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2019.05.24
硬式野球

[硬式野球]「新しい時代に名前を刻むことができて光栄」圧巻の完全優勝でⅤ20達成!サヨナラ勝利で飾る

令和元年度東都大学野球春季1部リーグ戦・亜大2回戦

5月23日(木) 神宮球場

◯東洋大7×-6亜大


1011
亜大
東洋大1X7X



松澤、野木、山下雅、渡邊、河北(1勝)-佐藤都



本塁打:山崎基(第2号、六回)、廣岡(大学初本塁打、七回)

三塁打:木村(八回)、小川(九回)

二塁打:諏訪(二回)


・打者成績

打順守備名前
(中)松本(営1=龍谷大平安)
(左)飯塚(営4=藤代)

廣岡(総1=拓大紅陵)

小峰(営4=帝京)
(右)山田(総4=桐生第一)
(捕)佐藤都(法4=聖光学院)
(指)山崎基(営3=愛工大名電)
(遊)小川(法3=霞ヶ浦)
(一)諏訪(総3=浦和学院)
(三)津田(総4=浦和学院)
(二)木村(総2=霞ヶ浦)


4314



・投手成績

名前球数四死球三振
松澤(営1=帝京)60
野木(営4=九州国際大付)
1 1/320
山下雅(営4=東邦)34
渡邊(総1=報徳学園)15
河北(営1=浦和学院)3 2/353



・リーグ戦戦績


中大国学大駒大立正大亜大通算勝率
東洋大◯◯
◯●△◯◯●◯●◯◯○○14戦10勝3敗1分0.769



主将・佐藤都は笑顔で宙を舞った


2季ぶり20度目の優勝を決めたメンバーたち


1年生クローザー・河北は緊張のかかる試合で1勝目を挙げた


八回に適時三塁打を放った木村


ベンチから誰よりも大きい声援を送る村上



 歓喜の輪をつくった。勝ち点のかかる亜大2回戦は山崎基(営3=愛工大名電)廣岡(総1=拓大紅陵)の本塁打などで加点し、延長11回に小川(法3=霞ヶ浦)のサヨナラ犠飛で決着。第1試合で国学大が勝ち点を落としたことにより試合前に東洋大の優勝は決まっていたが、サヨナラ勝利で全5校から勝ち点を獲得。20度目のリーグ優勝を完全優勝で飾った。


 先発は松澤(営1=帝京)。「緊張した」と初先発のマウンドにあがる。三回に先制を許すも、佐藤都(法4=聖光学院)の2度の盗塁阻止にも助けられ4回1失点。打線は四回に山崎基が四球を選ぶと小川と諏訪(総3=浦和学院)の連打で同点に。六回には山崎基の2点本塁打が飛び出し、七回には代打・廣岡(総1=拓大紅陵)の大学初安打・初本塁打が飛び出す。八回にも津田(総4=浦和学院)の右前打と木村(総2=霞ヶ浦)の適時三塁打で1点ビハインドに詰めよる。そして迎えた、九回。「打って出塁しよう」と山田(総4=桐生第一)が中前打を放つと小川の適時三塁打で同点とし、延長戦へ。クローザー・河北(営1=浦和学院)が八回1死から無安打の好投を続けると、延長十一回に山田が四球を選び4番・佐藤都の犠打で進塁。山崎基の右前打で1死一、三塁とし、小川の中犠飛でサヨナラ勝利をつかんだ。


 全校から勝ち点を獲得する完全優勝は、平成28年度秋季リーグ戦の日大以来。完全優勝には村上(総3=智弁学園)の存在が大きかった。そんなエースの好きなプロ野球選手は山岡泰輔(オリックス)。高校時代の投球を見て「身長は自分と変わらないくらいなのに全然違う。そこでめちゃくちゃ好きになった」と今季6勝を挙げた174㌢右腕は話す。憧れの選手と同じように、抜群のコントロールで前日の亜大1回戦では九回2死まで無四球無安打の投球を見せ、自己最速も149㌔に更新。今試合ではベンチから声を張りながらチームを鼓舞し、「今日で決めてくれ」と祈った。


 試合後には表彰式が行われ、その後の胴上げでは杉本監督、増子部長、佐藤都主将が宙を舞った。そんな主将の被る帽子のつばには「主将力 すべてはみんなのために」という中川前主将の書いた言葉に加えて、「他喜力」の文字が。これは佐藤都が新たに付け加えた言葉だという。誰かを喜ばせたいという思いは最大の力へ変わる。その思いを持ちながら、主将で主軸、正捕手というチームの要としてやり遂げた。


