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2019.12.31
硬式野球

[硬式野球] ”神宮に立つのは俺たちだ” スポトウ的来年度の注目選手 最終日・矢吹栄希外野手

   再び頂を奪取するためには何が必要なのか。公式戦全試合に帯同、オープン戦にも足繫く通ったスポトウ記者が来年度の活躍が期待される各学年の投打のキーマンを紹介する。


   最終日は杉本監督から「来年の主軸を担うであろう存在」と期待がかかる成長株・矢吹栄希(総1=聖光学院)。


 野球との出会いは3歳の頃。野球とソフトボールをやっていた兄と、当時そのソフトボールチームのコーチを務めていた父の影響で野球を始める。「幼い頃から遊ぶ場所といえばグラウンド」と答えるほど、野球はとても身近なものだった。本当に野球が大好きで、ずっとボールを追いかけていたという矢吹は地元のチームに所属し硬式野球を続け、高校は名門・聖光学院に進学。1年秋からセカンドのレギュラーを獲得すると、2年時には聖地の土を踏んだ。日本一を目標に挑んだ3年目。順調に初戦を突破したが、第2回戦はエース左腕・渡邊(総1)率いる報徳学園が立ちはだかった。2対3と1点ビハインドで迎えた九回裏。1死一塁と一打サヨナラの好機で、打順は主将・矢吹へ。2球目をバットに当てると懸命に走り一塁へと頭から滑り込んだ。しかし、わずかに送球が勝り投併殺でゲームセット。死力を尽くし戦った主将は悔しさで固まった。


   夢半ばで終わった甲子園から時が経ち、自らの進路を考えなければならない時期に。幼い頃からの夢であるプロ野球への道へ進むのか、それとも経験を積むべく大学に進学すべきか。弱冠18歳の少年は悩んだ。 人生におけるこの大きな舵取りに勇気を与えたのは聖光学院出身の先輩たち。なかでも大きかったのは矢吹にとって理想の選手像である佐藤都(法4=聖光学院)の存在だ。今秋、見事千葉ロッテマリーンズからドラフト2位指名を受けた佐藤都だが、高校時代はプロ志望届を出すも指名漏れを経験。しかし、大学4年間しっかりと鍛錬に励みプロ野球選手にまで上り詰めた。それを受け「自分も都志也さんのように4年間で成長して、プロに行く」と矢吹は決意を胸に東洋の門を叩いた。

   

   ゴールデンルーキーとして期待された1年目は伸び悩んだ。リーグ戦ではベンチ入りこそするも、わずか4試合の出場とあまり機会に恵まれず。しかし、夏季オープン戦では「ガツガツした姿勢を見せたかった」と、社会人相手にも臆することなく2打数2安打と自慢の打撃を見せつけた。また、出場機会に飢えた矢吹は本職の内野のみならず外野にも挑戦。「レギュラーを勝ち取るためにひたすら練習するしかない」。最初は慣れない守備に戸惑いもあったが、他の選手よりも多くノックを受けたり、先輩たちの声に耳を傾けたりと積極的に取り組む姿も。矢吹は自慢の強肩を武器に、どんな場所でも主戦力になるため戦うことを決めた。山田(総4=桐生第一)と小峰(営4=帝京)が卒業し、副将の納(総3=智弁学園)の言葉通り「横一線でのスタート」となった今、チャンスは十分にある。


 「俺はここまで来た。あとはお前もここまで来い」と、目標としている佐藤都から期待の言葉をかけられた矢吹。”東洋大日本一奪還”という栄光に輝くには、不屈の闘志を抱くこの男が必要だ。戦国東都を代表する希世の英雄になるべく、今こそ悔しさをバネに進むとき。持ち味である巧みな打撃を磨き上げ、己の夢に追いつけ追い越せ。



◇秋季リーグ戦終了連続インタビュー◇

[硬式野球]~課題を見つけた実りの秋。再挑戦へ~15日間連続インタビュー 


◇硬式野球部 主将副将紹介◇

新幹部就任〜巻き返しに燃える男たちのここを見ろ!


◇スポトウ的来年度の注目選手紹介◇

第1日目:強豪撃破の万能右腕有馬海人 大学球界でも片鱗見せるか


第2日目:期待を背負う右の大砲酒巻翔 挽回誓うラストイヤーへ


第3日目:憧れの先輩たちに続け 伝統の姫路の系譜継ぐ山内響の挑戦


第4日目:復活を誓う天才打者岡崎心 怪我を乗り越え勝負の1年へ


TEXT/PHOTO=谷口遥菜