2022.08.05
硬式野球
[硬式野球] 〜最後に散った1部への夢、ここから再起を図れるか〜14日間連続インタビュー第5日目・ 後藤聖基捕手
聖地神宮に戻ることを夢見て、チーム一丸となりこの春を戦った東洋大の戦士たち。厳しい2部を戦い抜き、1部への切符を掴みかけたが、最後は戦国東都の重圧がのしかかり、思い出の地で涙を流した。心に焼き付く経験をした選手たちは何を語るのか。14日間にわたり彼らの思いをお届けする。
第5日目は全試合でマスクを被った後藤聖基(法3=京都学園)捕手。チームを支えた正捕手が「手応えのあったシーズン」と語ったこの春を振り返る。(取材日7月17日、聞き手=一ノ瀬志織)
ーー今季を振り返っていかがでしたか
キャッチャーをしていて楽だなと思った試合は一つもなかったです。全試合負けてもおかしくない中で戦っていたので、しんどかったのもありましたが、オープン戦からずっと勝ちにこだわってやってきた成果が出せたので、勝ち続けられたのだと思います。
ーー印象に残っている試合は
専大戦で優勝争いをして、3戦目までいった中、勝ちきれたということが一番印象に残っています。
ーー個人としてはいかがでしたか
キャッチャーとしては苦しい場面もたくさんあったんですけど、そこで落ち着いて常に冷静にゲームを運べたのが良かったです。バッティングも、打線の中では一応、戦力として入れたかなと思っています。自分としてとても手応えのあるシーズンになりました。
ーー入替戦まではどのように過ごされましたか
リーグ戦であまりトレーニングができていなくて、身体が緩んでいたので、重点的にもう一度身体作りをして入替戦に臨みました。
ーーそれでは入替戦を振り返っていかがでしか
(中大は)負け続けたまま入替戦の初戦に来ていたので、すごく重たい雰囲気があったんです。でも2戦目の結構打ち込まれた時点で吹っ切れたというか、すごく開き直って攻めてきている雰囲気を感じて、そこで一気にやりづらさが出てきました。
ーー実際、中大バッターはいかがでしたか
簡単に三振しないなと感じました。どの打順をとっても何かしらで塁に出てきそうで嫌な感じというか。気が抜けない感じがしました。特に3番、4番の北村(中大)選手と森下(中大)選手は一発もあるので怖かったです。能力は全員がすごく高いと思っていたので。常にやりづらかったです。
フルスタメンでマスクを被った
ーー今季得た課題と収穫は
課題としては、キャッチャーの技術もバッティングもまだまだなので全部課題なんですけど。もっとチームを引っ張っていくというか、守備で引っ張っていける選手にならないといけないと思っています。収穫としては、しっかり勝てるキャッチャーに徐々になってきているのかなとは思います。
ーー今季はフルスタメンでの出場でした
やっと監督に少し認めてもらえて、信頼されて使ってもらえているように思えて良かったです。1、2年生の時はコロナで入替戦が無かったりと、そこまでプレッシャーを感じてやっていなかったので、今年はとてつもないしんどさがありました。
ーー自身の打撃に関してはいかがでしょう
自分は野球が好きで、「キャッチャーは打てなくて良い」と言われてるんですけど、僕の中では、打てないと楽しくないので。自分は8番なんですけど、打順とかは気にせずに、常に「めちゃくちゃ打ったろう」と思っているので。上を目指してバッティング練習した結果が徐々に出てきているのかなと思います。
下位打線でもチャンスを窺った
ーー長打が多い印象がありますが
自分の中で感覚がつかめるものがあって、それが形として出てきているなと思います。
ーー実際、ベストナインにも選ばれましたね
自分自身の手応えはあったんですけど、要因はずっと試合に出続けたことじゃないですか。長打も打ったのも含めて、全体的にキャッチャーらしくなったかなって。
——守備では大きな声でたくさん声掛けをしていましたが、意識していたことはありますか
監督からも、ずっとリーダーシップと言われていて。それは、キャッチャーが唯一違う方向で、(周りが)見えているので、その自分が慌てていたりとか不安そうな顔をするとそれが伝染すると思います。常に自分が(周りを)鼓舞できるかなと思い、みんなを落ち着かせるためには、声を出せたらいいなと思っていて頑張って声を出していました。それが、どうなっているかは分からないんですけどそういう意識で声は出していました。
常に声出しを忘れない
ーー打撃では、自身の役割をどのように考えていましたか
ランナーがいなかったら好きに打てるんですけど、ランナーがいる時は前のバッターがすぐ終わってしまうと、とにかく攻撃を長くすることが自分の役割かなと思っているので。簡単にアウトを取られないようにすることを意識しています。
ーー今の自分の強みを教えてください
1年生の頃から下手くそなりに少しずつ経験を積ませてもらい、色んな状況を経験をしたからこそ、今徐々にどんな場面でも冷静にプレーできるようになっているのかなと思います。
ーー後藤選手が考える捕手とは
勝ったら抑えたらもちろんピッチャーが良いってなるんですけど、僕の中では二人で作り上げたゲームだなって思っているのでそこが楽しいです。やりがいを感じています。怒られるのも何かしら頼られているのかなって思います。
同期の細野は尊敬する存在でもある
ーーチーム全体として意識していること、これから意識していきたいこと
守備面は良くなっているので。でも、(入替戦3戦目の)9回裏でサヨナラ負けしたような場面で勝ちきれるチームになるために、常に練習からプレッシャーをかけてやらないと。僕はメンタルが重要だと思うので、そこをつめていきたいです。東洋大は能力は高いので、ノープレッシャーだったら誰でも力を出せると思います。だから、バッテリーとしてここ一番という場面で力が出せるように考えてやっていきたいです。
ーー夏に取り組みたいことはありますか
もう一回身体を作りたいです。そして、まだ完成していることは一つもないので全てに関して何段階もレベルアップしていけるように頑張りたいです。
ーー最後に秋に向けて意気込みをお願いします
必ず1部上がれるようにキャッチャーとして、引っ張っていけたらいいなと思います。
◇プロフィール◇
生年月日/2002・3・17
身長・体重/184㌢・90㌔
好きな食べ物/お寿司・焼肉
ほしいもの/野球の絶対的な力
ココを見てほしい/豪快なスイング
リフレッシュ方法/温泉・サウナ・美味しいご飯
尊敬している人/細野投手
◇連続インタビュー一覧◇
第1日目:杉本泰彦監督 「今度はもっと強いチームを」
第2日目:宮下朝陽内野手「いい経験になった初めての春」
第3日目:加藤響内野手 「秋は見返してやる」
第4日目:石上泰輝内野手「首位打者を狙いに」
8月6日 橋本吏功外野手
8月7日 水谷祥平外野手
8月8日 渡邊友哉投手
8月9日 細野晴希投手
8月10日 松澤海渡投手
8月11日 矢吹栄希外野手
8月12日 松本渉外野手
8月13日 河北将太投手
8月14日 小口仁太郎主将
PHOTO =宮谷美涼