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一番は緊張していますが、やっと来たという気持ちもあります。」応援指導部第42代主将である秦芽吹はこのように語った。応援指導部の誰もが待ち焦がれていた瞬間がついにやってきたからだ。
2023年12月3日、応援指導部による第五回鉄紺祭が東洋大学白山キャンパスにて開催。今回で第五回となるが、ここまで順風満帆に開催できたわけではない。2015年に第一回を開催し大きな反響を呼ぶも、その後の部員の減少や新型コロナウイルスの影響を受け、開催を見送った年やオンライン開催を余儀なくされた年があった。様々な困難に見舞われてきた鉄紺祭だったが、困難を乗り越え、ついに有観客で帰ってきた。
※鉄紺祭の直前インタビューはこちらに掲載しております。合わせてご覧ください。
[應援指導部]困難を乗り越えて帰ってきた一大イベント!鉄紺祭・鼎の舞への主将の思い
鼎の舞で共闘した駒澤大学体育会應援指導部ブルーペガサスの皆様、亜細亜学園体育会應援指導部の皆様も駆けつけるなど、多くのお客様で埋め尽くされた円了ホール。その会場を一人一人のパフォーマンス、そして声が一つにした。
楽器部門、チアリーダー部門、リーダー部門の三つから成る応援指導部。各部門の独自のパフォーマンスを見ることができる貴重な機会に会場は期待に胸を膨らませていた。
一番手を務めたのは楽器部門。「熱響」のスローガンのもと活動している彼女たちは『学園天国』を演奏しながら観客後方から登場。ノリの良い曲で早速観客の心を掴むと、その後もGReeeenの『キセキ』などの有名な曲を披露。そしてなにより目を引いたのは、個人曲メドレーだった。楽器部門のメンバー一人一人がセレクトした思い思いの楽曲は個性にあふれており、美しい音色と共に観客を魅了した。
楽器部門の熱のこもった響きを感じた後に登場したのはチアリーダー部門だ。「熱華」という言葉をスローガンにしている彼女たちは、ダンスメドレー、ディズニーメドレー、Give me five!という三部構成で観客たちを魅了。TWICEなどの人気アーティストの曲やかわいらしいディズニーの曲を忙しいながらもメンバーが自ら考えた振付で披露し、自分たちの華やかな魅力を披露した。そして、最後にはAKB48の卒業ソングを披露するなど普段の応援とは異なる華やかながらどこかはかないダンスパフォーマンスでも観客を沸かせた。
チアリーダー部門の熱く華やかなパフォーマンスを終え、トリとして登場したのはリーダー部門だった。「熱狂」というスローガンを掲げる彼らの、リーダーとして応援指導部を引っ張ってきたことを象徴するキレのある声で伝統ある4つの曲を披露。ここまでの楽器部門やチアリーダー部門にあった明るさや華やかさとは打って変わって、勇ましく、そして熱い想いのこもった演舞に会場の雰囲気は大きく変わり、観客たちは目を奪われていた。
各部門の発表が終わると、四年生がここまでの活動を振り返った。各々が様々な悩みを抱え、大きな壁にぶつかってきた。しかし、その壁を乗り越えてこの舞台に立っている四年生の表情は誰もが笑顔で達成感に満ち溢れていた。そして、目から熱いものがこぼれる場面も。ここで鼎の仲間たちから熱い言葉が飛び交うなど、応援が紡いだ絆が見られる一面もあった。
楽しかった鉄紺祭もいよいよ最後。フィナーレでは三部門が合同ステージで野球応援を披露。観客全員が立ち上がり、応援指導部のパフォーマンスに手拍子で参加。会場が“応援の力”で一体となり、大盛り上がり。全員の一体感が鉄紺祭のフィナーレを創り上げた。
「来て下さる皆さんに元気を与えたい、新しい熱叫応援をお届けしたい。」鉄紺祭前のインタビューで、応援について問われた時に芽吹さんはこのように話した。コロナ禍で思うような活動ができず、自身が入部した際にはリーダー部門の部員は0人。様々な困難を乗り越えてきた芽吹さんにとって、有観客開催でパフォーマンスができる今回の鉄紺祭は特別だった。そして、フィナーレ前には「周りの支えがあったからこそ、活動を続けてこれた。本当にありがとう」と言葉を詰まらせながらも、家族、友人、同期、仲間への感謝も忘れなかった。鉄紺の戦士たちのために本気で頑張ってきた4年間だった。そして、鼎の舞や鉄紺祭の復活など、応援指導部という活動に向き合い、一度止まった歴史を再始動させた4年間でもあった。
応援で選手を元気づけたい。この言葉を胸に選手と共に戦ってきた結果、1月上旬に行われた東京箱根間往復大学駅伝競走で東洋大学は総合4位という、鉄紺の復活の第一歩となる好成績を残すことができた。この応援活動をもって4年生は引退となる。彼女たちの応援への熱い思い、築き上げた新たな歴史は後輩たちが受け継ぎ、進化していくだろう。そして、その進化した応援が熱叫として鉄紺の戦士たちの心に響き、更なる結果につながるだろう。応援指導部の歴史はまだまだ始まったばかり、これからの活躍が楽しみだ。
聞き手=成吉葵 PHOTO:応援指導部提供