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2015.12.24
硬式野球

[硬式野球]特集 8日連続独占インタビュー~昇格の舞台裏 第7日 林悠平

 悲願の1部復帰。高橋政権最長の6季の2部生活に終止符を打ったこの秋、彼らはどんな思いを抱いて戦っていたのだろうか。そんな舞台裏に迫った特別インタビューを8日間に渡ってお届けする。

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 第7日は林悠平内野手(営4=桐生一)。現役の大半を2部で過ごし、副主将を務めたこの1年間は自身にとって満足のいく成績を残せなかった。しかし、林は苦しかったはずの4年間を「財産になった」と振り返る。そこに不遇の時期を乗り越えることができた理由があった。(取材日・11月29日、聞き手・伊藤拓巳)


――念願だった1部復帰を果たすことができました。

 1年の秋に落ちてから、長い歴史の中で一番長い2部生活だった。上げて終われたことは良かったが、1部でやりたかったという思いもある。でも後輩のためを思ったら、2部のまま終わるよりかは全然良かったと思う。ホッとしています。


――入れ替え戦3回戦。最後に林さんが二塁ベースを踏み、試合終了となりました。その瞬間はどんなお気持ちでしたか。

 阿部(営3=帝京)が自分で(二塁ベースを踏みに)いける距離だったが、トスしてくれて最後の球を捕れて良かったです。あのあと阿部に「ウイニングボールを捕らしてくれてありがとう」とお礼を言っておきました。自分は九回から色々こみあげてきて泣いてしまった。これで終わりかと思うと、涙が出てきました。


――頭に浮かんだことは。

 これで大学野球が終わりか、つらかったなと。最後にいい思いができたのでホッとするような気持ちです。


――今季を振り返るとカードの初戦は入れ替え戦を含めても、4連敗でした。初戦に負け続けたというのは。

 (リーグ戦中は)あまり意識はなかったんですけど、入れ替え戦で初戦に負けた時には、これが自分たちのパターンだからと。諦めている人もいなかったし、これまでずっとこんな感じだから、ここから勝てばいいという感じだった。2戦目はとりあえず明後日のことは考えないで、2戦目だけ勝とうと。そうすれば3戦目も勝てるとなって、そのパターンに持っていこうとやっていました。


――その入れ替え戦で勝てた要因は

 入れ替え戦を経験しているOBの方々からも2回戦を取った方が絶対有利だと言われ、3試合目に勢いそのままにいけた。打線も今までにないくらい打てたし、原(営4=東洋大姫路)は危なげなく投げてくれた。原は体力の限界はあったと思うんですけど、しんどかった分点差を付けられたので、良かったのかなと思います。


――春から目標としていた「打ち勝つ野球」が最後にようやくできました。

 拓大戦あたりから打線もつながり始めて、最終戦は理想的なゲームだった。東洋の野球というのは点差を付けて勝つという思いがあった。入れ替え戦の最後で10対1という点差は、少しは東洋らしい野球ができたかなと思いますね。


――4年間を振り返ってみて、指導を受けた高橋監督はどういった方でしたか。

 4年間やってみないと伝わらない、言葉では表せないですね。厳しさの中に絶対優しさがあると思っていた。振り返ってみると怒られた中にも思いやりがあったりして、ただ怒っているんじゃなくて選手のことを考えてくれている。そういうのは引退した後にすごく思いました。


――印象に残っている言葉などはありますか。

 3年の秋か4年になったときくらいに「お前は入ったときは全然戦力として考えてなかったけど、ここまでこれたのはお前の努力があったからだろう。その努力は認める」と言われたときはちょっとうれしかったです。自分は練習してきた自信もあったので、少しは褒められたのかなと。やってきて良かったなと思いました。


――4年間一緒に過ごしたチームメイトとの思い出はありますか。

 今年に関しては4年生が(試合中に)ボールボーイとバット引きをやってくれた。これまではずっと下級生がやっていたが、今年から4年生の湯浅(営4=東洋大牛久)と小田(営4=向上)がやってくれた。あとピッチャーはずっとバッティングピッチャーをしてくれた。学生コーチも多くいて、4年生一人一人がチームのために何とかしようという気持ちが1部昇格といういい結果になったと思います。


――これまではあまりなかったことですか。

 正直、メンバーとメンバー外との考え方(の違い)というのはこれまでは大きかった。今年の4年生は何かしようと行動してくれていたので、全員で一つの方向に向けたかなと思います。原(という存在)はいましたけど、試合に出ている人だけではなかった。入れ替え戦の応援席もすごくいい雰囲気で、一つになれた気がしました。スタンドも一つになっていたし、球場でやっている人たちだけではなかったなと思います。


――大学野球を終えた今、寂しさなどはありますか。

 複雑ですね。寂しいという気もするし、もうしたくないという気もする。すごい密度の濃い4年間でしたね。8割ぐらい悔しいとかマイナスな部分になる。それでも自分の中では財産になったと思っています。


――最後に後輩たちに向けて。

 次からは間違いなく神宮球場が使えるということで、思い切りやってほしい。やるかやられるかなので、3年間の悔しさを神宮球場にぶつけてほしいと思います。




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8日連続独占インタビュー~昇格の舞台裏

第1日 高橋昭雄監督

第2日 中川圭太

第3日 田中将也

第4日 阿部健太郎

第5日 笹川晃平

第6日 増渕雅也


明日、最終日は主将・原樹理のインタビューをお届けします。

硬式野球部の秋の戦いはこちらからご覧いただけます。