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2022.08.06
硬式野球

[硬式野球] 〜最後に散った1部への夢、ここから再起を図れるか〜14日間連続インタビュー第6日目・橋本吏功外野手

聖地神宮に戻ることを夢見て、チーム一丸となりこの春を戦った東洋大の戦士たち。厳しい2部を戦い抜き、1部への切符を掴みかけたが、最後は戦国東都の重圧がのしかかり、思い出の地で涙を流した。心に焼き付く経験をした選手たちは何を語るのか。14日間にわたり彼らの思いをお届けする。



第6日目は、9番ながらも大いに暴れ回った橋本吏功(総3=花咲徳栄)外野手。「チャンスになると集中力が増す」と語り、今季多く塁に出た魅力溢れる彼のリーグ戦の裏側に迫る。(取材日・7月23日、聞き手=宮谷美涼)


ーー今季を振り返っていかがでしたか

最初の農大戦は調子が上がらなかったけど、途中からヒットを打てるようになって、だんだん良くなってきた感じかな。でも、最後の最後で1部に上がれなかったっていうのは、力が足りてなかったかなって。


ーー今季の自分に点数をつけると

80点。個人的には良かったかな。打点は小口(法4=智弁学園)さんが上位で打っていたから、いい流れでいけたけど、専大、拓大で9番でもチャンスが回ってきて、それが勝ち点になったから、そこは良かったのかな。


走塁面でも果敢に攻め込んだ


ーー打てるようになったきっかけは

打ち方を変えた。最初は下から上げる感じでタイミングを取ってたけど、最初から上げ切るみたいな。そしたら球が見えるようになって、余裕が一気に出てきた。だからたまたま出たヒットじゃなくて、ちゃんと見て、打てる感じがする。前はバットに当たれば、調子が悪くてもたまたまヒットになることとかあったけど、今は、たまたまというよりはしっかり自分で見て、打ててる感じはあるかな。やっぱり公式戦でヒット1本出たら、個人的に乗っていけるね。


ーーバッティング面で意識していたことは

自分はあんまり遠くに飛ばせるタイプじゃないから。普段のバッティング練習とか、全然打てなくて。でも、試合になったら飛ぶんだよね。だから、大きい当たりというよりかは、芯で捉えようと意識していた。


ーー専大2回戦から打順が6番から9番に変わったことで心境に変化はありましたか

別に何も思わなかったけど、9番になってチャンスが来ることが多くなったから、逆にいい感じに打順がつながった感じがして、良かったかな(笑)。最初6番にいたとき、8番で後藤聖(法3=京都学園)が打っても9番で終わって、松本渉(営4=龍谷大平安)さんからだったから。やっぱり自分が出たら上位打線でどんどん回ってくるから、出ればチャンスになるかなっていう気持ちで。


ーー橋本吏選手自身が考える9番の役割とは

内心、9番だけど4番だと思っていて。1、2、3、4番で小口さんが終わりました。それで5番ときて、6番からまた、1、2、3ときて、9番だけど4番が俺だと思っているから、チャンスで回してくれと。結構7、8番で誰か出たら、聖基(後藤聖)がバントして二塁に行って、監督がチャンスを作ってくれるから、やっぱりチャンスでの1本を期待されてるのかなと思う。そこでの勝負強さが打点につながったなって。


春は3年の2人が下位打線を担った


ーーチャンスに強い印象がありますが

2ストライクになったら、集中力が増すというか、球が見やすくなった。自分は、集中力があんまりないから、ランナーがいない時とかあんまり打てないけど、チャンスになると、集中力が上がるから、球が見えるのかなと。三振するイメージがあまり湧かないかな。バットに当てることは、絶対できるかなみたいな感じ。そこで追い込まれて「ヤバい」みたいにならないのが、いい方向にいってるのかな。余裕ができたのかなって思う。


ーーその中で印象に残っている試合はありますか

専大戦の3戦目。あそこで負けてたら、1位2位が入れ替わってたから、あの大事な3戦目でタイムリーを打てたのは良かったかなって。


ーー菊地(専大)投手とは同じ北海道の出身ですが思い出はありますか

中学校の時に、結構練習試合で対戦していて。あっちも「りく」だし、こっちも「りく」だから「りくりく対決」で戦って、めっちゃ負けた(笑)。その時も、ライトオーバーを打ったんだけど、また大学の公式戦(専大3回戦)で(同じ右安打を)打てたのはうれしかった。他のピッチャーよりは、中学校の時の思い出があるから、その試合は楽しかったね(笑)。


