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度重なる苦境に立ち向かい、いざ逆襲のときを迎えた戦士たち。新型コロナウイルスの影響で春季リーグ戦の中止や練習もままならないなか、なにを考えどう秋季リーグ戦に臨むのか。日本一を目指す彼らの想いを9日間にわたってお届けする。
※感染症拡大予防のため、オンラインでの取材をもとに作成しています。
最終日は常にチームのことを考え、頂を目指し歩み続ける山崎基輝捕手(営4=愛工大名電)。憧れの先輩たちのような「東洋の主将」になるため描いた今季のチーム像とは。(取材日・9月3日、聞き手=谷口遥菜)
--春季リーグ戦が中止になってしまった際の率直な心境というのはいかがでしたか
中止の発表前に中止かもしれないって思ってたけど、いざ中止って言われたらちょっと信じられなくて。すんなり切り替えができなかったっていう感じかな。
--自粛期間の過ごし方は
中学校のボーイズ(鯖江ボーイズ)の練習に混じって参加したりした。バッティングだったりノックを一緒にやって、体幹も一緒に鍛えたりしたね。あとは山登ったりも。
--何を意識して練習には取り組んでましたか
体幹強くすることを考えてた。野球は体幹が大事だから。それとスイングスピードを早くすること。この2つは前からずっと大事にしてる。
--ボーイズの練習に混じったことによって学ぶことなどは
それが本当にあって。初心に帰れたっていうことが一番大きい。大学生になってたくさん知識が入って色んなこと考えながら野球やってた。でも中学生は野球うまくなりたいとか、いい高校だったりプロに行きたいっていう純粋さがあって。自分も中学校のときにそう思ってやってたから、それを思い出させてくれたなって。中学生と一緒にやったことで、ひたむきに野球に向き合うっていうことの大切さとか学んだ。
--寮に戻ってからの練習はいかがでしたか
とりあえずやってきたことを継続するように。あとは実戦感覚があんまりなかったから、少しでも早く取り戻したいなって思ってた。でも一番は野球ができる喜びをすごい感じたかな。
--久々の実戦で感じたことは
やっぱり野球ができる喜びとありがたさかな。野球ができる楽しさを久々に感じた気がする。
--オープン戦を振り返ってみていかがですか
個人的にはリーグ戦の開幕に向けて、自分なりの調整の仕方とかもわかってきてるからちょっとずつ上げていけたら。いま逆に良い当たりしすぎてても怖いなっていうか。もう少し調子を合わせていけたら良いかなって思う。
チームとしては一体感を持つっていうことがいまいちできてなくて苦しい8月だった。だけど、うまくいかない先にはうまくいくゴールがあるっていうか。要するに諦めたらそこで終わりだから、うまくいくって信じてやってこれたかなって。
--ミーティングでの共有事項などはありますか
今夏一番最初のオープン戦の前に、「For the team(チームのために)」っていう合言葉を考えてきたんだけどってミーティングで伝えた。それをもう一回みんなで考えてやろうって。自分がだめでもチームが勝てばオッケーだっていう考えをもっていこうってチームに共有した。
--「チームのために」という具体的な意味は
打撃でだめだったら守備で貢献する、逆にエラーしたらバッティングで貢献する。それで良いやんって。自己満足な試合をやらないように、自己犠牲の精神をもつようにっていう話はさせてもらった。4打数0安打でも進塁打打てれば、それもしっかりとした仕事をしてるわけだからチームのためになってる。結局チームのためにやった結果が自分の結果に返ってくると思う。自分の結果ばっかり欲しがって先走ってたら、焦って一生自分の結果がついてこないと思う。たとえばピッチャー村上(総4=智弁学園)が頑張ってるから村上のために点取ろうとか、チームのためにっていうのを思って打席に入るっていうことが自分の結果につながるからっていうことを伝えた。
--チームメンバーからも今回の取材でその合言葉をよく耳にしました
それを8月中に浸透させたくて、確かに今の段階でだいぶみんなに行き渡ったかなって感じはするね。結局は全てチームのためにっていう思いをもってやろうってこと。チームが勝つためにみんなで1つにまとまろうっていう話をさせてもらった。
--監督などから伝えられたことはありますか
「1」にこだわるっていうこと。初球とか1打席目とか。1つのボールに対して集中するっていうことを一番言われてるかな。一人でも集中力が欠けてる人がいたらあかんって。個人じゃなくてチームで勝つってそういうことだよね。
--秋季リーグが始まりますが、現在の仕上がり具合は
仕上がりは半分。自分の中で逆算してやってるから開幕に合わせてやっていく。打撃面での課題も徐々になくしていく感じで。
--初戦は昨季優勝の中大とですね
去年目の前で優勝を決められて、今もまだその光景を忘れていない。あの時に相手の胴上げをしっかりと目に焼き付けたから、その悔しさを全部ぶつけたいなと思ってる。
--主将として挑むシーズンに今までよりも強い想いもあるのでは
俺が見てきた東洋の主将っていうのは個人的にもすごかったけど、チームがここで打ってほしいっていうときに必ず結果を残す人たちだった。チームが苦しいときに主将が助けてたし、期待に応えるのが東洋の主将。その背中を自分は見てきたから、俺もそういう主将になれたらいいなって思うし、受け継いでいけたらなって。そうすれば次にもつながると思ってる。ほんの少しでもそういう先輩たちの背中に近づきたいっていう気持ちで毎日練習に取り組んでる。主将は一番結果を残さないといけないって思ってるから自分にプレッシャーかけてやりたいなって思ってるし、そういう風になれたら。
--まさに「チームのために」という言葉の頂点の考えですね
3年生のときにそれを学んだかな。チームのためにって思ってやっていたら、自分のバッティングができたから。個人的な目標ももちろん大事だけど、野球はチームスポーツだからチームあっての個人。去年はそれを忘れたらいけないなっていうことを勉強させてもらったシーズンでもあった。チームのためにやった結果が自分の結果につながることが分かったし、それをちょっとでも後輩たちに伝えたい。今それが少しずつ分かってきてもらえてる段階かなって思う。
--主将が選ぶリーグ戦のキーマンは誰でしょうか
俺やな。俺が打てば後輩につながるし勝てると思う。そう思ってやってるから、ひたすら打てるような準備をしている。
まあでも、牧(総3=帝京三)かな。活躍する力はもちろんあるし、その中でまだできてないから歯痒さもあると思う。だけど、この秋で良い成績残してチームを引っ張ってってもらいたいっていう思いもある。力があるからやってほしいなって期待している。
--リーグ戦の目標は
チームとしてはとにかく優勝したい。入学して6シーズンやってきて4回優勝してる。優勝の味を何度も知っているだけに、最後にリーグ優勝したいっていうのが一番かな。少しでも長くこのチームでやれたらいいなって思う。
--では最後にラストシーズンへの想いを教えてください
苦しいことが多かったから、最後ぐらいは自分の思い通りのシーズンを過ごせたらいいなって思う。
~連続インタビュー一覧~
第1日目:水谷祥平外野手「野球を楽しめている」〜先輩の背中を追うルーキー〜
第2日目:廣岡隆成捕手~ピッチャーを助けてチームを勝利に導くキャッチャーに~
第3日目:松本渉外野手「目標は首位打者」〜2年目のさらなる飛躍へ〜
第4日目:木村翔大内野手 「完全優勝を目指す」~チームを勢いづける選手に~
第5日目:小林直輝内野手「悔いの残らないように」~ラストイヤーでさらなる飛躍を~
第6日目:諏訪賢吉内野手「想いをひとつに」〜前向きな姿勢で挑むシーズン〜