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未曾有の事態により、異例のシーズンとして迎えた秋季リーグ戦。チームは開幕5連敗と苦しみながらも、後半戦では3勝2敗。最終戦を勝利で飾り、今年の戦いを終えた。度重なる苦境に立ち向かい、乗り越えてきた選手たちは何を語るのか。14日間にわたって彼らの思いをお届けする。
第7日目は、今季勝利した3試合すべてで先発のマウンドを任された松澤海渡投手(営2=帝京)。万全の状態ではないなかでも粘り強いピッチングで勝利を手繰り寄せた男が、来年へのさらなる飛躍を誓った。(取材日・11月21日、聞き手=加藤勇大)
――今季を振り返ってみていかがですか
最初は打たれてしまったんですが、そこで去年とは違ったことは、1戦目で打たれてそこからどんどん調子を崩してしまったっていうのが去年はあったんです。でも、今年は1戦目で打たれてしまってからも修正できて、最終的には2勝挙げることができました。その点は良かったかなと思います。
――連投する機会もありましたが
2戦って決まっていて、3戦目はないってことがわかっていたので、疲れがなかったとは言えないですけど普通に投げることができました。
――意識したことを教えてください
試合で意識していたのは、腕を振るということです。どの球種でもしっかり腕を振って、バッターに向かって投げることを常に意識してやっていました。
――調子が良くないと言っていた試合もありましたが
亜大戦ですかね。実は、ブルペン時はストライクとかも全然入らないぐらい調子が悪かったんです。そこで力勝負ではなくて、しっかりと低めに制球していこうという考えができたのが、良かったのかなと思います。
――今季の自分に点数をつけるなら
50点ぐらいですかね。先発としてしっかりと後半2試合は勝ち星を挙げられたっていうのは、試合を作れたので良かったのかなと思います。引いた50点は、シーズン入りの一発目の登板でしっかりと抑えることができなかったということです。チームとしても初戦は取りたかったところですし、そこで自分が失点をしてしまったっていうのは大きなミスだったのかなと。自責点にはなっていないんですけど、エラーとかで出塁したランナーをホームに返してしまったっていうのが結構あったり。そのような無駄な失点というか、そういうところが多かったなと思います。
――どんなことを意識しながら練習していましたか
コロナで結構な期間があいて練習がなかなかできなくて、寮に帰ってきてからはけがをしないように意識していました。練習をハードに飛ばしすぎないようにしつつ、その中でも追い込んでいかなければいけないと思っていたので、そこはうまく調整しながらやっていました。オープン戦もそんなに調子は良くなかったんですけど、なるべくそれをネガティブな思考じゃなくて。できるだけ前向きにとらえられるようにやっていました。
――意識してきたことが試合で生かされたと思う場面は
ヒット1本打たれたりとかして気持ち的な部分で「うわあ」って思うときがあったんです。でも、そこの部分は割り切って「後のバッターを打ち取ればいい」っていう考え方ができたので、良かったかなと思います。
――去年と比べて成長を感じる部分はどんなところでしょうか
ストレートの威力が増したのかなって自分の中では思いますね。アベレージでもだいたい140を超えるようにもなってきて、MAXも更新できたのでその点は良かったです。
――今季で一番印象に残っている試合は
亜大戦ですかね。第1試合で亜大にボロボロにやられて、やっぱりそれを見て「よし、次の日は自分たちがやってやる」っていう感じになったんです。そこから自分自身もしっかりと気を引き締めて挑んで、6回1失点っていう結果になったのは良かったです。また、目標にしていた先発初勝利も挙げられたので印象に残っています。
――今季を振り返ってよかった点を教えてください
まっすぐが去年と比べて威力が増したのが良かったのと、変化球がひとつの武器になったのかなっていう感じがありますね。あと、ランナー背負ってからの使い方だったりとかはある程度うまくできたかなと思います。
――逆に見つかった課題はありましたか
悪かった部分はフォアボールがまだちょっと多いっていうところです。やっぱりそこで無駄なランナーを出して、ランナー背負った苦しい状況を自分で作ってしまっている面もあったので。そこのフォアボールをなくせれば、もっと楽なピッチングができたのかなって思います。
――他の投手を見て感じたことは
