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2022.08.14
硬式野球

[硬式野球] 〜最後に散った1部への夢、ここから再起を図れるか〜14日間連続インタビュー最終日・小口仁太郎主将

聖地神宮に戻ることを夢見て、チーム一丸となりこの春を戦った東洋大の戦士たち。厳しい2部を戦い抜き、1部への切符を掴みかけたが、最後は戦国東都の重圧がのしかかり、思い出の地で涙を流した。心に焼き付く経験をした選手たちは何を語るのか。14日間にわたり彼らの思いをお届けする。



連続インタビュー最終日は小口仁太郎(法4=智弁学園)主将。2部優勝を達成したものの、入替戦のチャンスの場面では1本が出せず、自分の実力を思い知った。「本当に強くなりたい」。小口はチームのために最後まで東洋大ナインを引っ張り続ける。(取材日・7月17日、聞き手=宮谷美涼)


ーー今季を振り返っていかがでしたか

優勝できたのはよかったと思うんですけど、やっぱり1部上がるとチーム全体で言っていたので、上がれなかったのは悔しいです。点数でいうと、50点じゃないですか。半々ですよね。


ーーリーグ戦では2敗しましたが、負けたときはどのような声掛けをされていましたか

「全勝」って言っているので、1回負けたときはショックも大きかったですけど、別に勝ち点落としたわけじゃないし、優勝を逃したわけではなかったので。「負けた後が大事」と言っていたので、そこはすぐ切り替えてできたかなと思います。


ーー今季も細野(総3=東亜学園)投手に声掛けを多くしていましたね

一応安心感はあるんですけど、いつ崩れるか分からないので(笑)。でもそれは僕の声掛け次第かなと思っていたので。あいつは結構メンタル的に考えることが多いので、声掛けとか大事やなあと思って。毎球声掛けするようにはしてました。「大丈夫やて、絶対打たれへんから」ってふざけ交じりながら自信つけるように。「別に負けても、細野のせいじゃないから」って。みんなにも、「負けたら4年生のせいだから」と言っていましたね。


常に細野を気にかけていた


ーー今季はチームで話し合う様子が窺えました

試合前にデータを取っていても、打席に立ってみないと分からないので。早く情報を回して、どうやってピッチャーを落とすかということをチーム全体でやろうとしていました。


ーー小口選手には多く打席が回ってきましたよね

「小口さんにつなげば」とかみんな言ってくれてたんで。それに応えなあかんなと思っていたんで。そこは還せてよかったかなと思います。


ーー凡退しても笑顔を見せていましたが意識していたのですか

普通に楽しかったので。「このチームどうなるんやろ」とか考えていました。別に負ける気しなかったんで。優勝する気満々だったし、自信あったんで。やっぱり打てへんかった時は、悔しいですけど。だから集合したときに「もう一回、回してくれ」と。士気が下がらないようにやっていました。


今季の小口は笑顔が多く見られた


ーー最優秀選手に選ばれましたが

自分では絶対にないと思っていたので。打点王とか盗塁王も取れたんですけど、もっと取れたなって。全然満足してないです。


ーー久しぶりの神宮球場はいかがでしたか

やっとここに来たなと。雰囲気すごいなと。やっぱりここで出来るありがたさを改めて感じました。大学野球であんまりこんなこと経験できることってないじゃないですか。試合前に、こんな試合できるのって自分たちだけだなって思っていました。だから楽しかったです。


ーー1戦目、西舘(中大)投手と対戦してみていかがでしたか

打てると思ってたんですけど、なかなか打てなかったです。別に速くはなかったんですけど、僕は変化球にやられたと思います。


ーー1戦目勝った時の雰囲気は

もう明日勝って決めると。いけるとは思わなかったですけど。絶対明日決めるっていう気持ちでしたね。


ーー2戦目、投手陣が大崩れしましたが、どのように捉えていましたか

ミーティングとかで、最初の先制点取ったら勝てるってチーム内で話していて。実際、先制点を取って、「よし」ってなってたんですけど、やっぱりミスからでしょうね。でもあれだけ離されても追いつけたので、成長というか。「ここで終わらない」ということを見せられて良かったかなと思います。


神宮で背番号1を背負った


ーー結果的に、3戦目に入ることになりました

リーグ戦が4月から始まって、「あと1戦だからよし」と。割り切っていこうみたいな感じですかね。


ーー3戦目は細野投手が好投する一方で、打線が沈黙しましたが

あと1点取らなあかんなと。1戦目あれだけ長い試合してたから、3戦目は両チームとも分かってると監督に言われていたんで。まあそこでどう1点取るかだったんですけどね。どれだけ身体が疲れていても、あそこで点を取り切れてなかったのは課題になってくると思います。


