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2024.12.16
サッカー

[男子サッカー] Jリーグ内定会見記念!DF稲村に聞く・最終回 「楽しむ」どんな大舞台でも忘れない両親からの教え

9日に東洋大では史上初となるJリーグ内定者記者会見が行われた。

そこでスポトウではJ1・アルビレックス新潟内定のDF稲村隼翔(国4=前橋育英)にインタビューを実施。ルヴァン杯決勝でも堂々たるプレーを見せた東洋の壁が、特別指定選手として過ごす新潟での日々や初の内定者会見が開かれる事になった経緯を語った。最終回は稲村がプレー時に大切にする「楽しむ」という両親からの教えや、内定会見が行われることになったきっかけ、さらにラストとなるインカレに向けての意気込みを聞いた。(取材日12月5日=聞き手・髙橋生沙矢) 


アルビレックス新潟レディースに内定した宮本妃菜里(食4=大商学園)選手(右)と2ショットに納まる稲村


ーー昨年の夏にご両親についてやユース時代も含めて長く応援してくれている友人の話をしてくださいましたが、彼らから今回のルヴァン杯やプロでの活躍を見て、かけていただいた言葉はありますか

両親に関しては今までと変わらずに毎回「楽しめ」ということだけ伝えてくれて、試合が終わった後に勝っても負けても「お疲れ」と。本当に自分の事を知っているので、簡単な文で伝えてくれています。自分はあまりサッカーのプレーに言及されることが好きではないので(笑)。そこを知ってて、友達も「頑張ってたね、お疲れ!」と簡単に伝えてくれています。



ーーご両親は頑張れという言葉を使わずに応援してくれているという話をしてくださいましたが、その理由などはお聞きしたことはありますか

(すでに)頑張っているのは分かっているからという感じで。両親ともスポーツをやっていたので、多分その(すでに頑張っている)気持ちを分かって言ってくれているんだと思います。



ーープレーしていてご両親の教えが生きているなと感じる瞬間はありますか

自分はサッカーを楽しむことが一番大事だと思っているので、そこは毎試合意識しています。両親の言葉もあるので、そこを大事にしたいなと。



ーー実際にこれからEー1選手権に出る夢がかなった時にも、楽しさが一番勝ちそうですよね

そうですね。プレー中はしっかり楽しんで、終わった後にしっかり反省をし、課題を見つけてやっていければ良いかなという形です。



ーーこれからはインカレが控えています。開催場所や制度など様々な変更点がありますが、そこを踏まえつつどのような大会にしたいですか

だいぶタイトな日程での試合になりますし、中1日で3試合というのは多分高校生以来かなと(笑)。なのでまずはコンディション管理のところはより繊細にやらないといけないなと思いますし、(大会すべてを)同じ11人で戦う訳ではないので、今までプレー時間の少なかった選手たちも出れる機会があると思います。そのような選手たちとうまくコミュニケーションをとりながら、公式戦の難しさを伝えてチーム一丸で戦えたら、優勝できるのではないかなと思います。



ーー昨年は2回戦敗退でしたが、今回のインカレの目標は

今年の最初に、目標は優勝というのをみんなで掲げてやって来ました。ただ先を見すぎても良くないと思うので、個人的にはしっかりと去年以上の成績をと言うところですが、レギュレーションが変わったので。しっかり初戦を勝利して本戦に出て、(決勝)リーグを突破したいです。



ーーインカレでは関西勢との対決が肝になると思われます。前回大会で関西勢(2回戦での対京産大)と対決をしてみて関東との違いを感じた部分があれば教えてください

技術の高い選手が(関西は)11人そろっていて、サッカーのスタイル的にもボールを大事にするチームがほとんどでした。京産大戦は前半、相手にそのような(ボールを大切にする)プレーをされて嫌だったイメージがあります。ただ後半はそれを自分たちが分かり、自分たちの試合をしながら得点も奪う事ができたので、今年はその経験を生かして最初から(試合に)入れれば勝てると思います。



