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2019.04.30
硬式野球

[硬式野球]平成から令和へ 東都大学野球リーグの軌跡と後半戦の注目選手

 1989年から31年間の時を過ごした平成が4月30日に終わりを迎えた。そこでスポーツ東洋は東都大学野球連盟協力のもと平成元年春季リーグ戦(1部・2部)の結果を紹介すると共に、30年間で1部リーグ戦優勝経験のあるチームの優勝回数と2部降格回数の表を作成。令和という新たな時代に頂点に立つのはどこの大学か。リーグ戦後半の注目選手と共にお送りする。


・平成30年間1部優勝経験校の成績

学校名優勝回数2部降格回数
東洋大13
青学大11
亜大18
駒大7
日大
専大
立正大
中大
国学大


・平成元年春季1部リーグ戦勝敗表


専大駒大青学大国学大亜大中大
専大×
駒大×
青学大×2①2①
国学大1①×
亜大1①×
中大×


・平成元年春季2部リーグ戦勝敗表


東洋大拓大日大国士大東農大立正大
東洋大×
拓大×2①2①
日大×
国士大×
東農大1①×
立正大1①×


丸数字は引き分け数


~鍵はルーキー~

松本が俊足で相手をかき乱す

   開幕戦である中大、2カード目の国学大戦をいずれも勝ち越しで終え勝ち点2を手にした。その中でも活躍が目立ったのはルーキーの活躍だ。チームとしては昨年の岡﨑(営2=帝京)、一昨年の村上(総3=智弁学園)と毎年新戦力が躍動する。しかし、今年は例年に比べ神宮球場デビューを遂げた選手が多い。まず、野手陣からは松本(営1=龍谷大平安)。小柄な見た目とは裏腹に追い込まれるまでは広角に大きな打球を飛ばす。だが、追い込まれると一転して粘る姿は中島卓(北海道日本ハム)を彷彿(ほうふつ)とさせる。これに関しては「高校の時から追い込まれたら粘る方針でした」と名門で鍛え上げられたミート力の賜物(たまもの)のようだ。


2戦目先発を託される渡邊

   続いて投手陣からは新・東洋三羽烏が1年生ながらに勝負どころでマウンドを託されている。先発投手として活躍するのは渡邊(営1=報徳学園)。ここまで白星には恵まれていないものの、初登板の中大1戦目では4回1/3を投げ1失点と好投を披露した。「まだまだ修正するところはある」と満足せずに高みを目指す。勝利パターンには松澤(営1=帝京)が構える。まれに制球を乱す場面もあるものの、力強い直球と2種類のツーシームを駆使する右腕。「高校の時からエースナンバーだったけど中継ぎをやっていた」と経験十分なこの男が相手打線を調理する。最後に紹介するのは、クローザーとして九回を締める河北(営1=浦和学院)だ。昨年度まで東洋の九回といえば甲斐野(H30年度営卒=福岡ソフトバンク)が締めていたが、その後釜を務めている。決して上背は高くないものの、質の高い直球を軸に相手打者を寄せ付ない。デビュー戦の中大1回戦では三者連続三振と圧巻の投球を披露。新時代の幕開けを感じさせると神宮球場がざわついた。今やトレードマークとも言える帽子を落とす姿だが、「ちょっとサイズが」と恥ずかしげ。使用している帽子のつばには"強気。"と書いてあり、オープン戦まで渡邊が使っていたものだ。   リーグ戦も折り返しを迎えたが、優勝するためには新戦力の躍動が不可欠だ。4年間を充実したものにするために、若き東洋戦士は明日も戦う。   



〜エースの自覚〜

一冬で大きく躍進した村上

   今季の台所事情を語る上で外せないのは村上の存在だ。昨秋終了後から「来年は俺が」と口すっぱく言い続けたエース。オープン戦からこれまでの村上とは違った。昨年のオープン戦では登板試合のほとんどで被弾する姿が目立ち、本人も「(毎回打たれるのに)何か名前つけてください」と冗談交じりに語るほどだった。そのままシーズンに入るも豪華投手陣の影に隠れてしまい投球機会に恵まれることはなかった。そして、迎えた2019年。オープン戦では、持ち味であるコーナーへの制球力で強豪チームを相手に渡り合ってきた。
    順調な調整のままリーグ戦に入ると、初戦から圧巻の投球を披露する。開幕戦である4月8日の中大戦。大雨の中で行われた一戦も、5回を投げ抜き被安打はわずかに2本、7奪三振の投球術にさすがの一言に尽きる。ここまで3戦に先発するも、あまり天気に恵まれず2戦が雨天の中での投球となっているが「雨はそんなに気にならない」とにっこり。最後に笑うのはこの男。エース・村上の奮闘がリーグ制覇を近づける。


TEXT=須之内海   PHOTO=川口朋珠、須之内海