箱根で総合優勝するためには今何が必要だと思いますか。

やっぱり層を厚くすることが必要だと思うんですけど、今年は4年生が僕が入ってからのなかでも1番走れているかなと見てても思うので、まずは僕たちが引っ張るのはもちろんなんですけどその中間層の2年生とか3年生がしっかり走らなくちゃいけないですし、上級生がリードをつくって走ることが今必要かなと思っていて、これからまだあともうちょっとしかないんですけどまだまだこれからでも変われると思うので、やることをやっていきたいなと思っています。


ーー今のチームの状態はいかがですか。

だいぶ駅伝シーズンで故障している選手も戻ってきて走れるようになってきているので、出雲や全日本のときよりチーム状況としてはいいと思いますし、調子が上がってきてすごくいい状態ではあると思います。


ーー箱根の希望区間はありますか。

すごいどこを走りたいとかはないですけど自分としては2か4区をしっかり走って、チームの勝利に貢献できればいいなというふうに思っていて、2区であれば流れをしっかりつくって速いレース展開に持ち込むのが自分の仕事ですし、4区だったら大差を付けて流れを変えられる走りをできればいいなと思います。


ーー最後に箱根に向けて意気込みをお願いします。

もちろんチームとしては2年連続往路優勝はできているんですけど、復路で負けて総合2位3位となっているので今年こそは総合優勝をしっかり、もちろん往路メインのオーダーになると思うんですけど復路も全員が区間賞を取って稼ぐような気持ちで走らないと勝てないと思うので、一人一人が主役と思って走れるようなメンタルじゃないですけどつくっていきたいなと思いますし、個人としても2区であれば日本人最高記録の更新と4区と他の区間でもしっかり区間新を狙って走れればいいかなと思います。


ーー相澤選手、ありがとうございました!



 続いて相澤主将と肩を並べてチームを引っ張る副主将の今西選手(済4=小林)です。明るいムードメーカーなイメージがある今西選手ですが、インタビューからはチームのより深い部分に着目し課題の克服に努める真摯な姿が垣間見えました。


ーー出雲・全日本を終えて今年の駅伝シーズンの振り返りをお願いします。

今年は戦国駅伝と言われていて1つのミスで優勝候補から落とされるという、本当にそういう駅伝のなかで勝ち切れなかったというのは、自分たちの走りのなかでミスが出てしまったのが勝ち切れなかった原因かなと感じていて、それは走りというよりも生活面のなかで少し油断が自分たちのなかであったのが、結果として走りのなかで出てしまったのかなと。ミーティングを通して、みんなで意見が出たので残りの時間でそれをどうしていくかというのをみんなで話しています。


ーー収穫はありましたか。

出雲から新戦力というか初駅伝の選手が結果を出していて、層の厚さというのは昨年以上になってきているのかなと感じています。


ーー出雲・全日本ともに区間2位の好成績でしたが。

自分の走った区間がつなぎ区間というところのなかで、逆に区間2位だったというふうに自分は捉えているので、やはり区間賞を取り切れないというのは勝負に対して執着心がまだ自分のなかで足りなかったのかなと、反省点をすごい感じました。


ーー今季は4年生の安定感が光っているように思いますが。

最上級生の自分たちが走りで引っ張っていけてるというのはチームとしていいことだと思うんですけど、まだ生活面のなかで全く上に立てていないというのが現状なので本当にそこはもっと直していかないといけないところですし、まだ自分たちは走れていますけど後輩がミスするというのは後輩のせいではなくて、それも含めて自分たちのせいだと4年生は捉えているので。


ーー箱根に向けて準備していることはありますか。

ミスをなくすというのをまず前提として今取り組んでいるんですけど、本当にこのままだと箱根でもミスが出てしまうのでそのミスをなくすというところを、生活面からしっかり徹底しているところです。


ーー箱根で総合優勝をするためには今何が必要だと思いますか。

出雲と全日本は相澤の走りが本当に驚異的でチームの流れを変えてくれたんですけど、やっぱりそれでも相澤を生かし切れなくて相澤の貯金を使い果たしてしまうというレースが多かったので、いかにレースの相澤を生かしていくかというのがすごい大事になってくるし必要なところかなと思います。


ーー今回も6区が有力かと思われますが特別な準備はしていますか。

去年以上に力が付いている自信はあるので自分の走りをすれば区間賞は取れると思いますし、特に変わったことはしていないです。


ーー区間新記録も視野に入れているのでしょうか。

出たら出たという感じで…。やっぱり6区は天候とか状況に応じてタイムは変わってくると思うので、そこはなんとも言えないですけど。出たらいいかなという軽い気持ちですね。