今季は大宮さん(法3=鳥取城北)が本当に大活躍でしたね。あの気合の入ったピッチングを見ていて、自分もまけていられないなっていう思っていました。
――今季のMVPをあげるとしたら
やっぱ木村さん(総3=霞ヶ浦)になるのかなっていう風に思います。守備の要であるショートをやっていて、それでなおかつ今季は3割以上を残していてホームランも2本。勝っている試合には木村さんの一打が結構あったと思うので。
――来年の活躍を期待している選手は
1年生の細野(総1=東亜学園)ですね。左ピッチャーであれだけの球速、148㌔を放れるっていうのは魅力を感じます。ブルペンでも一人だけすごい球投げているなっていう印象がありますね。来年は結構やってくれると思います。
――ライバル視している選手はいますか
河北(営2=浦和学院)や羽田野(法2=汎愛)とか、大宮さんや山内さん(営3=東洋大姫路)。やっぱりレギュラーで投げている投手ですかね。さっき名前を挙げた細野もくい込んできます。その中で自分が一番になれればなって思います。
――4年生が引退しましたがどんなチームでしたか
山崎主将(営4=愛工大名電)を中心にうまくチームとしてまとまっていました。最初のほうは連敗とかもして、その中で最後のほうは勝てたっていうのは4年生がしっかりとチームを引っ張ってくれたからなので、いいチームでした。
――伝えたい思いは
社会人チームに進む人はこれからも野球があるので、自分もいずれ上の世界で戦えたらなと思います。
――新チームの雰囲気はいかがでしょうか
まだまとまっているっていう感じでもないんですけど…。確実に今年の試合を経験している人が非常にいるので、その点では練習の中でも昨年とは違ったピリッとした雰囲気がしていて、変えていこうという意識がありますね。
――どんなチームにしていきたいか
ピッチャーが中心となってやっていければなと思います。今シーズンはピッチャーがたくさん点を取られて前半で試合が決まってしまっているっていう試合がすごく多かったので。今年はやっぱりピッチャーが0に抑えて、そこで野手もしっかり点を取ってもらう。こんな感じで投打にバランスの取れたチームになれればなと思います。
――新チームではどんな役割を担っていきたいですか
リーグ戦を経験しているので、その部分では自分が引っ張っていかなければいけないなって思います。もう4年生が抜けて自分も上級生になってくると思うので、その点ではしっかり投手陣をまとめていけるような存在になれればと思います。
――これから取り組んでいきたいことは
まずウエイトトレーニングにしっかりと力を入れて、下半身強化をしっかりとしていきたいですね。来年も先発を任されることになると思うんですけど、そこで少しでも長いイニングを投げて中継ぎの投手の負担を減らしていかなければならないと思っています。なので、まずは1年間けがをしないように体を作っていきたいです。
――冬のトレーニングの期間に入りますが
自分の中での課題なんですが決め球がいまだに確立できていないっていう部分があって。その決め球の中で、落ちるボールや横の変化球であったり、空振りが取れるようなボールをこの冬で習得して、もっと投球の幅を広げていきたいですね。
――最後に来年に向けての意気込みをお願いします
数字としては、防御率は1点台。そして、1年を通して6勝から8勝ぐらいしたいですね。あとはまだタイトルが取れていないので、最優秀防御率とかのタイトルが欲しいですね。
◇プロフィール◇
松澤海渡(まつざわ・かいと)
身長・体重/182㌢・87㌔ 2キロぐらい増やしました。体を大きくして筋肉をつけていこうかなと思って。
はまっているもの/筋トレです(笑)。
別の競技をやるとしたら/サッカーとかやってみたいですね。水泳は小学生までやってました。今コロナなんでできないんですけど、水泳とかで全身の筋肉を動かすのとかは大事なので、ゆくゆくはそういうトレーニングも入れていきたいなと思います。
サンタに頼むとしたら/サプリメント1年分欲しいです(笑)。
チームメイトで彼女にするなら/田尻(営2=九州学院)。見るからにかわいらしい感じがあるので、愛されキャラというか。
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第5日目:「目指すは走攻守全て揃った選手」〜3年目に向けた誓い〜小口仁太郎捕手
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12月14日 木村翔大内野手
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