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「なんとしても連覇を」。そう意気込み臨んだ東都大学野球秋季1部リーグ戦。昨年度の豪華メンバーをもってしても成し遂げることのできなかった偉業に挑むも叶わず。昇格後ワーストの5位と悔しい結果に終わったシーズンを振り返り、選手たちは何を語るのか。15日間連続スポーツ東洋独占インタビューでお届けする。
第12日目は1年間チームに帯同し、自らの役割を果たしてきた松澤海渡投手(営1=帝京)。中継ぎだけでなく先発としても登板した右腕がルーキーイヤーを振り返る。(取材日・11月10日、聞き手=谷口遥菜)
ーーまず、今季振り返っていかがでしたか
秋は不甲斐ないというか。打たれてチームに貢献できなかったっていう思いが大きいですね。リーグ戦前は質がいいというかキレがいいって感じてたんですけど、リーグ入ってからは球速も質もキレも落ちてしまって。まっすぐが基本軸となると思うんですけど、そのまっすぐがダメだったのが良くなかったです。
ーーそんなリーグ戦に点数をつけるなら
中継ぎだけで見たら0点に近いです。開幕カードで1失点。自分でやってきたことを変えてしまったというか、焦ってフォームを崩して打たれてしまいました。でも最後の中大戦の先発では、秋季リーグの中で一番良いピッチングが出来たので15点ぐらい。
ーー調子の部分は焦りが原因だったところもあるんですね
ネガティブな思考になって調子を落としてしまったっていう感じですね。春から監督さんには「ポジティブに捉えろ」っていうのを言われていたんですけど、大学入ってから抑えられるようになっててすぐに結果を残さなきゃっていう思いから神経質になってしまって。同期にも抜かされるんじゃないかっていう思考が自分は結構多いんで、そこから崩れてきちゃいました。
ーー先発での登板は15点ぐらいと評価していましたが
中大戦はストライク先行でいけたのが良い点だったと思います。きちんとファーストストライクを取れて、 自分なりに組み立てが出来ていたのかなと。
ーー今年1年戦い抜いてみてどうでしたか
春は相手も自分のデータもない中で抑えられたのかなって思うんですけど、秋になってデータを取られるようになって打ち込まれてしまいました。年間を通して抑えられる投手がチームには必要なので、そういう点では来年1年間結果を残すっていう部分を意識してやりたいと思います。
ーーゴロアウトを重ねてピンチで三振という持ち味を発揮する場面もありました
調子が良くはなかったので低めに集めようっていうのを意識してやっていました。ピンチで三振を取れたのは評価というか良かった点ですね。
ーーこの1年で成長した部分や高校との差などは
高校の時よりはストレートもアベレージが少しは上がってると思うのでそこは良かったです。でも全体的に見たら、大きくここが変わったっていう部分はなかったと思います。
ーー秋前にはストレートに威力が増したと言っていましたが、そのための練習などは
握力のトレーニングは常に3㌔のボールを掴んで離したりの練習をよくしてました。リーグ戦終わってからも学校行くときとか、簡易的な握力トレーニングの器具をやりながら登校したりしてます。シーズン入ってからもやっといたほうがいいと思うので、ずっと継続的にやっていきたいと思います。
ーーでは、見つかった課題はありますか
さっきメンタルの部分が崩れた原因でもあるって言ったんですけど、今度は普段の時から感情的にはならずに無でやってみようかなと。熱い気持ちは大事にするんですけど、打たれた時のネガティブな考えとかはなくして過ごしていこうかなって思います。
ーー練習面ではいかがですか
リーグ戦中に学校が重なっているので、その点では調整とかは難しさを感じました。夜に少しトレーニングとかランニングはするんですけど、二部生に比べたら少ない。だから自主練でしっかりと練習したりランニングしたり。メンバー入っている以上はやる責任があると思うので。もっとそれを強く意識できていれば、秋ももっと結果を残せたのかなと思います。
