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組み合わせの関係で6月12日に初戦を迎える東洋大。一昨年、昨年と3年連続の全日本大学野球選手権大会(以下、全日本選手権)となる今年は本拠地と言える神宮球場で全日程を迎える。3度目の正直を果たし、悲願の優勝なるか。スポーツ東洋独自の目線で展望をお届けする。
3年連続の全日本選手権への出場権を獲得した
〜投手起用に注目〜
エース・村上の奮闘に期待
投手陣の注目はエース・村上(総3=智弁学園)だ。入学してからの5シーズンで4度全国の舞台まで進んでいるが、登板はわずかに1年時の明治神宮野球大会での1イニングのみ。当時とは違い、今年はチームをリーグ優勝へ導いた。「目標の防御率0点代を達成できたのは良かった。あとは四球を減らしたい」と今季を振り返る。さらには今年度の大学野球日本代表選考合宿のメンバーにも名を連ねる右腕。この男の活躍が今から待ち遠しい。
さらに高校時代、大舞台で結果を残してきたルーキーたちもブルペン陣として待機している。リーグ戦では最終回を投げ続けた河北(営1=浦和学院)やセットアッパーとして熱投を続けた松澤(営1=帝京)など、神宮球場のマウンドで今年実績を積んだメンバーがそろう。プロ入りを果たした3投手を含む豪華投手陣を要しても達成できなかった日本一へ、新戦力の躍動にも注目したい。
〜キーマンは俺だ〜
山田の豪快な一撃に期待したい
打者陣では4年生の活躍が目立った今季。ベストナインを獲得した佐藤都(法4=聖光学院)を筆頭にタイトル獲得選手は計4名となった。その中でも注目は山田(総4=桐生第一)だ。圧倒的なパワーで今季まで0本塁打だったにも関わらず、リーグ記録まであと3本に迫る5本塁打を放ち令和初の本塁打王に。これには「出来過ぎなシーズン」とニヤリと一言。この男の持ち味はパンチ力もさることながら、50m6秒をマークする脚だ。今季も力強い打球を警戒するあまり相手の守備シフトが後ろ目になることが多く、叩きつけた当たりで内野安打を放っていた。全日本選手権のキーマンに「自分です」と挙げる大砲が圧倒的なポテンシャルで全国に名をはせるか、この男の活躍に期待大だ。
また、今年のチームの特徴は内野手陣の若さにある。1年時から遊撃を守り続けている小川(法3=霞ヶ浦)を筆頭に全ポジションか3年生以下という布陣でリーグ戦の大半を戦い抜いた。その中で注目は、一塁を守る諏訪(総3=浦和学院)。シーズン途中から戦列に加わり、序盤こそ快音は響かなかったが優勝へ近づくにつれ攻守での貢献が目立った。一塁で美技を繰り出すこの男に注目だ。
〜やっぱり東洋No.1〜
明大エース・森下
続いて、対戦校だ。初戦の相手は桐蔭横浜大(神奈川大学野球連盟)と中京学院大(東海地区大学野球連盟)の勝者になる。桐蔭横浜大は打撃で目を引く成績を残している。春季リーグ戦では勝率.750と他大を寄せ付けないだけでなく、合計74得点を挙げる破壊力を持つ。これには投手陣も手を焼きそうだ。一方、中京学院大は豊富な投手陣が魅力のチームだ。東海地区大学野球春季選手権大会では2試合で3投手が登板し、計2失点という安定感を持つ。対戦相手となるのは、猛打を誇る桐蔭横浜大か守り抜く中京学院大か。どちらになっても相手に不足はない。
全日本選手権前半の注目はやはり、ともに神宮球場をホーム球場として戦う東京六大学連盟との対戦がある第4日目だろう。エース・森下(明大)を軸に勝ち上がってきたリーグ戦の戦いぶりは東洋大と似たものがある。お互いに連戦となる中、投手起用は大きな鍵となりそうだ。普段、指名打者の起用がない明大が誰を指名打者に置くのか、指揮官のタクトにも注目が集まる。
大学最高峰まで残り4勝。頂の向こうには何が見えるのだろうか。選手一人ではたどり着くことは出来ないその景色。だが、今年のナインが集まったのなら見れる景色が広がる。
TEXT=須之内海 PHOTO=齋藤胤人、須之内海、谷口遥菜、齋藤洋