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2019.12.02
硬式野球

[硬式野球]連続インタビュー番外編・「應援指導部は最高の教育の場だった」スタンドから支えた橋本崇利主将の大学人生

 東洋大学應援指導部主将・橋本崇利さん(法4)。今年度から主将に就任すると雨の日も風の日も日が強く照り付ける日も果敢に全身でスタンドを鼓舞し続けた。これまでの活動を振り返るとともに、今後の大学應援指導部について語ってくれた。(取材日11月28日、聞き手=須之内海)

ーーまず、橋本主将自身が応援に携わるようになってきっかけは

高校時代までさかのぼるんですよね。高校入学当初はやるつもりはなくて「勉強して大学行きます」って担任の先生に言ったら『じゃあ毎日勉強していきなさい』って言われて。自習室で友達と勉強してたんですけど、そしたら、自習室の隣が生徒会室で隣のクラスの子に生徒会はいらない?って誘われて。内申点にも入るよなって思って、入ったら生徒会の業務の一つが応援委員会だった。それから初めての夏を迎えて、全校応援で負けた時に俺が目指しているものと違うなってなった。そのあと2年生で顧問の先生が変わって、来年から変革しようって。で、高2の夏が終わって神宮球場に六大学の試合を見に行って初めて神宮球場で応援を見て熱が入った。まぁ、結局は全部は出し切れないで終わった。

ーー不完全燃焼で終わった高校時代のリベンジは大学入学当初から始まったんですか

いや、最初は入部してなかったし、正直入ると思ってなかった。入学式でも應援指導部がいるなぁって思う程度でそのほかの感情は本当に特に無くて。應援指導部のTwitterをフォローしてるくらいの感じだった。でも、気づいたら入ってた(笑)きっかけは1年秋の硬式野球部の最終戦。リーグ戦終盤まで優勝争いを演じてた当時のチームを見てなんかスイッチが入っちゃったみたいな感じ。

ーー途中から入った應援指導部の面白いしきたりなどはありますか

應援指導部というかこの界隈は面白くて、学年が特殊。上から幹部・3年・2年ってきて新人ってなる。1年生でもない期間みたいな。仮入部みたいな感じっていうのがわかりやすいかな。だから4・3・2・1・新人になる。新人の間は部員バッチをもらえない。胸元に應援指導部員はバッチをつけてるんだけど、新人の間はそれを持ってないんだよ。部員として恥ずかしくないというか、これから頑張れよみたいな。基本的には夏合宿を乗り越えるか、幹部が認めればって感じかな。


ーー現状で應援指導部にはどれくらいの部員が所属していますか

各学年2人ずつ。リーダー、チア、楽器の3団体を抱える応援団体では全国最少だと思う。東都の中でも当たり前だけど一番少ない。中大が一番多いね。常に人は欲しい。練習はそれぞれのパートで行っている感じ。

ーー神宮球場では学ラン姿でリーダー板の上でテクを振る(リーダー部独特の観客をリードする動き)する姿が印象的ですが、学ランのこだわりは

たくさんありますよ。1個目は袖のボタンが4つ付いてる。学年が上がるごとに増えていく感じで、うちは2個からスタートしてる。各大学によってだけど学年とか役職がつくごとにボタンが増えていく。2つ目は襟を高くしてる。これは襟が高いと下を向かないために襟を高くしてる。3つ目が少し言葉だと伝えずらいんだけど、普通のズボンってベルトの穴のすぐ上にズボンの終わりがあると思うんだけど、それを10センチ上にしてる。あと普通のズボンよりも太めのをオーダーしてますね。太めにしているのは激しい動きで耐えられるように。10センチ上がってるのは動いてもYシャツが出ないようにするためです。


ーー学ランの裏地は一般的なものと変わりませんか

いや、裏地の色は1番を取りたいから金色にしてますね。あとは、学ランの前のボタンを開けて左に名前、右には応援歌のワンフレーズから言葉を入れてる。


ーーその言葉は

手の内を明かすっていうことで、そこの言葉は見せたり教えたり出来ないんですよ。他の人は四字熟語を入れるんだけど、人と被らないためにそうした。


ーー袴の着用の日もありますが

そもそも袴は4年生からしか着れないんですよ。正直、気分で違うだけなんだけど節目とか大事な試合は袴。優勝とかがかかってるわけでもない試合だと、今年は改元直後の試合でも袴だった。


ーー高校時代の応援団に入った当初の印象的な活動が野球ということでしたが、野球応援への思い入れは強いですか

最初にあこがれを抱いた競技だし思い入れは人一倍ある。その思いを全部出し切れたのかとか、やりたいことを全部やれたのかって聞かれたらそういうわけではない。でも、いい活動をここまでやってこれたとは思ってる。その中で自分の6シーズン中4回の優勝を見れたのは嬉しかった。今年の春は完全優勝も経験できたし感謝しかない。


ーー優勝といえば、2年連続で往路1位の箱根駅伝がもうすぐに迫っていますね

箱根駅伝は本当に大変(笑)家が遠いので元日から泊まって、2日の朝に大手町で応援、そこから移動して芦ノ湖ではゴールまで。3日はその逆の順番でやっていく。さっき野球への思いの話をしたんですけど、最後の箱根で総合優勝を見たいかな。自分の代は駅伝の優勝だけ見れてないので。往路だけでなく復路の大手町で最初にゴールテープを切ってほしい。


ーー最後に橋本主将にとっての應援指導部とは何でしょう

私にとっての應援指導部とは、「最高の教育の場」ですかね。来年から高校の教員をするのが夢で、応援も教育の仕事もかなり似ていると思うんですよ。他者を応援するために自己を磨く精神っていうのは。高校から1年だけブランクはありましたが7年経験した「應援道」で培った知識や経験は必ず教育の世界にも生きてくると思います。また、應援指導部や應援団に入ると大抵の人が、入部時よりも卒部時にたくましく成ります。様々な困難に打ち勝って幹部になるわけですから自分に自信が付きますからね。私自身、入部して後悔はないです。たくましくなったかっていわれたら不明ですけどね(笑)。


~今後の記事掲載予定~

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