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2022.10.17
硬式野球

[硬式野球] ピンチで踏ん張った! 野澤3年目にしてようやく手にした初勝利

東都大学野球秋季2部リーグ戦・拓大2回戦

10月11日(火) UDトラックス上尾スタジアム

〇東洋大9-4拓大


ロングリリーフとして粘りの投球を見せた


野手陣の大援護に一安心

試合後はウイニングボールを手に持ち笑顔を浮かべた


高校からの仲間の活躍に大喜びな水谷


この日は、先制を許すも直後の反撃で勝ち越しに成功。しかし、その後は拓大打線が再び東洋大を襲い、試合は振り出しに戻される。ジリジリと迫り来る拓大を迎え撃ったのは、この秋リリーフとして左腕を振るう野澤秀伍(総3=龍谷大平安)だった。


 先発の細野(総3=東亜学園)が6回3失点で降板。七回からは石上祐(法3=東洋大牛久)が登板するも、1点リードを保てず、同点打を許してしまう。これ以上の失点は許されない土壇場に野澤は立たされた。

 

 ブルペンから現れた野澤を、龍谷大平安時代から共に戦ってきた水谷(営3=龍谷大平安)が右翼から笑顔でお出迎え。「行ってこいよ!」と力強い檄(げき)をもらう。


 ここから拓大のクリーンナップが野澤を迎えた。「これ以上点をやってはいけない」と覚悟を決めると、水谷からは「秀伍いったれー」と熱い声が。高校時代からの仲間のエールを受け、テンポのいい投球で見逃し三振に抑える。しかし次に四球を与え、2死満塁としてしまうと、「気を抜くなー」と再び水谷。ボール先行でフルカウントにしてしまうも、最後に飛び出した打球を水谷がキャッチ。相手に流れを渡すことなくベンチに戻ってきた野澤は「喜んだら集中力が切れる」と顔色を変えなかったが、無事にボールを持って帰ってきた水谷は満面の笑みを浮かべていた。


 この野澤の踏ん張りが野手陣のやる気を誘った。その直後の攻撃で打線が大爆発し、一挙5得点。この大援護に、普段は感情を表に出さない野澤は思わず顔をほころばせていた。ダイヤモンド上を駆け回る仲間に目を輝かせ、宮下(総1=北海)の本塁打には「すごいなあいつ」と歯を見せた。


 この日は、ロングリリーフとして最後までマウンドを任され、2回3分の2を投げた。隙を狙う拓大打線をこれ以上寄せ付けることはなく、無失点で切り抜け、ようやく待ち焦がれた初勝利を手にした。


 1年秋から先発として、周りの期待を背負っていたが、勝利の女神は訪れることはなく、気が付けば2年が過ぎていた。試合後ウイニングボールを抱え、記者室に現れた野澤は目を細めながらも、「やっぱり先発での勝利がほしい」とポツリ。その目は未来を見据えていた。それでも今はリリーフとして、仲間を多く救う役割を担う野澤の今後の成長から目が離せない。


■コメント

・野澤(総3=龍谷大平安)

(初勝利に対しては)中継ぎよりも先発で初勝利をあげたかったなと思います。(厳しい場面から出たが手応えは)同点で回も終盤だったのでこれ以上点をやってはいけないという気持ちで最初からいきました。フォアボール出した後の5番バッターにライトライナーを打たれた時はヒヤっとしましたが、水谷がとってくれたのでよかったです。抑えた時は素直に嬉しかったです。


TEXT/PHOTO=宮谷美涼