ーー特長を知っているのは有利に働く

ただ、相手も自分たちの映像を見ていると思うし、自分とか悠太(新井選手)も見られていると思うので。そこでも質や強度で上回れれば良いかなと思います。



ーートーナメントとなってくると(今回のインカレでは準々決勝以降)PK戦の機会も出てくると思います。その時にルヴァン決勝でのPK戦の雰囲気を感じた経験は生きる

いや、どの試合でもPKは難しいものではあるので。本当にキーパー対自分みたいな構図になりますし、(その中でも)一人一人が自信を持って蹴れれば問題ないと思います。



ーー東洋大でPKが上手なのは

今年は、やっぱり悠太が一番うまいと思います。外している印象が練習でもないですし。



ーー稲村選手は普段PKは蹴るタイプ

蹴りたくはないですけど、キャラクター的に多分蹴らされます(笑)。後は4年という立場もあるので、蹴るようにしています。



ーーPKは4年生が多い

思いの強さもあると思いますし、後輩に蹴らせるよりかは「自分たちが」という思いがあると思います。



ーーそれでは、内定会見の話に移りたいと思います。東洋大で内定会見が開催されるのは初ですよね

初めてですね。



ーー会見を迎えるにあたってどのような気持ちで臨みたいですか

この会見を行いたいとなったのが、マネージャーの庄子とコーチングスタッフの野崎さんが提案してくれて。自分でも東洋大の中での男子サッカー部の価値を高めたいという思いはありました。自分たちの活躍をどうやって伝えるかとなっていたところで、(内定会見を)提案してもらったので。選手たちも是非やらせてほしいです、というのを伝えて(会見を)開く事になりました。



ーーJクラブでメディア対応の研修などを行っているクラブもありますが、もうそのような研修は受けましたか

多分入団してから始まると思います。でも、中学の「よのなか科」という授業の中でインタビューの受け答えの練習を、ちょろっとしていました。



ーー東洋のサッカー部の方はインタビューがうまいなと思っていたので(笑)

そうなんですか(笑)、意外ですね(笑)。



ーーアルビレックスの広報の方や専門誌の方からインタビューを受ける中でも、その経験は生きている

それもそうですし、サッカーをやっていれば選手たちの(インタビューの受け答え)を見ていると思うので、それを真似したりもしてるんじゃないですかね(笑)。後は卓さん(井上監督)からそういうのはしっかりやるように、という事をずっと言われてきたので、それもあってみんな(インタビューが)うまくできているんだと思います。



ーーでは大学生活の話もしていきたいと思います。この時期にはもう単位は取り終えている

はい、つい先日卒論も終わりました(笑)。


ーー卒論のテーマは

テーマはJリーグの今後の成長ですね。


ーーだいぶ先の話にはなってしまうのですが、学部での学びを引退後などに今後のサッカー人気に生かしたいという思いもある

うーん、、学業に関してはあんまり言えないですね(笑)。でもサッカーをもっと日本でメジャーにしたいという思いはあるし、東洋大の中でも「東洋と言ったらサッカー部だよね」という位になってほしいと思っているので、それに貢献できれば良いなと思います。サッカーを広めたいという思いは今もありますね。


ーーその第一歩が東洋の中でサッカー部の価値を高めたいという思いにもつながる

サッカー選手としてピッチの中でやればいいでしょという考えじゃ良くないと思うので、ピッチ外に出てしっかり知ってもらって、サッカーを楽しんでもらうまでがサッカー選手だと思うので。そこは頑張りたいなと思います。


ーー総括として最後にインカレへの意気込みをお願いします!

チームとしては優勝を目指して今年1年間やってきて、実際にリーグ戦でも過去最高の順位で終われたのは、今のチームの自信になっていると思うし、個人的には今年(Jと大学を)両立してやってきて、なかなか東洋大に100パーセントの力を使えていなかったので。この大会だけはこのチームの為にすべてを捧げてプレーしたいと思っています。後は大舞台を後輩にしっかり楽しんでもらって、来年につなげていってもらいたいという思いもあるので、しっかりとインカレを一勝一勝していきたいなという思いです。



◇稲村隼翔選手インタビュー◇

第1回:「大卒2年目の選手が難しくなる」奮闘の中で頭に残る松橋監督の金言 

第2回:「Jでプレーして帰ってきた選手は言葉の数がすごく増えている」新潟帯同中に感じた言語化の重要性