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2019.12.27
硬式野球

[硬式野球] ”神宮に立つのは俺たちだ” スポトウ的来年度の注目選手紹介  第2日目酒巻翔内野手

再び頂を奪取するためには何が必要なのか。公式戦全試合に帯同、オープン戦にも足繫く通ったスポトウ記者が来年度の活躍が期待される各学年の投打のキーマンを紹介する。




 第2日目は酒巻翔(営3=成田)。スケールの大きい右の大砲として期待され続けているこの男がついにラストイヤーを迎える。


「歯がゆい」。酒巻のここまでを振り返ると、この一言が浮かぶ。2年春の全日本大学野球選手権大会2回戦。代打で出場すると、九産大の左腕、岩田の変化球を一閃。「打った瞬間。完璧」と自らも振り返る打球は加速をやめぬまま東京ドームの左翼席に突き刺さる。惜しくもチームは敗れたが、新たに現れた右の大砲に嘱望が集まった。しかし、187センチ90キロの恵まれた身体を生かした豪快な打撃は、影を潜めていくことになる。


 期待され2年秋に臨むも打率.234と思うような結果を残せず。チームも4連覇を逃してしまった。「4年生ともう野球ができないのか」。偉大な存在との別れに目を赤らめ、悔しがっていた。中でも、「あの人のような打者になりたい」と憧れ続けていたのは中川(H30年度法卒=オリックスバファローズ)だ。「中川さんに、神宮でホームランを打った報告をしたい」。強い決意を胸に厳しい冬を乗り越えた。


 3年春は「奪還」を掲げるチームの4番を任され開幕した。「4番は試合を左右する場面で打たなければならない」と自身を追い込み打席に立つこの男からは、自信に溢れたコメントがが多かった。「練習では調子がいい」。その言葉とは裏腹に、神宮の打席では結果が出ない。春季リーグ戦中盤には、屈辱のメンバー外も経験。後半には廣岡(総1=拓大紅陵)の台頭などにより出場機会が減り、規定打席にすら到達できず、悔しい結果となった。再起を期した夏のオープン戦でも、目立つような結果は残せず。しかし、試合後にバットを振り込む酒巻の姿はお馴染みと言えるほどのことになった。杉本監督や井上コーチ、清水コーチの熱心な指導を自分に落とし込もうとバットを振り込む姿は、秋季リーグ、そして自身の今後への決意を表しているようだった。「チームを勝たせられる打者になる」。そんな強い思いを抱くも、秋季リーグも目立つ活躍はできず終戦。悔しさを押し殺し、ベンチで大きな声を張り上げたものの、チームも5位という結果となった。


 そして、ついに最後の一年を迎える。勝負の年だ。以前、登場曲にするならという質問に対し、長渕剛の『HOLD YOUR LAST CHANCE』と答えていた。ラストイヤーという最後のチャンス。傷つき打ちのめされても、はい上がれ。かいた汗の分だけ大きく翔け。この男が完全覚醒する時、我ら東洋大は戦国東都の頂に立っているだろう。


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TEXT/PHOTO=齋藤洋