ーー小口選手自身、九回にチャンスで打席が回ってきましたが

自分が全然ダメでした。あそこで1本出せないと。そういう選手にならないと、この先もやっていけない。あそこで1本を出せるように、練習していかないと、


ーー同点に追いつかれても、島田(総1=木更津総合)に笑顔で話しかけていましたが

「お前のせいじゃない。完全に俺らのせい」と。最後にミスして、同点になったけど、全然関係ないので。僕らが打たなかったのが悪いので。「何も悪くないよ」と。負けてはいなかったのでね。


ピンチでも笑顔を貫いた


ーー入替戦で、内野をくぐり抜けた心情は

悔しいしかないです。勝手に涙が出てきました。


ーー指導者からはどのような言葉をかけられましたか

井上コーチは、「お前はよくやった」とか言ってくれて。「泣いても、何も返ってこないから。秋お前らが勝たせて、1部に上げてくれ」と。監督とは、全体ミーティングで話して、「リーダーシップも認めるし、もう一回いこう」と言われました。


2部残留後、井上コーチが声を掛けていた


ーー他の選手からも声掛けはありましたか

みんな僕の部屋に来てくれました。本当は、僕が行かないといけない立場なんですけど。それで前向きな気持ちになれました。オフが2、3日あったので、考える時間もあって、「もう一回ちゃんとやって、後輩たちに1部でやらせてあげないとあかんな」とリセットできました。


ーー1部に上がれなかった原因はなんでしょう

技術とかではないですかね。すごい戦いじゃないですか。お互い上がりたいし、残りたいし。その気持ちが足りなかったのかなと。まだやることはあるのかなと。個人とかの課題はあるとは思うんですけど。


ーー中大の気迫はいかがでしたか

1戦目は大したことなかったんですけど。2戦目から、プレーが変わってきて、やっと来たなと。3戦目もがむしゃらでしたね。


ーーここからはどのようにチームを再建していきますか

自分のやり方は変えずに、また続けていけば、いいように出来ると思うので。4年生は後輩のために動いて、3年生は来年のために。1、2年生は思い切って、自分の結果が悪くても4年生のせいくらいにしてほしいです。もう一回4年生中心でやっていきたいです。


常にチームを率いてきた


ーー小口選手自身の収穫と課題は

収穫はないです。打てなかった時は、原因があって、じゃあ次はこうしようかという感じだったんで。僕の感覚としては、ずっといい感じではなかったです。課題は入替戦の最後であと1本出せなかった。あそこで出せるか出せないかで選手として大きく見られ方が変わると思うので。チャンスに強い人って、あそこで打つと思うので。自分は別に強いとか思っていないので、本当に強くなりたいです。


ーー2部での戦いはいかがでしたか

2部を勝ち抜くのは大変です。みんな強いし実力もある人ばかりなので。僕らの目標は1部に行って勝つことです。だから、こんなところで負けてられないです。


ーー夏に取り組みたいことはありますか

もう一回身体を作りたいです。リーグ戦中はしんどいし、時間もあまりないし、プレッシャーもありましたね。


ーー秋の目標を教えてください

全勝で、負けないこと。また同じようにやっていきます。後輩のために、1部昇格。なんか、後輩たちはいい選手たちなのに、2部で始まるのは可哀想なので。やはり神宮で、プロとか、社会人の人たちに見てほしいので、1部に上げて終わりたいと思います。


ーー個人としては

ベストナインは取りたいと思っています。他にいい選手もいるんで、負けたくないなと思ってて。でも僕が1番がじゃないと気が済まないです。やっぱり首位打者になりたいし、打点王も取りたいです。


◇プロフィール◇

小口仁太郎(こぐち・じんたろう)

生年月日/2001・3・26

身長/184㌢・81㌔

自分のアピールポイント/勝負強さ(表彰式の時にいろいろな人に言われた)



◇連続インタビュー一覧◇

第1日目:杉本泰彦監督 「今度はもっと強いチームを」

第2日目:宮下朝陽内野手「いい経験になった初めての春」

第3日目:加藤響内野手 「秋は見返してやる」

第4日目:石上泰輝内野手「首位打者を狙いに」

第5日目:後藤聖基捕手 「手応えのあった春」

第6日目:橋本吏功外野手「自分が出ればチャンスになる」

第7日目:水谷祥平外野手「力不足を感じた」

第8日目:渡邊友哉投手 「困ったときに使われるような選手に」

第9日目:細野晴希投手 「チームを引っ張る立場に」

第10日目:松澤海渡投手 「全勝しないと1部で通用しない」

第11日目:矢吹栄希外野手「不甲斐ない結果で終わってしまった」

第12日目:松本渉外野手 「ラストシーズンは後輩に残せるように」

第13日目:河北将太投手 「経験はしたので、次は失敗しないように 」


PHOTO=宮谷美涼