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2021.08.09
硬式野球

[硬式野球]〜試練を与えられた春。ここからが勝負〜14日間連続インタビュー第9日目・松本渉外野手

2年ぶりに開催された春季リーグ戦。前半は4勝2敗と春4連覇の兆しが見えたが後半失速し6位で終えた。負の連鎖は入替戦でも断ち切ることはできず2部降格。神宮を去ることになった。監督、選手とも初めての経験に何を思い、どう立ち向かうのか。それぞれの心境を14日間にわたりお届けする。 


(写真提供:東都ベースボールWeb)


第9日目はリードオフマンとしてチームを率いた松本渉外野手(営3=龍谷大平安)。今季は自身が経験した4シーズンの中で最も苦しいシーズンとなった。次期リーダーの自覚を胸に今季の試合や今後の課題について語る。(取材日・7月17日、聞き手=小林夏実)


ーーシーズンを振り返っていかがですか

リーグ戦が始まる前の練習試合はすごくバッティングの状態が良くて今年のリーグ戦は自信があったんです。でもいざ始まってみると初戦の青学戦から8打数1安打で始まって、ちょっと慌てたというか、もっと結果を出さなければいけないという焦りが悪い方向に出て、そのまま結果が出ずに終わってしまったシーズンだったと思います。


ーーチームの雰囲気はいかがでしたか

特に前半戦も後半戦も声が出てないとか雰囲気が悪いというのは感じなかったんですけど、やっぱり勝てないというのは目に見えない何かがあるのかなと。それが何かはまだわからないんですけど、そういうのがあるのかなと思いました。


ーーベンチの雰囲気は明るい印象がありました

毎年1人2人ムードメーカーというか、声を出してくださる人がいるので特に今シーズン声が出てたっていうよりかは毎シーズンそのような感じなのかなと思います。


ーー印象に残っている試合はありますか

自分の中ではやっぱり初戦の青学戦と中央戦1対0で勝った試合ですね。


ーー細野投手(総2=東亜学園)と話すことはありましたか

いつも細野が先発する日の試合前にベンチ裏で準備していると細野の方から「今日はヒット3本お願いします」とか言われるんでそういう話はちょっとだけします。去年一緒の部屋だったというのあるのでとても仲は良いです。


ーー投球を見ていていかがですか

やっぱりいいときは勢いに乗ってどんどんいいボールを投げれていると思うんですけど、立ち上がりでちょっと悪いときは苦しそうに投げているときもある。もうちょっと修正というか立ち上がりがよければ後半も自信を持って投げれると思うので、立ち上がりが良くなるともっといいピッチングができるのかなと思います。


ーーDHでの出場がありましたが、ベンチから見ているチームはどのように映りましたか

いつもと景色が違いますね。例えば自分たちが2アウト二塁とかのチャンスを作ったときは絶対点が取れるというより、どうなのかなっていう不安があるんです。でも守っているときに2アウト二塁とかだとすごい点を取られそうな、自分たちが攻撃をしているときよりも点を取られそうな恐怖感があります。ベンチにいるからなのかはちょっと分からないんですけど、自分たちのチームと相手のチームの差というのをベンチから見ていてすごく感じました。


ーー出場している方が緊張感があるのかと思っていました

もちろん2アウト二塁とかで自分のとこに飛んできたりするのもイメージするので、そういった意味では緊張感はあるんですけど、ベンチで見ているとそういうのとは違った緊張感ですね。


ーー守っているときは何を考えているのでしょうか

ランナーがいるときと、いないときとでちょっと違うと思うんですけど。ランナーがいないときは横の外野手とコミュニケーションをとりながら、バッターの特徴と自分たちのピッチャーを比べてみて、どういう打球が来るのかなっていうのを一球一球アウトカウントごとにイメージします。ランナーが二塁とかにいると自分のところにシングルヒットが来た時にホームで刺せるように、そのイメージをして守っています。


ーーバッターの特徴はデータが上がってくるのですか

そうですね。分析班の方がこのバッターはこういう打球が多いとか、そういうデータがあるのでそれを参考にしながらポジショニングをとっています。


ーーセンターの橋本吏選手(総2=花咲徳栄)にはアドバイスされたりしますか

アドバイスというより、試合前に大体このバッターはこういうふうに守るという確認は取っているので試合中はその最終確認をしてるっていう感じです。


ーー同じレフトに入られた岡崎選手(営4=帝京)とは

岡崎さんもあまり神宮で守ったことがないって言っていたので、太陽の位置とか風がこういうふうに吹いているとかレフト線のところがちょっと滑りやすいとかそのような話はしました。


ーー無観客と有観客で違いは感じましたか

そうですね。まず応援があるのとないのとで雰囲気が全然違うので。あと無観客だと練習試合をしているような感覚に近いんです。人が入っていると入っている分緊張もするので、自分は有観客の方が気合が入るというか、いい緊張感を持ってできると思います。