 リーグ優勝という一つ目の「奪還」を果たした東洋大。6月12日に第68回全日本大学野球選手権大会(以下、全日本)の初戦を迎える。初戦は神奈川大学野球連盟代表の桐蔭横浜大か東海地区大学野球連盟代表の勝者。2011年の全日本以来手にしていない日本一を目指し、二つ目の「奪還」を。2年連続で全日本初戦敗退という悔しさを晴らし「東都のプライド」(杉本監督)を見せる舞台が整った。


■コメント


~優勝会見より~


ーー優勝の感想を

増子部長:令和最初に東洋大が優勝できたことをとてもうれしく思います。昨年はプロにいった選手が4人いましたので下馬評はなかなか厳しいという話を聞いていましたが、杉本監督や佐藤キャプテンのもとチーム一丸となって戦えたことは大きかったと思います。特にピッチャーは村上を中心に今日投げた1年生も含め本当によくやってくれましたし、バッターも山田がホームランを量産したり1番の1年生が奮闘してくれたり、それが優勝につながったと思います。

杉本監督:本当にうれしく思うというか、コーチ含めそれから選手も佐藤キャプテン中心に本当にちょっとずつ野球が変わってきているのかなという感じがします。ですからそこの自分たちのためというか主体的に考えて「PLAYBASEBALL」っていう野球を遊ぶような技術と考えが少しずつできているのかなと感じる。まだまだこれから先にそれが確立したなんてことは野球をやっているうちは絶対ないと思いますが。まず新しい時代の春の一発目の優勝に東洋大学という名前で歴史が刻まれるのは本当に光栄に思います。

佐藤都:素直に令和元年のリーグ戦で優勝できたことをすごくうれしく思う。昨年の秋リーグでプロ入り4人を要した東洋大ですが勝ち取ることができなくてもう一度チームを見直そうということで自分を中心に幹部3人副主将含めて全員でチーム力で優勝するという気持ちでリーグ戦に臨んだ結果ピッチャーを中心に野手も頑張ってこうやって完全優勝できてチームで掲げた「奪還」を達成することができて良かった。「奪還」という意味のもう一つの要因として全国大会で優勝するという気持ちがあるのでここから先もう一度練習して全国大会で優勝できるようにやっていきたいと思います。

山田:令和元年に歴史を刻もうと監督に言われていて、その最初を優勝というかたちで飾れて素直にうれしい。簡単な試合は一つもなくて全部ギリギリな中で勝ってきたと思いますし戦国東都という言葉を身に染みて感じられるリーグ戦でした。その支えてくれたチームスタッフであったりとかメンバーに入っていない選手や応援に来てくれる方に感謝したいと思いますし、まだまだピッチャーに頼っているというところもあるので、打線がもっと奮起しないといけないと思う。最低でも今日くらいは打って全国でもこれくらい打てるようにこれからまた練習していきたいです。

村上:うれしいという気持ち。全員で力を合わせた結果が優勝につながったと思います。全国大会では初戦敗退が続いているので今年こそは優勝を狙えるようにもう一度チームを見直してやっていきたいです。



ーー大学選手権への意気込みは

増子部長:チーム一丸となってやっていきたい。ラッキーボーイが出てくるんじゃないかなと思います。

杉本監督:去年はコールド負けという、戦力を持ちながら上茶谷のアクシデントというのもあったんですがそれは本当に選手に申し訳なかった。僕自身が初めての大学野球の全国大会で僕自身がどういった状況になるのか手探りだったので本当に申し訳なかった。今年については去年の経験がありますので、それについては自信がありますし間違うようなことはないと思いますので選手を信じて自分たちの野球を展開していきたいと思っています。とりあえずは去年は恥をかいたので、杉本っていう野球人もそうだったが東都のプライドを傷つけてしまったという責任を感じていますので、そのお返しを倍返しになるかどうかは分かりませんがしっかりぶつけたいと思います。

佐藤都:全日本選手権では今のところ2年連続敗れているので、全国大会で優勝するというのがチームの目標であるので、昨年の悔しさ、思いをぶつけるという気持ちでなにがなんでも優勝を勝ち取れるようにやっていきたいです。

山田:2年連続で悔しい思いをしているので、リーグ戦は村上に頼ってしまった部分があるのでその分を野手陣で返していけたらなと思います。野手陣が打ったら勝てると思うのでこれから練習きっちりしていきたいです。

村上:自分は選手権では1、2年生のときにベンチ入りはしていますが投げたことがないので投げれなかった悔しさを3年生でやり返したいという気持ちがある。優勝を狙ってやっていきたいです。