ーー他の投手見ていて感じたことはありますか
それぞれ特徴があると思うので、それを生かしてる人もいればまだの人もいる。他の人のピッチングを見ることで得るものが絶対あると思う。自分に持ってないものを持ってる人が絶対いるので、試合を見るっていうことは大事にしています。見ていて自分にこれ足りないなって気付かされることも多いんですよね。
ーー松澤投手にとってのライバルは
全員ですね。もう全員すごいんで。リーグ戦終盤にもいっぱい1年生が投げて、余裕ぶっこいていられないというか。この冬でしっかりみっちりトレーニングして、周りに差をつけられるようにしたいなと思います。
ーー期待している選手はいますか
羽田野(法1=汎愛)。背が高いから投げ下ろす感じで、しかも球が速いですね。野手は松本(営1=龍谷大平安)。あれだけ打つのも納得できるというか。それだけ練習してるし、常に室内でマシン打ってるんですよ。1年間で29安打打ってて普通にいったら記録抜けると思うので、安打記録塗り替えて欲しいです。足が速いからボテボテの内野ゴロでもヒットにできるし。
ーー4年生が引退しましたがどういうチームでしたか
1年生で右も左も分からない状況でリーグ戦に入って、そんな中で都志也さん(佐藤、法4=聖光学院)がしっかりリードしてくれたり。津田さん(営4=浦和学院)がサードから「しっかり腕振っていけ」とか声かけしてくれたり。そういう声かけに勇気をくれたというか自分に自信を持たせてくれて。本当に頼りになる優しい先輩たちでした。
ーー今後取り組みたいことは
トレーナーの二上さんのトレーニングを積極的に自分の中で取り入れたいなって思います。ただ筋肉アップをするというよりは身体の使い方を教えてくれるので。自分でも変わったなっていう風に実感した部分もあるし、継続することで試合前のコンディショニングとかにも生きてくると思います。
ーーでは最後に冬の間の強化ポイントを教えてください
握力と下半身の強化をしたいです。1年間戦い抜ける下半身をつくるために、自分でトレーニングして追い込んで身に付けることですね。下が安定すれば上は自然とついてくると思うので。そこを意識して取り組みたいと思います。
◇プロフィール◇
松澤海渡(まつざわ・かいと)
生年月日/2000・7・25
身長・体重/182㌢・85㌔
好きな食べ物/牛肉。レアが好き(肉食べてる感があるから)
嫌いな食べ物/野菜全部。ゆで卵、目玉焼きも嫌い
趣味/野球観戦
オフの過ごし方/寝てることが多い
好きな選手/菅野投手(巨人)。考え方がかっこいい
得意だった教科/理科、社会。覚える系は得意だったので割と点数を取れていた記憶がある
嫌いだった教科/英語。何言ってるかわからない(笑)
無人島に誰か連れて行くなら/諏訪さん(総3=浦和学院)
長期オフがあったら/虫はいないけど自然に溢れているところに旅に出たい
~連続インタビュー一覧~
第1日目:杉本泰彦監督〜「主役は選手たち」日本一の野球部に〜
第2日目:小峰聡志外野手「やり残したことはない」〜副将が振り返る大学野球〜
第3日:7季連続無失策だった男。最高の守備職人が語る未来 津田翔希内野手
第4日目:木村翔大内野手〜「存在感がある選手に」高みを目指し戦う〜
第5日目:松本渉外野手〜「もっと結果が出せる」スーパールーキーが振り返る1年目〜
第6日目:次のステージへ。未来を見据え、積み上げた努力 山下雅善投手
第7日目:むらなく活躍できる選手になるために 小林直輝内野手
第8日目:強豪校の名にかけて。飛躍誓う飛躍スーパールーキー 河北将大投手
第9日目:常に学ぶ姿勢。「自分の力を発揮するためにできることを」小川翔平内野手
第10日目:絶対的エース。副将として「プレーで見せる」村上頌樹投手
第11日目:勝てる外野手陣にするための最終学年 納大地外野手
11月28日諏訪賢吉内野手
11月29日山崎基輝新主将
11月30日佐藤都志也捕手