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1部昇格に向け、今後を占う春季オープン戦が現在行われている。春季オープン戦の試合記事とともに、2022年度幹部4名を4週にわたり紹介する。チームの軸となる彼らが見据えるラストイヤーとは。
(写真提供:東洋大学硬式野球部)
第2週目は、新副将となる松本渉(営4=龍谷大平安)外野手。1年目から欠かせない存在として試合に出場し続け、常にチームの状態を内側から見つめてきた。だからこそ、幹部就任に対する覚悟は人一倍。同期との連携を大切にしつつ、まず目指すのは1部の舞台である。
春夏合わせた甲子園通算出場回数は全国一。言わずと知れた名門・龍谷大平安出身の松本渉は、高校最後の夏に史上2校目の春夏通算100勝をかけて甲子園へ出場すると、初戦で劇的な勝利。この歴史的な瞬間を「自分たちの一番の思い出」と振り返った松本は、その後、「レベルの高い大学に」と東洋大への進学を選択した。
入学直後から先輩に名前を挙げられ、同期の中でも頭一つ抜けた存在だった。いきなりスタメンを勝ち取り、春季オープン戦に出場すると、リーグ戦もフルスタメン。「自分の中では納得のいく成績ではなかった」と振り返るが、新人賞を獲得し、チームのリーグ優勝に大きく貢献。その直後の全日本大学野球選手権の初戦。大学野球初めての全国の舞台で、初の本塁打を放つ。それだけでなく、俊足や選球眼を生かしたプレーを披露し、「自分の中では(ここまでの)大学生活の中でのベストゲーム」と語った。
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた2年次。思うように練習や実戦が積めない中で、秋季リーグ戦では打率3割を残した。これには「自信になった」と語る。異例の1年を駆け抜け、迎えた3年目。4連覇のかかる春季リーグ戦だったが、残留争いを強いられた。松本も「(リーグ戦は)チームに貢献することができなかった」と調子は上がらず、入替戦へ。そのまま2部降格が決まり、「弱さというものを思い知らされた」シーズンになった。
2部で迎えた秋季リーグ戦は「自分が思っていたことをできなかった」と、3位に終わった。そして松本は副主将に。1年生から試合に出場しチームを支えてきた彼は、「自分が一番経験しているので、そういった面で引っ張っていかないといけない」と覚悟を口にした。また、同じく幹部に就任した野手の小口(法4=智辯学園)と矢吹(総4=聖光学院)の名を挙げ、「その3人[松本、小口、矢吹]でチームが勝つためにアイディアを出したり、指示を出したりしている」と、幹部の連携を強調した。
1年生の春から東洋大の戦力となり、チームを支えてきた松本。1部優勝から全日本大学野球選手権への出場、コロナ禍による活動停止、入替戦、そして2部降格、東洋大ナインとして喜びも知っていれば、悔しさ、苦しさも知っている。ラストイヤーとなる1年は「完全優勝して、1部に上がる」との意気込み。これまでの経験を力に、硬式野球部100年の歴史に華を添えるつもりだ。
◇プロフィール◇
松本渉(まつもと・しょう)
生年月日/2000・7・27
身長・体重/167㌢・65㌔
血液型/A型
~掲載予定~
3月17日 矢吹栄希副主将
3月24日 小口仁太郎主将
※学年は新年度のものです。
TEXT=青木智哉