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2021.12.16
硬式野球

[硬式野球] 〜実力を知った秋、1部目指して正念場の冬へ〜 13日間連続インタビュー第9日目・矢吹栄希外野手

活動停止という異例の夏を乗り越え、1部昇格という目標を失いながらも臨んだ秋季リーグ戦。万全の態勢ではない中、全勝を目標に掲げた東洋ナインだったが2部3位と悔しさを味わうこととなった。彼らは地固めといえる今季をどう捉え、1部昇格を目指す来季に向けて何を得たのだろうか。13日間にわたって彼らの思いをお伝えする。


(写真提供:東都ベースボールWeb)


第9日目は、今季2部打率2位と絶好調でリーグ戦を走り抜けた矢吹栄希(総3=聖光学院)外野手。悔しさを味わった昨季から、成長を遂げた今季、さらに高みを目指す来年に向けて、自身だけではなく今のチームについて詳しく語った。(取材日・11月21日、聞き手=宮谷美涼)


ーー今季を振り返っていかがでしたか

やってきたことを結果として現すことができたのでそれは良かったかなと思います。点数をつけるとしたら90点です。打撃面では率を残せて、持ち味の長打という部分に関しても多く打っていたので、そこの部分は良かったかなと思います。


ーー昨季はスタメン落ちを経験しましたが、そこから得たものはありましたか

最初の方スタメンでずっと出ていて、調子が上がらずスタメン落ちというのは自分の野球人生の中でもなかなかないことで、本当に悔しい思いをしました。でもそこからもっと頑張ろうという気持ちになれたので、それが今シーズンの結果につながったかなと思います。


ーー今季の目標を教えてください

打撃面ですね。やっぱり長打や率を残したいという目標を持って挑みました。目標は思ったより達成できたと思いますね。


ーー印象に残った試合・対戦校はありますか

 最終戦でしたね。1位の専修大の南保君と首位打者争いをしていて、お互い意識し合う部分はありました。途中で交代してしまったんですけど、2打席の中の大事なところで1本出せたというのは自分の中で自信につながりましたね。


ーー昨季2部に落ちたことから得た課題はありましたか

大事な場面、ここ1本という場面で出なかったシーンが結構多かったので、もっと練習の中であったり、オープン戦の中で緊張感を持つ必要があるのかなという風にチームの課題は見えてきました。


ーー2部で戦ってみていかがでしたか

「戦国東都」と言われているだけであって、1部もそうですし、2部も高いレベルだなって感じました。力だけでいったら1部も2部も変わらないです。


ーー様々な球場で試合をしましたが、今まで戦ってきた神宮球場と異なる点はありましたか

全然雰囲気が違いましたね。神宮球場の方が変な緊張感が出てきたりするので、そういう意味では他の球場とはまた神宮とは違った空気感でしたね。神宮はピリッとした空気感があるなと思います。


ーー今季好調の要因はなんでしょう

昨年に比べて打席の中で考えてピッチャーが次どの球を投げてくるかだったり、相手のキャッチャーだったり、ピッチャーの配球だったり、そういうのを考えながら打席に入れるようになったので、そういうのが率につながってきているようになっているかなと思います。


ーーそれでは昨年はどのようなことを考えていましたか

なんかもう「打ちたい打ちたい」という欲ばかりが勝ってしまっていたので、それじゃあ打てないと言うことに気づいて、もっと考えて打つことが大事だなと気付きました。


ーー初戦はチームの雰囲気が暗いように見えましたが実際はいかがでしたか

緊張感というか、やっぱり2部で試合したことがなくて、前のシーズンでずっと負けっぱなしでさすがに勝たないといけないという試合だったのでそういう意味ではみんな浮き足立っていたっていうか、そういう緊張感はあったのかなと思います。


ーーベンチで小口(法3=智弁学園)選手や松本渉(営3=龍谷大平安)選手と話す機会が多く見られました

松本渉は「ピッチャーがこういう球だったよ」とか配球だったり球質だったり、けっこうアドバイスしてくれることが多いんですけど、小口とは、小口が4番で自分が5番だったので、「俺が塁に出て、お前が返せよ」みたいなそういう話はしてましたね。


ーー最終戦で高校の先輩である瀬川(総4=聖光学院)選手の打席の時に力強く呼びかけていましたがどのような思いがあったのでしょうか

一応、高校の時から仲良くさせてもらっていた先輩だったので、大学でプレーできるのが最後ということで。その時の(立正大の)キャッチャーも自分と(高校の)同級生だったので、瀬川さんというよりかは、そのキャッチャーに「お前分かってるんだろうな」という感じで、瀬川さんにも「まっすぐ来るから狙っていけ」と言っていました。


ーー瀬川選手はどういった先輩ですか

優しくて、なんかこうマブダチみたいな感じです(笑)。本当にめちゃくちゃ仲のいい友達みたいな感じですね(笑)。


ーー他の4年生はどういった方々でしたか

みんな友達みたいな感じで、先輩というよりは上下関係なくてみんな友達みたいな感覚で接しているので、本当に優しい方ばっかりですね。仲が良かったのは、元部屋子だった木村(総4=霞ヶ浦)さんとか、大宮(法4=鳥取城北)さん、学生コーチの石川(法4=上尾)さんはよくいじったりしている仲なので、よくさせてもらっています。



