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全チームから勝ち点を獲得し、完全優勝を遂げチームスローガンの「奪還」を達成。戦国と称される東都大学野球リーグの令和初の覇者となった選手たちは何を感じていたのか。スポーツ東洋が9日間連続インタビューでお届けする。
最終日は杉本泰彦監督。自身が指揮を執る2年目のシーズンで見事に完全優勝を遂げた。今季は熱く声を出す姿も見られた知将は何を語るのか。(取材日・6月2日、聞き手=須之内海)
--まず、今季を振り返っていただいていかがでしたか
出来過ぎなシーズン。僕自身が昨年の経験を持って何事にも臨めたんじゃないですかね。学生野球と社会人野球との差というのを去年感じて、そこの差は理解して取り組みましたね。
--今季は投手起用において難しいと感じるところもあったと思いますが
まぁ、春なんてみんなそうじゃないですかね。どこの大学さんも。うちはたまたまプロに行った3投手と社会人に行った3投手が抜けて、大幅なダウンとか言われますけど。どこでも基本エースだったり経験のある子が抜けるのは難しいので、うちに限った話じゃないです。
--春の難しさという点では意識は
勝負は生物なんてよく言いますよね。そのときに調子のいい選手というのは意識していました。野球はやはり投手が枚数いないと勝てないです。村上(総3=智弁学園)がよく投げてくれました。
--そのような中でのリーグ戦を振り返ってターニングポイントにを教えてください
あまり普段は考えないですね。全部が大事な試合なので。中大が一番強いという話で迎えたリーグ戦だったわけですけど、中大の調子が上がる前に当たれたのは大きかったですかね。
--開幕カードでは村上投手の登板はありませんでした
そこは戦略です。3戦目までを考えた時に相手が畠中くん(中大)が軸になってるので、どういう状態で村上とマッチアップするのかなと。そういうところを考えて雨で流れた次の試合は投げさせませんでした。
--やはりMVPは
投手は間違いなく村上ですよね。試合を投げて行くスタミナがすごいんです。上茶谷(H30年度法卒=横浜DeNA)よりありますよ。あと彼自身負けん気が強いんです。去年は上にいい投手がいてその気持ちが空回りしていた。でも、今季は責任感がいい方向に働きましたね。
--打のMVPは誰でしょう
山田(総4=桐生第一)ですかね…。あとは山崎基(営3=愛工大名電)。特に山崎基は去年の時点でDH起用は考えてて。質の高い打撃を続けてくれることで打線に厚みが出ました。この2人の存在は大きかったですね。
--いい打者が出た一方で打線の組み替えもありました
酒巻(営3=成田)ですよね。彼はポテンシャルはすごい。それは確かなんですけど、それだけでスタメンになるならみんなそうなんです。自分で勝ち得た人間はあんなに簡単に受け渡すような結果にはならないのかな。本人は相当悔しいと思います。4番から7番に変わっても特に威圧感がなかった。相手からなんとも思われないのであれば、ダメだと思って変えましたね。
--その後は諏訪(総3=浦和学院)が一歩前に出る形となりました
そうですね。諏訪が良かったのは収穫です。リーグ戦で彼が結果を残したことで、酒巻も簡単に戻れないとは思ってるんじゃないですかね。そういうところで競争ができるのは良い相乗効果に繋がると思います。
--起用面では1年生投手陣に責任感のあるポジションを与えました
そうですね。そこは彼らの試合勘を考えてのことで。言い方は悪いけど、4年生って高校を卒業してから全然実戦で投げてないのもいるんです。それなら勝負所で最近まで投げてた1年生を使うという話ですね。
--当分は今季投げた1年生には同じ役割ですか
そうとも限らないと思いますよ。それぞれの適正とかの話もあるとは思いますけど、適宜配置は変えていきたいとは思ってます。実際来季以降どうなって行くのかは分かりませんけどね。
--リーグ戦では昨年より杉本監督自身が気持ちを出している印象がありましたが
まぁ、慣れですよ(笑)うちのチームカラーが粛々とゲームをやっていくでしょう。チームリーダーを必要としないのが悪いところで。監督のチームじゃなくて選手のチームにしないといけないんですけどね。
--チームリーダーというと、ムードメーカーと捉えていいですか
いや、それとは違いますね。自己犠牲を払えるかチームのために行動できるかというところが大事だと思います。みんながみんな小さい頃から野球エリート。今までチームに献身するという経験がないので、今後はチームの中で声を率先して出せたりする子が出てくるかが課題です。
--チームリーダー、前に立つ人材という点では来年の主将の話もそろそろ出てくる頃でしょうか
今のところ候補がいないですね(笑)実績も含めてというところにはなってくるので。いい人材がいたとしても最低限ベンチに入れないとみんなが付いてこないでしょう。そこも考えての秋になりそうです。
◆今後の掲載予定◆
第1日目:佐藤都志也~「全部責任を取るぐらいの気持ちで」。チームのために主将が背負うもの~
第2日目:山田知輝~「もう重圧はない」ミスター東洋2年目を終えて~
第3日目:村上頌樹 ~「自分がやらなきゃ」芽生えたエースとしての自覚~
第5日目:山崎基輝〜「ベストナインは自信に」陽を浴びて輝くまで〜