ーーライバルになる選手は。

6区って意外と突如現れるんですよ。なのでなんとも言えないですけどやっぱりそう簡単に取らせてはくれないと思うので油断はせずに、東海も強い選手が来ると思いますし青学も小野田さんの経験値があるので強い選手だったり、誰が来るかはわからないですけど結果を残してくると思うので正直怖いです。


ーー自身が考える強みは。

自分は本能的な野性的な直感で走るタイプなので、あんまり計算して走るというよりかはもう最初の上りから全力でいくというのはずっと心掛けてきたので、そこはやっぱり伸ばしていきたいですね。


ーー追う方と追われる方、どちらがいいですか。

全日本はトップで走らせてもらったんですけど、やっぱりなんかなかなか満足いく走りはできなくて出雲のように前に獲物がいた方が追えるので、そっちの方が楽しいですね。


ーー最後の箱根になりますが意気込みをお願いします。

まだ一度も勝てていないのでやっぱりそこは勝ちたいという思いもありますし、相澤を優勝させてあげたいというのは4年生みんな思っていることだと思うので、本当に優勝させてあげたいですね。


ーー今西選手、ありがとうございました!



 今季、最も飛躍した選手といえば定方選手(工4=川棚)が挙がると思います。4年目にして三大駅伝初出走を果たすと、区間上位の走りで一気にチームの中心選手となった定方選手に、箱根へ向けた意気込みを聞きました。


ーー出雲・全日本を終えて今年の駅伝シーズンの振り返りをお願いします。

出雲で自分は走り切れなくて最終区間の6区を任せてもらったんですけど、先頭から13秒差の2位でタスキをもらって目の前に優勝があったのに、順位を1つ落として3位という結果に終わってそこで初駅伝の悔しさを味わってしまって、出雲と全日本の期間が短かったんですけどそれでも悔しさで少しでももっと力を付けなければいけないというふうに、全日本では先頭を1分以上詰める走りができて自分的にはレースを重ねるごとに成長しているというふうに感じています。


ーー三大駅伝の初出走となった出雲で、目の前でゴールテープを切られたときの気持ちは。

やってしまったなという気持ちですね。抜いてきた国学院の土方は、あのときもこのペースで走ってきたんだとびっくりしましたしどんどん上げていって、最後もラスト2kmで10秒ほど離されてしまってその離された光景と目の前でゴールされた光景は、終わって全日本まで悪夢のような感じでずっと頭の中で出てきました。


ーー区間順位や記録を見ると好走だったと思いますが、満足のいくものではなかったのでしょうか。

タイム的には良かったと思うんですけどそれ以上に周りがすごい走りを見せたので、やっぱり自分の今の力じゃまだ他大学のエースとは勝負できないなというふうに思いました。


ーー全日本は納得のいくレースになりましたか。

青学の吉田圭太とほぼ同率の区間2位で走れたことは自分のなかで自信になりました。ただ、中間の走りでそこで区間賞を取った田澤(駒大)との違いが出てしまったのかなというふうに思います。もっと中間で詰めていれば追い付くことができましたし、去年の山本修二さん(H30年度済卒=旭化成)であれば絶対あそこで追い付く走りをしていて、今までの東洋のエースの方々の走りだったら絶対先頭に追い付いてトップでタスキを渡していると思ったので、まだ自分の力は足りないなというふうに思いました。


ーー4年目の成長具合はいかがですか。

自分でもびっくりするくらい成長しているかなと。今までエントリーされて走れなくて去年の箱根では16人のメンバーにも入ることができなくて、本当に悔しかったですし今まで応援してくれている方々に申し訳ないなという思いがあって、3年間走れなかった分4年生では絶対に走らないといけないなという思いがあり、力が足りないのであれば誰よりも走るしかないなというふうに思って走り込んだ成果が、ようやく結果に出てきているのかなと思います。


ーー変わるきっかけは何かあったのでしょうか。

夏にチームから離れてアメリカの方で実業団の合宿に参加させていただいていて、そこでかなり走り込んできて監督も快く送り出してくれましたし、自分が不在のなか4年生にも迷惑をかけてしまった部分とかもあったんですけど自分1人で練習することができて、そこで気持ち的にも身体的にも大きく成長することができたと思います。