ーー今季の自分の成績への評価は

佐藤都:打撃に関しては、前半戦不調でどうしても一皮むけなかった。チャンスでまわってくる場面が多い打順でもあったがそこで一本出なかったというのが春のリーグ戦で悔しい思いをしたので、打撃に関しては60点くらい。後半戦で取り返すことはできたと思うが、ここぞというときの一本というのが大事になってくると思うがそこで出なかった自分の甘さっていうのがありました。守備面では、村上はじめいろいろピッチャーがいますがそのピッチャーを生かしたリードというか特徴と対戦する打者のデータを含めてどうしても点をあげてもいい場面とここは駄目と言う場面をしっかり試合の中で組み立てることができたと思います。自分の中の甘さというのは、信頼しきれないピッチャーやバッテリー間であったり自分の中で信頼できなかった部分もあったのでリード面では70点くらい。まだまだ自分とピッチャーの息が全然合わないときもあったのでそこをもう一回見直していきたいと思います。

山田:大学に入ってこれまで成績にこだわってやってきたがそれでもいい結果が出てなくて、今シーズンに入って調子がいい形で入れた。成績は出そうというよりは、チームを勝たせたいという気持ちに変わっていて、何試合かチームを勝たせるバッティングができたかなと思うのでその点については良かったです。打率に関してはまだまだ低いのでこれから練習でやっていきたいと思います。打点もホームランで何点かとれているがタイムリーヒットが打てていないのでタイムリーヒットでも打点を挙げられるようにしたいです。

村上:リーグ戦前から防御率0点代というのを目標にしていたのでそこは達成できたことは良かったと思います。フォアボールが少し多いなというそこをつきつめていかないといけないと思っています。


〜以上〜




・井上コーチ

今日の試合は見てる方からすると楽しいでしょうけどやってる側としてはいただけない展開でしたね。昨日から今日で本当に打撃に関しては何も言っていないです。今季は打者は見ての通りなので、投手がよく頑張ってくれました。(今季の打のMVPは)松本じゃないですかね。山田って言って欲しかったでしょ(笑)。でも、本当に松本です。1年生から1番打者に座ってあれだけやってくれたので、よく頑張ってくれました。今日の小川はよくやってくれましたけど、本来はあれだけの力を持っている選手なので。これで勝ち点5つで全日本。昨年のリベンジという気持ちはあるんですけど、今年は今年のチームなので。一戦必勝で勝ち進んでいきたいと思います。


・谷川主務(営4=神村学園)

正直、チームが始まった時は投手を中心に4年生が抜けて経験のあるのが村上だけ。村上頼みみたいな状態から始まったので優勝できるとは思ってなかった。結果を見たらもちろん村上はすごかったですけど、その他にも投手陣が踏ん張ってくれたので。特に1年生の活躍が大きかったんじゃないかなって思ってます。(投打のMVPを選ぶなら)投手は村上…じゃつまらないか。河北ですかね。本当に入学したての1年生が終盤、抑えで投げるって精神的にもしんどいところだと思います。リーグ途中で乱れるところもありましたけど、最終的にはしっかりとやり遂げて、あの強靭なメンタルは本当にすごかったと思います。打者は山崎基ですかね。去年までメンバー外の男だとは本当に思えない活躍をしてくれた。練習に自分は参加してないけど、選手から「すごい野球に真面目」とか「練習熱心」みたいな話はすごい聞いてたから良かった。全日本はこれまで2年間先輩たちを見てきて壁が分厚くて高いのは分かってる。去年の先輩たちも、一個上の雪辱をって挑んで厳しかった。でも、今年のチームはベストをしっかり出せれば全国でも渡り合える力を持っていると思っています。だから、まずはリーグ戦終盤になるにつれて露呈してきたボロを全部無くして、課題を全部つぶした状態で臨みたいと思います。


・佐藤都主将(法4=聖光学院)

優勝するっていう信念を貫きとおせたことが良かったと思う。(強きのリードができたのでは)はい。自分の意思でピッチャーが投げ切ってくれるからこそのリード。それがつながると思うので、村上をはじめ、意思を伝えることができたのですごく良かったかなと思う。バッターや相手の監督とも駆け引きがあるのでそこは目を光らせて、ランナーがいたらランナーとも駆け引きをしますし、そこがキャッチャーの面白いところ。逆手にとったときはすごくうれしく感じる。村上自身はあまり首を振らないし、リードしていて責任を感じる部分もあるがそこで自分が逃げないようにピッチャーとの意思疎通をしっかりしていこうと思う。十一回のバントは自分もバントだろうなと思っていたので特に思うことは無かった。


・野木(営4=九州国際大付)

チームが優勝したのは素直にうれしい。でも、自分自身のピッチングが良くなかった。先発した試合も自分が1点取られたけど他のピッチャーは無失点だったので。マウンドに上がるときは欅坂46の曲を頭の中でかけてます。いつも「ガラスを割れ」ですね。全日本で投げることがあったら同じようにマウンドに上がって頑張ります。