ーー宮下(総1=北海)選手も同じ北海道出身ですよね

あいつはえぐいから。1年生であれはすごい。俺も1年の時出させてもらったけど、流石にあんな結果残してないし、自分が1年生の頃を思い出すと、本当にすごい。堂々としてるよね。でも道民だから、ちょっとおとなしい感じかな(笑)。ガツガツ意見は言ったりしないね(笑)。


ーー立正大1回戦では、守備で宮下選手と水谷(営3=龍谷大平安)選手と笑う場面がありましたが

あの時、風がすごかったんだよ。みんな「風の方向じゃない方向に飛ぶから」って言ってた。そしたら、宮下が「嘘だろ」って感じで落としちゃって。あいつ落とした瞬間笑いながら、「全然違うっす」って言ってた(笑)。


学年問わず、仲の良さがうかがえた


ーー2部優勝の時は最後の飛球を取りましたが

祥平(水谷)と話してたんだよね。「ラスト誰取るかな」って。「俺だ俺だ」とか二人で話してたから、まさかの俺に来た(笑)。最後だという緊張はなかったね。


最後に捕球したのは橋本吏だった



ーーベストナインを獲得しましたね

取りたかったけど、そんなに狙ったわけではない。途中から打てた結果がベストナインにつながったかなって。表彰式では、中前(中大)と「強いね」って、入替戦の話は軽く話した(笑)。


ーー打点の面で小口主将を意識していたところはありましたか

最終戦前(立正大1回戦)、俺が打って、小口さんの打点を抜いたんだよ。「小口さん打点抜かしちゃいましたよ」って(笑)。そしたら、しっかり最後(立正大2回戦)に小口さんが3打点上げて負けるっていう(笑)。小口さんを超えたいという思いは別になくて、自分が打って打点上げられればいいかな。


小口主将とも仲良しだ



ーー入替戦前の調子は

オープン戦を何試合かやって、ヒット0本だった。でも、いい当たりは出ていたから別に気にしてはいなかったし、悪くはなかったと思う。


ーー久しぶりの神宮はいかがでしたか

やっぱり神宮は楽しいね。やっぱり2部にはないものがある。大田(スタジアム)も綺麗だけど、ちょっと違うね。


ーー入替戦はリーグ戦とは雰囲気が異なりましたか

どっちも負けたら終わりっていう感じだから。久しぶりに最後お互いにスタンドの雰囲気もすごかったし。観客とかもあんなに入ったの久しぶりに見たね。


ーー1戦目では先制の適時打を放ちました

確か先に聖基(後藤聖)が打って。やっぱりチャンスになったらね、燃えるからね。聖基(後藤聖)がチャンス作ってくれて、「ナイス」って思ったね。


入替戦でも躍動した



ーー2戦目は投手陣は総崩れしましたが

まあ、最初のミスも大きかったと思うから。それで一気に相手に優位に立たれたというのもあるね。だからあの失点はしょうがないな。正直、もうちょっと接戦で行ってれば面白かったかな。みんな集中力が欠けていたから。


ーー2戦目終えた後は

負けられないなと。まあしゃあないって感じ。やばいと思っても次やるしかないからね。


ーーそれでは、3戦目を振り返って

一本も打てなかったから、打ちたかったな。九回まで1対0で中大が裏で心配だったけど。フォアボールはちょっとね。なんか嫌な予感がした。


ーー2部残留が決まった時は

正直、あとちょっとだったのにって思うけど、そこがまだ足りてない部分なのかなって。


ーー今季見つかった課題を教えてください

状況判断をよくしたいと思ってる。


ーー最後に秋に向けて意気込みをお願いします

夏は実戦が多いので、そこで結果を残す。そしてしっかり力をつけて、1部に上がれるように頑張ります。



◇プロフィール◇

橋本吏功(はしもと・りく)

生年月日/2002・1・14

身長・体重/168㌢・80㌔

歌いがちな鼻歌/ジャンボリミッキー

人生で一番楽しかった出来事/親戚みんなとの旅行




◇連続インタビュー一覧◇

第1日目:杉本泰彦監督 「今度はもっと強いチームを」

第2日目:宮下朝陽内野手 「いい経験になった初めての春」

第3日目:加藤響内野手 「秋は見返してやる」

第4日目:石上泰輝内野手「首位打者を狙いに」

第5日目:後藤聖基捕手 「手応えのあった春」

8月7日 水谷祥平外野手

8月8日 渡邊友哉投手

8月9日 細野晴希投手

8月10日 松澤海渡投手

8月11日 矢吹栄希外野手

8月12日 松本渉外野手

8月13日 河北将太投手

8月14日 小口仁太郎主将


PHOTO=宮谷美涼