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各大学主力選手が抜け、混戦が予想されるリーグ戦。チームとして20度目のリーグ制覇を目前とし、選手たちは何を語るのか。全7日間スポーツ東洋独占インタビューでお届けする。
最終日となる第7日目は杉本泰彦監督。東洋大の監督に就任してから2年目となる今年。主力投手陣が卒業し、今季を「自分の腕の見せ所」と語る監督にお話しを伺いました。(取材日・3月16日、聞き手=川口朋珠)
--春季リーグ戦に向け、東都の各校の印象はいかがですか
どういうふうになるか分からないですけど、僕はうちの大学が一番弱いんじゃないかと思っています。だからそこのところについては、挑戦者のつもりでやっていこうかなと思います。
--新チームとなり、投手のキーマンとなりそうなのは誰でしょうか
やっぱり村上(総3=智弁学園)がどれだけ主軸で頑張ってくれるかというのと、1年生のピッチャー。1年生のピッチャーたちがどういうような働きをするのかというところだと思います。でも山下雅(営4=東邦)とかマウンドさばきの良い選手もいっぱいいるので、そこは期待しています。1年生に期待していたらチームとして駄目なので。今までいた選手がどこまで頑張ってくれるかというところだと思います。
--野手の中でキーマンとして挙げるなら誰でしょうか
キーマンって言ったら佐藤(法4=聖光学院)がどれだけ頑張ってくれるかじゃないですかね。去年とは違って本当のキャッチャーの難しさを感じているときだと思います。どういうふうにしてチームを引っ張ってくかというところ。キャプテンとしてもそうですし、キャッチャーというのも守備の要であるポジションなので。そういうことを考えたら打率がちょっと落ちたとしても、それは仕方ないことだなと思っています。
--佐藤主将はどんな主将ですか
すごく気づかいができるんじゃないですかね。いろんなリーダーシップの発揮の仕方というのがありますが「みんなで頑張ってやっていこうぜ」という感じだと思います。
--ではチームとして新しく始めた取り組みは何かありますか
アーリーワークとレイトワークを11月からやっています。
--アーリーワークとレイトワークとは
1時間くらい野手は振り込みをして、ピッチャーはシャドーピッチングやトレーニングからやってますね。朝の5:30からやって、それ終わってからご飯食べて。朝ちゃんとご飯食べれるようになるので体も大きくなるでしょうし。夜は19:30とか20:00くらいからやっています。
--はじめたのはどういう理由からですか
練習量が少ないからです。僕は社会人野球出身なのでそこを見るとどう考えても大学生が一番練習できていない。今年社会人に入った藤井(平成30年度法卒=JX-ENEOS)とかとオープン戦やりましたけど、みんなが言います。「練習についていくのに必死です」って。まあそのアーリーワークとレイトワークでどういうふうにして振り込んでくるのかというところです。最初はそういうふうにして目新しいことでも続けていくと、今度はそれがマンネリになってくることもある。そういう風に受け身にならずに工夫していってほしいと思います。
--受け身になってる選手にはどうしますか
それは自分たちでどういうふうに解釈してくれるかどうか。受け身になってるってこと自体が分かってないんじゃないんですかね。国語算数理科がっていう頭の良さじゃなくて、動的知性が必要だと思うんです。ある一場面では不正解、あるところにきたらそのシチュエーションだったら正解なことってあるじゃないですか。でも静的知性っていうふうな机の上で勉強するものとなると、正解は正解。でも僕らそれを求めているわけではないんですよね。シチュエーションによって正解は変わってくるので、それをこうだって決めつけてしまったら全く身動きとれなくなると思うんです。動的知性を身につけないと社会でもやっていけない。そういうような観点で工夫するということをやってもらいたいです。
--最後に春季リーグ戦への意気込みをお願いします
やっぱり戦力的にあのピッチャーが卒業して苦しいでしょというような話になるのは当然。それはそれとして、そこは監督の腕の見せどころ。そう言われている中でも良い選手はいるのでその選手をどういうふうに使って起用していくかというのはすごく楽しみです。
◇杉本泰彦(すぎもと・やすひこ)
生年月日/1959・8・27
経歴/日和佐高(現・海部高)から一般入試で東洋大へ。日本通運へ進み、選手としてプレーした後に監督も務める。その後西部ガスの初代監督に。3年連続都市対抗野球出場に導き、昨春から東洋大の監督に就任。
最近読んだ本/『ポーラースター ゲバラ覚醒』著・海堂尊
◆開幕前インタビュー・一覧◆
第1日目:佐藤都志也〜「最高の結果を」。主将が語る春の意気込み〜
第2日目:津田翔希〜個人成績よりも優勝。学生野球ラストシーズンへ〜
第3日目:小川翔平〜「チームを引っ張っていきたい」。王座奪還への思い〜
第4日目:村上頌樹〜「勝てるピッチャーに」。投手の柱として挑む春〜