・津田(総4=浦和学院)

優勝は決まっていたけど、とにかく勝ちで終われて良かった。打線が全然打てずだったけど、なんとか粘れて優勝できた。これは収穫になると思う。でも、課題は課題。全国でどう勝つか。頑張ります。


・小峰(営4=帝京)

優勝は素直にうれしい。自分の打撃は、今日は割と悪くなかったかなと言った感じ。センターライナーも惜しかったけどちょっと詰まった。全日本、出ることができたら打てるように頑張ります。


・山田(営4=桐生第一)

優勝ができて素直にうれしい。素直にうれしかったが、やっぱり集まりたかったのでやっぱり今日決めて集まろうという話しをしていた。最後、小川がチャンスで打席に入って、打ってくれって。それだけを思っていた。九回のセンター前は打ったのはなんだろ…たぶん直球かフォークなんですけど覚えてないです(笑)。昨日ノーヒットで今日もずっとノーヒットで調子自体は悪い感じはしなかったがどうしても一本が出なくて気分が乗ってないというか落ち込みそうになったが、監督さんに気にせずいけと言っていただいていたので最終回とかは先頭だったのでフォアボールであったりとか狙おうかなという気持ちもあったがやっぱり打って出塁しようという気持ちがあった。チャンスを作れて良かったです。(今季の印象的な本塁打は)どれでしょうね…やっぱり皆川くん(中大)から打ったやつですかね。感触的に最高だったので、5本のうちから選ぶならあの一本だと思う。全日本では、去年悔しい思いをしたので借りを返す。それ以上にリーグ戦でこれだけ投手に頼ったので、その分打って打って打ちまくります。


・村上(総3=智弁学園)

優勝できて良かった。(全日本に向けての課題は)まだ無駄なフォアボールが多い。これが命取りになってくると思うので都志也さん(佐藤)と相談して打者を打ち取っていきたい。(昨日できなかった完全試合を全日本で)出来ればいいですが、狙わずにチームを勝たせる投球をしていきたい。(今日の試合はどんな気持ちで)今日で決めてくれと。(たくさん点が入っていたが)昨日もこれくらい打ってほしかった(笑)。サヨナラの場面は延長回がこれ以上ないので勝ったなと思った。今年は指のかかりがいい感覚でそれがいい結果につながっているんじゃないかと思う。オープン戦の途中、3月の半ばくらいからフォームを見直して手応えがあった。他には打たれる機会が多かったので、間を置くように意識したりなどした。(全日本に向けて)このままの勢いで自信を持って大学選手権に臨みたいと思う。自分は投手の中心としてやらせてもらってるのでそこで日本一になりたい。


・松本(営1=龍谷大平安)

チームとしては勝ち点5をとって完全優勝ができて良かった。でも、まだ自分の結果には満足できる形ではなくて。打率だったり打点が結果として出てこなかったのはまだまだだと思う。安打数は134安打を目標にしてて、15安打なのでそこは良かった。1番で試合に入る上で初回の打席は特に大切にしてるが、今日もそこで1本出たのにその後が打てない。そういう時に2本3本出るようにしたい。今季のMVPはやっぱり村上さんじゃないですかね。昨日とかも後ろから見てて本当に飛んでくる気配すらなかったので。ここから全日本までは2週間くらいあるんですけど、まだまだ課題もあるのでそこまでの時間をしっかり使って修正していきたい。


・松澤(営1=帝京)

優勝が決まってからの先発マウンドだったけれど、勝って優勝を喜ぼうと監督から言われていたので緊張した。調子自体は良くなかったけど、1点で抑えられて、悪かったなりに収穫にはなった。野手の皆さんや村上さんに引っ張ってもらって優勝できた。全日本で投げることがあったらしっかり抑える。


・渡邊(総1=報徳学園)

今まで打たれてきてて、登板間隔が空いたんですけどその間に色々考えて練習をしていた。でも、今日がこういう結果なのでまだまだ足りてないなって。もっとしっかり考えて野球をやっていかないとと思った。先発はトータルで抑えればって考えられるんですけど、中継ぎだと先のことを考えるよりも、出されたここぞの場面を抑えなきゃいけない。今後はそういう場面でしっかり抑えられるようにしたい。経験としてはいい経験になったと思います。今日打たれたのは直球。追い込んでから、先頭は出したくないって思って追い込んでから甘く入った。チームとして優勝したのはうれしいけど、やっぱり自分が活躍して優勝に導きたいという気持ちも持ちました。



TEXT=川口朋珠   PHOTO=須之内海、齋藤洋、川口朋珠