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2022.04.28
硬式野球

[硬式野球] 「絶対に打ったろ」大髙のタイブレークでの一振りで死闘を制す

東都大学野球春季2部リーグ戦・国士大1回戦

4月27日(水) 等々力球場

〇東洋大6-5国士大



10
東洋大
国士大


(※10回よりタイブレーク)

二塁打:矢吹(三回)、後藤聖(四回)

細野、河北、石上祐、柿本、〇一條(1勝)ー後藤聖


・打者成績

打順守備名前
(指)松本渉(営4=龍谷大平安)
(右)水谷(営3=龍谷大平安)
(遊)石上泰(営3=徳島商業)
(一)小口(法4=智弁学園)
(左)矢吹(総4=聖光学院)

走二佐久間(済2=千葉黎明)
(三)加藤響(総2=東海大相模)
(中)橋本吏(総3=花咲徳栄)
(捕)後藤聖(法3=京都学園)
(二)宮下(総1=北海)

大髙(営3=常総学院)


3612



・投手成績

名前球数四死球三振
細野(総3=東亜学園)4 2/390
河北(営4=浦和学院)3 2/346
石上祐(営3=東洋大牛久)2/3
柿本(営2=東洋大姫路)1/3
一條(総2=常総学院)2/3



タイブレークに登場しチームを救った大髙


適時二塁打を放った矢吹


チームの先制に先発の細野もうれしそうだ


前日の雨の影響で1日遅れで行われた国士大との戦いは、東洋大が苦手とするタイブレークまでもつれこんだ。それでも代打で登場した大髙(営3=常総学院)の執念の適時打で2点を追加。勝利を掴み取り、1位に踊り出た。


 初回からチャンスを作り出していた打線はつながりを欠き、先制の糸口を掴めない状況だったが、三回にようやく試合が動く。松本渉(営4=龍谷大平安)が四球を選択し出塁すると、石上泰(営3=徳島商業)、小口(法4=智弁学園)の2連打で先制に成功。続く矢吹(総4=聖光学院)の三塁線間際の適時二塁打で石上泰が本塁に還ると続く相手の暴投で3点目とし弾みをつけた。


 四回に細野(総3=東亜学園)が逆転を許し1点ビハインドに。その後は投手交代を重ねる国士大に悪戦苦闘を強いられる。しかし七回、走者二、三塁とチャンスの場面で橋本吏(総3=花咲徳栄)の犠飛で同点に追いつく。このまま勝ち越しを図りたい大事な場面だったが、加藤響(総3=東海大相模)が倒れ、逆転の夢は絶たれ、加藤響はグラウンド上で悔しさをあらわにした。


 その後は互いに譲らない状況が続き、試合はタイブレークへ。昨春はタイブレーク2敗を喫していた東洋大ナイン。またもや表の攻撃で「嫌なイメージだった」と小口主将も語ったものの、加藤響が送りバントを確実に決め、1死二、三塁。続く後藤聖(法3=京都学園)が2球目で一飛に倒れる。何としても一本が欲しい場面で、代打に大髙が送られた。すぐに2ストライクと追い込まれ、緊迫感が三塁スタンドを襲った。それでも「ピッチャーが頑張ってくれているから絶対に打ったろ」とファールで粘り、迎えた7球目。見事に捉えた当たりが内野の守備をくぐり抜ける。この間に2人が生還し、勝ち越しに成功。「チームが勝てればいい」と語る大髙が、大きな2点をもぎ取った。


 この日のヒーローは大髙だった。オープン戦ではけがで出場できない矢吹の代わりに5番で出場し、チームの勝ちに貢献していた。184㌢・90㌔の大きな身体から放たれる打球は強烈で、杉本監督も「とっておき」と語り、小口主将も「代打の切り札」と信頼を寄せている。打撃に苦戦するチームにとって、大髙の存在は心強い。


 打線がつながらない状況が多く見られたものの、個々の活躍が見えてきており、打線は目覚めつつある。また、オープン戦では接戦を制す機会はなく、タイブレークも久しぶり。そのため杉本監督も主将も「今日の勝利は本当に大きい」と語る。今年のチームはピンチに強い。移動時間も往復5時間と疲労が重なってきた。3戦目に持ち込ませないために、次でこのカードの勝負を決める。