ーー外野ですぐ後ろに応援団がいると聞こえ方は違いますか

そうですね。特に相手が三塁側の時はレフトに相手の応援が来るので、こっちがピンチの時とかはちょっと嫌かなっていうのはあります。


ーースタンドの見え方は違いますか

外野だと後ろを向かないと視界に入ってこないので。外野手は応援が近いので音は大きいんですけど、視界にはあんまり入って来ないのでそんなには気にならないかなと思います。


ーープロ野球のような観客がいないといろいろな音が聞こえるというようなことはありますか

どうなんですかね。普段から練習試合とか練習で出している声とかが無観客だと聞こえるので、そこまで僕たちは違和感はないというか、いつも通りの感じはします。



ーー入替戦までの期間はどのように過ごされていましたか

1ヶ月ちょっとあったので、バッティングフォームを少し大きくしようと思って。リーグ戦期間中はなかなか勇気を持って変えられなかったので、バットをより短く持ったり、ボールの待ち方を変えました。


ーーバッティングフォームについて具体的に教えていただけますか

大きくっていうのは身体の動きではなくて、例えばリーグ戦期間中だとバットを短く持つと言っても指1本か2本くらいしかなかなか変えられないんです。でも1ヶ月間期間があったので、こぶし1個分短く持って見たりとか、今までは低く構えていたところを棒立ちでちょっと力を抜くように。佐々木さん(営4=帝京)みたいな感じで。監督さんに「もっと力を抜いて構えた方がいいんじゃないか」というふうに言われました。


ーー入替戦から実践されていましたか

そうですね。入替戦から新しいフォームでいきました。


ーー感覚はいかがでしたか

まだ完璧に習得できていなかったのでちょっと自分の悪いところが出たりとかはしたんですけど、やろうとしていることは少しできたので、少し自信につながりました。


ーー入替戦は4打数2安打でした

負けてしまったら意味がないとは思うんですけど、個人的には本当に最低限の結果は出せたかなと思います。


ーー入替戦2戦目はご覧になっていましたか

練習終わってからずっと見てました。


ーー自分たちの勝敗ではなく降格が決まりました

まあ立正に勝ってほしいと思って見てはいました。それで立正が負けて、僕たちが2戦目をやらずに終わってしまったんですけど、それは僕たちが1戦目負けたのが悪いので、僕たちの負けが全てかなと思いました。


ーー自分たちの結果ではないですがすんなり受け入れられた感じですか

自分たちが勝っていれば立正の勝ち負け関係なくもう1試合できたと思うので。その一発勝負で勝ち切れなかったというのが自分たちの弱さなのかなと思いました。


ーー具体的に課題になったことはありますか

チーム全体ではリーグ戦が終わって入替戦に向けてバットを短く持つことや、インコースは打たないということを決めてそれを徹底して1ヶ月間練習してきたんですけど、それが本番でできなかったので。もっと練習からチーム全体で意識を高くやっていかないと本番一発勝負では結果が出ないと思ったので、練習からもっと厳しくやっていかないといけないのかなと思いました。個人的に今年のテーマというかもっと強い打球を打ちたいっていうのがあったんですけど、それが悪い方向にいってしまったので、力を抜いて打つっていうのを今はやっています。それを学べたので良かったとは思いますし、新しい発見もあったので無駄なシーズンではなかったと思います。


ーーどんな発見ですか

ピッチャーが投げてきたボールに対して、自分はそんなに力がないのでそのボールを力一杯全力で振るとロスが生まれて、力んだりファウルや空振りが多くなったりしてしまうんです。相手のボールをいかに利用して打つかっていうのを今はテーマにしてやっているので、無駄な力を入れずに素直にピッチャーのボールを打つという発見がありました。


ーーそれが夏に取り組むことにもなりますか

そうですね。どうしてもピッチャーによったり自分の調子によっては力が入ってしまうことがあるので、いつでも脱力した状態で打つということの確立をこの夏でしっかりやっていこうと思っています。



◇プロフィール◇

松本渉(まつもと・しょう)

生年月日/2000・7・27

身長・体重/167㌢・64㌔

出身/三重県

座右の銘/『独善』(杉本監督からいただいて意識している言葉)



※感染症拡大予防のため、オンラインでの取材をもとに作成しています。

※新型コロナウイルスに羅患された方々の一日も早い回復をお祈りいたします。



◇連続インタビュー一覧◇

第1日目:杉本泰彦監督

第2日目:加藤響内野手

第3日目:橋本吏功外野手

第4日目:後藤聖基捕手

第5日目:細野晴希投手

第6日目:廣岡隆成捕手

第7日目:松澤海渡投手

第8日目:羽田野温生投手

8月10日小口仁太郎内野手

8月11日大宮隆寛投手

8月12日瀬川航騎内野手

8月13日木村翔大内野手

8月14日佐々木俊輔外野手