ーーDHと左翼手の違いはありましたか

全然違いましたね。DHの時はバッティングだけなので、打てなかったら変えられますし、何とか結果を残さないといけないので、DHの時の方がいっぱいいっぱいになってました。守備についてからはチームが勝つためにはどうしたらいいかだったり、自分のことというよりは、このチームを良くしていくためにはどうすればいいかだったりを考えられるようになったので、周りをもっと広く見れるようになったと思います。


ーーレフト守る時に意識していることはありますか

外野からの声かけもそうですし、内野手も下級生が多かったので、ピッチャーへの声かけというのを、外野からだと遠いかもしれないですけど、なるべく近くに行って声かけするように意識していました。


ーーレフト以外にできるポジションありますか

元々ライトなんで、ライト・レフトですね。ライトの方が得意です。レフト本当にやったことなくて、このリーグ戦からレフトになりました。


ーー昨季に比べて表情が凛々しくなりましたが、御自身の中で変わったことはありましたか

やっぱり上級学年になって、しかも2部に落ちているという現実もあるので、なんとしても自分らの代で1部昇格、日本一を目指さないといけないので、そういう意味では責任感というか、今回副キャプテンにもなりましたし、そういうところから来ているのではないかなと思います。


ーー今のチームの雰囲気はいかがですか

来年、東洋大学硬式野球部100周年というのもありますし、なんとしても1部に上がらないといけないと、レギュラーだけではなくて、東洋大学野球部全員が本気でそう思えているので。練習からピリピリした空気で出来ていますし、来季に向けて準備が始まっているなと思いますね。


ーー夏の活動停止期間はどのようなことを考えていましたか

リーグ戦に出場できるかもわからないという微妙な感じで、本当に焦りというものもあったんですけど、逆に自分の中ではチャンスというか、考える時間もあったので、本を読んだり、自分の中で考える時間が増えたので、逆に良い時間だったかなと思います。


ーーどのような本を読んでいたのですか

『人生で起こること すべて良きこと』という本です。これは高校の時から読んでいた本で、逆境を越える心の持ち方みたいなことがたくさん書かれているので、これを読んで過ごしていました。


ーー今季1部昇格が無くなったことについてどう捉えていましたか

入替戦が無くなったと聞いた時は、本当にショックでしたし、何を目標をしてやっていけばいいか分からない状態だったんですけど、佐々木さんが全員集めて「来年1部昇格に向けてしっかり準備するためのリーグ戦にしていこう」という話があったので、来シーズンに向けてやっていきたいなと思っていました。


ーー今季見つかった自身の長所・短所を教えてください

長所は長打力ですね。やっぱり長打が出ると、二塁打だったら、次のバッターが1本打っただけで1点返ってきたり、良いサイクルができるので。また、得点力アップにもつながりますし、そこは長所かなと思っています。短所は今季走塁の面で盗塁が1個も出来なかった点で、別に足が遅いわけじゃないので、来シーズンはもっと積極的に仕掛けていけたらなと思います。


ーーチームの長所・短所も教えてください

長所は明るさももちろんありますし、個々の能力というのは他大に比べたら高い選手ばかりいると思うので、それをいかに線としてつなげていけるかということが大事になってくるかと思います。短所は個々の能力を活かしきれないところだと思います。チームのベンチの空気だったり、追い込まれた時の心の持ち方が、今までは足りなかったのかなと思うので、次は個々の能力を活かせるような試合の臨み方をしたいなと思います。


ーー今季、成長を感じたチームメイトはどなたですか

左向(営3=智弁学園)ですかね。最近までAチームにはいなくて能力はあるのに上がってこれないという選手だったんですけど、持ち味の足やバッティングを活かせて、やっと結果がついてきたというシーンが多かったので、左向の活躍が一番嬉しかったですね。


ーー冬に強化したいところはありますか

個人としては、大きいスケールになりたいというか、フィジカル面ももっと強くして体も大きくして、もっともっとパワーアップしていきたいなと思います。チームとしては、このひと冬で勝負が決まってくると思うので、絶対に妥協しないでチームとして追い込んでいきたいと思います。


ーー最後に来季の目標を教えてください

1部昇格です!



◇プロフィール◇

矢吹栄希(やぶき・はるき)

生年月日/2000・11・9

身長・体重/178㌢・80㌔

血液型/B型

サングラスのこだわり/見やすさを重視(レンズ大きめ)

UVERworldの好きなところ/心にくる、熱いグループなのでモチベーションが上がる(試合前に良く聞くのは『Ø CHOIR』という曲)

他の人と比べて負けないところ/練習量(他に練習している人はいるかもしれないけど、それくらいの覚悟を持って練習している)

カッコよさの秘訣/親に感謝


※感染症拡大予防のため、オンラインでの取材をもとに作成しています。


◇連続インタビュー一覧◇

第1日目:杉本泰彦監督

第2日目:一條力真投手

第3日目:加藤響内野手

第4日目:石上泰輝内野手

第5日目:細野晴希投手

第6日目:後藤聖基捕手

第7日目:渡邊友哉投手

第8日目:松本渉外野手

12月17日:羽田野温生投手

12月18日:小口仁太郎内野手

12月19日:木村翔大内野手

12月20日:佐々木俊輔外野手