聖地神宮に戻ることを夢見て、チーム一丸となりこの春を戦った東洋大の戦士たち。厳しい2部を戦い抜き、1部への切符を掴みかけたが、最後は戦国東都の重圧がのしかかり、思い出の地で涙を流した。心に焼き付く経験をした選手たちは何を語るのか。14日間にわたり彼らの思いをお届けする。
第3日目は、安定感のある守備でチームを支えた加藤響内野手(総2=東海大相模)。春から打撃不振に苦しみ、悔しい思いもたくさんしてきた彼が語る今シーズンの思いとは。(取材日・7月16日、聞き手=一ノ瀬志織)
ーー今季を振り返っていかがでしたか
自分の結果ではなく、チームが勝つことを第一に考えていました。バッティングは今シーズンは、あまり良くなかったのですが、守備では貢献できた所があり、次のシーズンはもっと打って、よりチームの力になれたらと思っています。
ーー個人としての振り返りはいかがですか
バッティングでは、リーグ戦の前から4番などの上位打線を打たせてもらいましたが、結果的に不甲斐ない成績となってしまいました。自分がもっと打っていたらチームも楽に勝てたのかなと思います。その部分ではすごく責任を感じました。そのような中、落ち込んだ時に先輩がたくさん声をかけてくれました。メンタルがきつい時でも、試合に出ている分、みんなの思いを背負っているので「しっかりプレーをしないと」と思いました。バッティングに関してはこれからもっとレベルアップしていきたいです。
苦しみながらもフルスタメンで出場した
ーー不調の中でもベストナインに選ばれましたが、要因は
守備だと思います。ノーエラーで、結構ピンチの場面でも良いプレーができました。そこが一つの要因でベストナインに繋がったのかなと思います。
ーーチャンスで回ってくる機会が多かったですよね
最初はあまり気を負わずにいられましたが、思うように調子が上がらない状況で打席が回ってきた時は、不安がありその結果として負けてしまったのかなと思います。そんな時こそ積極的に自分の良さをガツガツ出せたらバッティングも良い方に向かうと思います。
悔しさを見せる場面も多く見られた
ーー打席に入る時はどのような心境でしたか
調子が悪くなるとボールを見始めてバットが振れなくなるのが自分の悪いところです。技術もありますが、それより気持ちや準備の部分が大きいです。良い時やヒットが出る時は初球から振りにいっていました。ガツガツしたプレーは守備では表現できていると思いますが、バッターボックスではあまり表現できていないのでもっと心がけてやっていけたら、チームにも勢いがつくと思いますし勝利に貢献できると感じました。
ーー入替戦まではどう過ごされていましたか
バッティングや守備も色々ありましたが、特に変えることはなく、チームのためにという思いでずっと練習をしていました。中大はピッチャー陣がとても良いということで、バッティングは苦しいだろうという話があり、色々な工夫をしました。
ーー入替戦を振り返っていかがでしたか
中央大学は気迫が違うなと2戦目も3戦目も感じました。向こうの主力が坊主にしていて、その行動で向こうは勢いのままと言うか、一人一人の気持ちがつながっているのを感じました。技術云々ではなく、メンタル的なところも含め、全てにおいて負けていたのかなと思います。
2度目の出場となった入替戦
ーー特に印象に残っている試合は
中央大学との第3戦です。自分の高校の先輩の森下先輩(中大)がいて、とても気迫のあるプレーで自分も同じように気持ちを全面に出したらもっと良い選手になれるのかなと思いました。悔しい思いもありましたが、良い選手を目の前にして刺激を受けました。先輩の背中も見れたのでこれからの自分のプレーに活かしたいです。
ーー今季得た課題と収穫は
エラーなしで今シーズンを終えられたので、守備ではチームに貢献できたと思います。バッティングに関してはまだまだ課題があり、一個ずつ潰していければ、また良くなっていくと思います。調子が悪くなると少し消極的になることが自分は多く、その部分は常に積極的にもっともっと意識してやっていきたいです。
今季守備では無失策だった
ーー2年目となったこの春はいかがでしたか
去年の春同様、自分の思っていた力が出せなかったと感じていて、この1年間を振り返っても自分が思うような成績が残せず、この春は絶対に結果を出そうと思っていました。しかし、上手くいかないことの連続で、苦しい思いをしました。なので、ここで我慢して踏ん張ってやり続けることが大事だと思います。秋に向けて一から基本から見直してやっていきたいです。
ーーこれから意識していきたいことはありますか
チームの雰囲気はとても良いと思うのでそこは続けていきたいです。今、先輩たちも声をかけてくれていてとてもやりやすい状況だと思います。4年生は最後ということで緊張やプレッシャーがあると思うので、下級生である自分達が活躍してチームを盛り上げていけたらと思います。秋は見返してやるという気持ちです。
試合では同期の一條への声掛けをしていた
ーー4年生への思いをお願いします
今の4年生は1年の頃から声をかけてくれて、一緒に試合に出る中でもたくさん心配をしてくれて恩が沢山あります。この秋はなんとか1部にあがって4年生に良い思いをさせてあげたいという思いがあるので、恩返しできたらなと思います。
ーー夏に取り組みたいことはありますか
中大をはじめとした良いチームは体が大きいので、食事に気を使い、ウエイトトレーニングをメインでやって、体を大きくすることを心がけています。また、技術的な部分よりも1年間シーズンを通してレギュラーでプレーする身体が大事になると思うので食事やウエイトを大切にしています。
ーー最後に秋に向けて一言お願いします
ずっと期待されている中で結果を残せていません。4年生に恩返ししたいという気持ちと自分の活躍で1部にあげるんだという気持ちを強く持って見返してやるという意気込みで秋、絶対に1部にあがります。
◇プロフィール◇
加藤響(かとう・ひびき)
生年月日/2002・6・15
身長・体重/180㌔・82㌢
好きな芸能人/サンドウィッチマン
欲しいもの/スニーカー
ココを見てほしい/ガツガツ気迫のあるプレー
自分のライバル/西川僚祐(千葉ロッテマリーンズ)選手(高校時代に寮で同じ部屋だった)
尊敬している人/門馬監督(東海大相模高校時代の監督)
◇連続インタビュー一覧◇
第1日目:杉本泰彦監督 「今度はもっと強いチームを」
第2日目:宮下朝陽内野手 「いい経験になった初めての春」
8月4日 石上泰輝内野手
8月5日 後藤聖基捕手
8月6日 橋本吏功外野手
8月7日 水谷祥平外野手
8月8日 渡邊友哉投手
8月9日 細野晴希投手
8月10日 松澤海渡投手
8月11日 矢吹栄希外野手
8月12日 松本渉外野手
8月13日 河北将太投手
8月14日 小口仁太郎主将
PHOTO=宮谷美涼