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聖地神宮に戻ることを夢見て、チーム一丸となりこの春を戦った東洋大の戦士たち。厳しい2部を戦い抜き、1部への切符を掴みかけたが、最後は東都の重圧がのしかかり、思い出の地で涙を流した。心に焼き付く経験をした選手たちは何を語るのか。14日間にわたり彼らの思いをお届けする。
第2日目は、ルーキーながらスタメンとして攻守にわたりチームに貢献した宮下朝陽(総1=北海)内野手。大学野球初めての春を振り返る。(取材日・7月16日、聞き手=成吉葵)
ーー今季を振り返っていかがでしたか
環境が変わって上手くいかないことも多くあり大変でした。そんな中、先輩たちが自分がやりやすくなるように気を遣ってくれましたし、たくさん助けられました。自分はその期待に応えなきゃいけないっていうのもありました。新人賞とベストナインをとれたことは自分に自信になったし、期待にも少し応えられたかなとは思います。
ーースタメンを告げられた時は
試合に出ると言われていなくて、国士大との試合のオーダー発表の時に自分の名前があって初めて知りました。不安と緊張しかなかったです。
ーーそれまでセカンドを守っていた先輩の松本憲(営2=成田)選手からからアドバイスはありましたか
「最初はみんな緊張する。エラーとか気にしないで全力で頑張れ」という言葉をいただきました。
ーーそれでは、国士大戦を振り返って
セカンドというポジションを守るのが初めてで、景色や動きが今までと全然違って、守備に意識を向けていました。
初スタメンとなった国士大1回戦
ーー5月初めのオープン戦では本塁打を放ちましたね
大学生の球を目にして、そこから練習で対応できる打ち方を模索していました。丁度ゴールデンウィーク辺りに掴み始めた気がします。
ーー印象に残っている試合はありますか
専大戦のサイクル安打を達成した試合が1番印象に残っています。
一打席目は公式戦初ヒットだった
ーーどのタイミングからサイクル安打を意識したのでしょうか
ホームランを打った直後から意識しました。あの日は球が見えていて、残っているのも単打だったので最後はそれを狙っていました。
サイクル安打達成後は笑顔を見せた
ーーリーグ戦を終えて、自身の結果をどう見ていますか
本塁打を打てて、サイクル安打を達成して、良かったことは多くあります。しかし、最終的な数字には満足していません。疲労による波があって、バッティングの形が崩れてしまって、リーグ戦中に修正できなかった。もっと安定して打てるようになってチームに貢献したいです。
ーーリーグ戦での収穫はありましたか
大学生の球筋や動きのキレも体感できましたが、何よりも試合の感覚を得られたことが1番大きかったです。
1年生ながらもチームの勝利に大きく貢献した
ーーリーグ戦を経験して、大学野球と高校野球の違いは感じましたか
投手の球のスピードやキレ、野手の動きの機敏さが全く違うなって思いました。
ーー高校ではトーナメント方式でしたが
リーグ戦は必ず複数試合を戦う。同じ相手ということや、前日の勝敗に関係なく試合があることは気持ち的にも身体的にも大変でした。
ーー入替戦は緊張はしましたか
初スタメンの時よりは緊張しませんでした。打撃もリーグ戦終了後に自分の形に戻すことを意識していたので悪くはなかったです。
入替戦が神宮デビューだった
ーー入替戦3戦目では最後、打球が横をくぐり抜けていきました
最終回に守備位置についたときに、何となく球が来そうだなって思っていました。実際飛んできて捌けなかったのは悔しかったし、負けた瞬間は頭が真っ白でした。
ーー初めての神宮球場でしたが戦ってみていかがでしたか
とてもプレーしやすかったし、いい経験になりました。来年の春は絶対ここでプレーしたいです。
神宮でも存在感抜群だった
ーー東洋大学を選んだ理由を教えてください
寮とグラウンドと室内練習場が全て近くて効率よく練習できる環境だったことが大きいです。北海道で育って、冬の練習は苦労したのでとても恵まれていると思います。
ーー最後に、この夏はどのようなことに取り組みたいですか
体力づくりです。打撃も守備も大事ですが、体力がなくては両方こなせないですし、試合にも出られないので。守備に関してはもっとセカンドに慣れて球際に強くなりたいです。打撃に関しては球に差し込まれないようにしたいです。
◇プロフィール◇
宮下朝陽(みやした・あさひ)
生年月日/2004・1・26
身長・体重/183㌢・86㌔
好きな食べ物/肉
理想の選手/吉川尚輝(読売ジャイアンツ)選手。走攻守バランスの良い選手を理想としているから。
好きな選手/木村大成(福岡ソフトバンクホークス)選手は北海高校の同級生なので応援している。
金色サングラスの理由/MLBで活躍しているタティスJr.(サンディエゴ・パドレス)選手が好きで、金色のサングラスを使っているから。
◇連続インタビュー一覧◇
8月2日 宮下朝陽内野手
8月3日 加藤響内野手
8月4日 石上泰輝内野手
8月5日 後藤聖基捕手
8月6日 橋本吏功外野手
8月7日 水谷祥平外野手
8月8日 渡邊友哉投手
8月9日 細野晴希投手
8月10日 松澤海渡投手
8月11日 矢吹栄希外野手
8月12日 松本渉外野手
8月13日 河北将太投手
8月14日 小口仁太郎主将
PHOTO=宮谷美涼