ーー練習はかなりハードだったのでしょうか。

そうですね。自分は走り込んできた自信はあったんですけどいざ外に出てみたらもっと練習している人たちがたくさんいて、自分の努力はまだまだだなというふうに思って自分が強くなるには日本一走り込んだという自信が必要なんじゃないかなというふうに思って、日本一の練習をしようと思ってそうすれば自信を持ってスタートラインに立つことができるというふうに考えて、それが自分の成長につながったと思います。


ーー4年間タフに記録会や大会に参加していましたが、自身が考える強みは何ですか。

自分は誰よりも練習する、故障はないですし練習できるというところが強みだと思って監督もそういう部分を見てくださって、いろんな大会に出させてくれたり自分が成長する上でのチャンスをたくさんいただけているというふうに思っています。


ーー大きな故障は1度もしていないのですか。

そうですね。まあ痛くても2日休めば治るくらいで、大きな故障はないです。


ーー箱根の希望区間はありますか。

2区か4区を走りたいです。相澤がチームにはいるので、相澤を生かす走りをしなければいけないので相澤が2区で走るのであれば4区でまた引き離す走りをしたいですし、4区に回すことができればそれは往路優勝に確実につながると思うのでそこで自分が2区でしっかり耐える走りをしたいなと思っています。


ーー今季は4年生の安定感が光っているように思いますが。

キャプテンの相澤が、みんなしっかり走ってくれるだろうと期待はあるんですけど、それ以上の走りをいつもしてくれていて相澤があんな走りをしてくれるなら、同じ4年生として自分たちがほかの大学に負けるわけにはいかないという気持ちがみんなのなかにはあると思います。


ーー最初で最後の箱根への意気込みをお願いします。

相澤が圧巻の走りをしてくれているのに勝たせてあげられないチーム状況が続いているので、相澤と勝つチームにしたいなというふうに思っています。


ーー定方選手、ありがとうございました!



 1年半もの間けがに苦しみ戦線離脱していた渡邉選手(済4=吉原工)は、全日本で復活を果たしました。主力としてこれまでチームを支えてきた渡邉選手の復活は、多くのプラスな影響を与えています。


ーー出雲・全日本を終えて今年の駅伝シーズンの振り返りをお願いします。

出雲はけがで走ることができなくて、全日本からになったんですけど全日本も万全の状態で臨むことができていなくて、まだ完全に治り切らない状態でレース自体も1年半ぶりなので、そのなかで最低限の走りはできたのかなというふうに思うんですけど、1年のときから駅伝で走らせていただいていたなかで区間6位というのは満足できる結果ではないと、自分では思っているので本当に6位じゃ恥ずかしいと思えるような状態というか、4年生としてもっと他の4年生は区間賞とか区間2位で3人とも走っているので、自分もそこと同じくらい走らなければいけなかったなと思います。


ーー全日本での復帰となりましたが、久しぶりのレースはいかがでしたか。

レース中も痛みがあってずっと苦しい、しんどいなという気持ちの方が大きくてなんとか走り切ることができてそこは少し安心というか、タスキをつなげたのは1つ安心できたというふうに思います。


ーー戦線離脱していた時期は何を感じていましたか。

1年半の間はほぼほぼ走れていなくて本当に正直苦しいとずっと思っていて、走るのが怖いとか嫌だなとずっと思っていて…。ただ、全日本を走って本当にいろんな人に応援していただいたり復帰おめでとうとすごい声を掛けてもらって、そういった周りの人の支えがずっとあったなというふうに改めて感じることができて、そういう人たちのためにもこれからしっかり走らないといけないなと思いました。


ーー今季は4年生の安定感が光っているように思いますが。

1月に先輩たちが抜けて自分たちが最上級生になって、それからずっと練習も離れていてチームに何も貢献することはできていなかったんですけど、相澤を始め今西や定方とかも本当にチームを見て練習面や生活面でいろいろ気遣ってくれていて。自分はその間見ていることしかできなくてリハビリでチームを少し離れる期間もあって、そこは周りの4年生がチームを離れている間もすごい見てもらっていたので感謝していますし、走りでも生活でも引っ張ってくれるとそれが駅伝シーズンのみんなが安定して走れている要因なのかなと思います。


ーー最後の箱根に向けて意気込みをお願いします。

まだ入学してから1度も三大駅伝での優勝を味わったことがないので、これからもう少し状態を上げてチームの総合優勝というのをしっかり達成できるように、チーム一丸となってやっていけたらと思います。


ーー渡邉選手、ありがとうございました!




 明日も長距離部門の特集の後半をお届けします。お楽しみに!



◆冬の3連続インタビュー・一覧

第1弾:競歩ブロック

第2弾:長距離部門(前半)

第3弾:長距離部門(後半)

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