■コメント

・杉本監督

細野が崩れるときってこんな感じなんですね。結果的には、まっすぐは打たれてないんですよ。カットボールとかツーシームとか、まっすぐ系というようなボール。あれをみんなまっすぐだと思って振りにいって当たってるんですよね。ちょっと緩い感じのボールになっているので。オープン戦の時と同じ状況になって、蒸し暑い環境でヘロヘロですもんね。でも国士舘さんはファールを打って粘ってこられているというので。うちはどんどんピッチャーが変えられて、目先変えられて、それは東農大の時にこういう風にして戦ってくるよと。しっかりしたデータと、自分がやってはいけないことと、しなきゃいけないことを切り貼りして、バッターボックスで準備しないと。ただ単に流れていったら打てないよと。タイミングも一回りしたら違うピッチャーが来るわけですから。社会人の監督をしていて感じるのが、学生はタイミングを取るのが音痴な人が多いんですよね。昨日3安打したのに今日3三振する人もいますから。自分の打つタイミングが取れていないと。自分が音痴なんだと認識しないと、認識してくれると明日につながるかなと思います。今日の勝ちは大きいなと思います。羽田野がもう投げられるのに置いてきたので、でも柿本と一條がいてくれて、その2人で十分まかなえると思っていました。(細野選手の投球を振り返って)身体重そうでしたけどね。重そうだなと思って。2日間バス旅行しているわけですからね。川越のグラウンドから2時間半かかるんですよ。往復で5時間ぐらいかかるので。昨日試合無くて、夜の7、8時に着いて、今朝また来て。でも世界に行こうと思う人だったら、耐えないと。この過酷さは(社会人の)全日本の監督をやってきたときは片道3時間なんてザラでしたから。でもその調整をちゃんとしたかったら1部にいればいいわけですから。(十回の時に大髙選手が出ましたが)オープン戦は矢吹がけがをしていたので、大髙がずっと5番を務めていたんですよ。一番打っていましたよ。とっておきですよ。重吉(国士大)くんのパワーボールにパワーでパワーじゃ絶対に負けないですから。他の人は差し込まれますけど、大髙は関係ないです。期待通りです。出来すぎですね。ボールとバットが当たると思わなかった。



・小口主将(法4=智弁学園)

(今日の試合を振り返って)最初は細野がいい感じでいけていたんですけど、いつもは打たれないんですけど、途中で打たれて。打たれた時「ヤバい」という雰囲気もなかったので、落ち着いて最後まで出来たと思います。(タイブレークになりましたが)タイブレーク今季は初めてだったので、去年の春は負けていたんで、僕的には嫌なイメージだったんですけど、そこは大髙が代打で出て2点を取れるって本当にすごいんで、助けてもらいました。(小口選手から見た大髙選手は)バッティングがすごいなって。オープン戦でもすごい打ってたので。矢吹が戻って来て、出られなくなったんですけど、代打の切り札的な感じでいてくれているので、戦力です。(試合がずれこみましたが)昨日なかったのは残念だったんですけど、気持ちを切り替えることができました。(河北選手も150㌔を出しましたが)河北も投げられない時期が続いていて、「悔しさをもってやれ」と言っていたので、そこで強く持ってやってくれたんで。すごくいいピッチャーだなと思います。(打線は個々では打つようになりましたが)チャンスを作れて、あと1本出ない。今日の試合は8、9点取らないといけない試合だったので、まだまだ詰めが甘いなと思います。(今日の課題は)監督に指示されたことを徹底できていないことがつながらない原因かなと思います。(相手投手の交代が多いですが)東洋に対する策略なのかなと思うので。まっすぐが速いピッチャーは打てると思っているので、変化球で交わしてくるとか、タイミングが一人一人違うので、そこでずらしてこようとしてくるのかなと思います。(今日の勝利について)勝ちは本当に大きいです。流れ的にも負けてもおかしくない試合だったので、そこで勝ち切れたのは本当にデカい。(次戦に向けて)先を見ずに、とりあえず目の前の一試合、一球に集中してやっていきたいです。


・大髙(営3=常総学院)

(打席に入った時の気持ちは)ピッチャーが頑張ってくれたんで、絶対打ったろという気持ちでした。(代打はいつのタイミングで告げられたか)早めに告げられてはいたんですけど、なかなか場面がなくて、最後あんな感じで出してもらえました。(狙い球とかどんな風に考えていたか)まっすぐ一本というのがチームで出てたんで、それを狙っていきました。(打ったのは)フォークか落ちる系ですね。(抜けた瞬間はどうでしたか)うれしかったです。(タイブレーク入るまでは拮抗(きっこう)してましたが)我慢だったり、ここは抑えるしかないと。(チームにとって今日の1勝は)3連勝で来ているので、このままの形で全勝できるように頑張ります。(今年のピッチャー陣は駒が揃っていますね)いつも練習試合でもピッチャーには助けてもらってばかりだったんで、この大会でもバッターはピッチャーに助けてもらってばかりだったので、バッターもしっかりやっていこうといった感じです。(代打で入るときに自分で心がけていることは)初球は振ろうと思っているんですけど、今回は振らなかったです。積極的にいくのを心掛けています。(この春の個人的な目標は)自分的にはないかな。チームが勝てればいいかなって感じです。



TEXT/PHOTO =宮谷美涼・青木智哉