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2020.12.17
硬式野球

[硬式野球] 〜異例の1年を乗り越え、強化の冬へ〜14日間連続インタビュー第13日目・諏訪賢吉内野手

未曾有の事態により、異例のシーズンとして迎えた秋季リーグ戦。チームは開幕5連敗と苦しみながらも、後半戦では3勝2敗。最終戦を勝利で飾り、今年の戦いを終えた。度重なる苦境に立ち向かい、乗り越えてきた選手たちは何を語るのか。14日間にわたって彼らの思いをお届けする。

 

 第13日目は、真のユーティリティとして幾度もチームに貢献してきた諏訪賢吉内野手(総4=浦和学院)。副将としてつなぎ役に徹する男の軌跡と、次のステージに抱く期待とは。(取材日・12月15日、聞き手=谷口遥菜)


--今季のリーグ戦を振り返っていかがですか

入替戦もないことになって、なかなかモチベーションを上げづらかったのは正直なところありますね。でもその中でどうモチベーションを上げるかと考えたとき、最後ということを大事にしようと思って臨みました。


--点数をつけるとしたら

チームとしたら70点。前半はなかなか勝てないこともあって。でも、そのなかで一人一人どうやったらいいのかということを考えながらやって、後半にチーム打率も良くなったし、得点も結構挙げることができたり。この修正能力に関しては良くなったと思ったので、この点数をつけました。

個人は10点。夏は調子良かったんですけど、リーグ戦に入って少し不甲斐なさすぎるというか…。自分の中で切り替えができなかったので、情けないシーズンだったなと思っています。


--リーグ戦を通して良かった点などは

自分の良かった点は特にないんですけど…。でも副キャプテンという役割で、チームに対して声かけだったり、後輩に対してアドバイスだったりっていうのは自分の中でやろうと思って。その点はちゃんとできたかなと思っています。

チームとしてはなかなか勝てないという中で一人一人落ち込まずに、どうやったら勝てるかということを考えてやれていたのは良かったなと思います。

 

--個人としての課題は見つかりましたか

バッティングの時にヘッドが下がる、遠回りしてしまうっていう部分が多く見られて。それを修正しようと思って、今取り組んでる感じですね。


--今季投打のMVPを教えてください

投手は、松澤(営2=帝京)じゃないですかね。松澤自身の持ち味であるスピードボールもそうですし、ツーシーム系の動く球、そのどちらも今季良い球が多かったので。点を取られてしまう場面もあったんですけど、段々と良くなっていきましたし。自分の中でも、松澤が次のシーズンもしっかり投げてるイメージが浮かびましたね。

打者は、木村(総3=霞ヶ浦)ですかね。バッティングが良くなったというか、打席立つごとに何かしてくれるなという雰囲気がありました。それに対してちゃんと結果も出ましたし、とても心強かったですね。


--秋前の取材では、練習をよく一緒にしている仲間として名を挙げた瀬川選手(総3=聖光学院)の活躍も見られました

自分が教えてたこともあって、責任があることだと思っていましたね。やっぱり教えっぱなしではダメだと思ったし、打席立ったり守備に就くとき、自分もベンチでもちゃんと見ようって。そのなかで瀬川もちゃんと練習の成果が出せたというか、結果を出せたのかなと。


--また、以前は瀬川選手がまだ自分がっていう気持ちで打席に入ってしまっているとお聞きしましたが、今季成長を感じた部分などは

最初は2番バッターとしてチームに貢献できたと思うんですけど。やっぱり色んな打順になっても、自分の役割というのはあって。それを打順が変わるごとでまだ少し自分を見失うというか、そういう部分が多々見られたと思いますね。どの打順に対しても自分の役割というのは絶対変わらないと思うので、それを自覚をもってやってくれれば、もっと成長できるかなと。


--同じく共に練習していた石上泰選手(営1=徳島商)も出場があり、来季につながるような印象を受けました

石上も1年生で春がなかったので、秋が初めてのシーズンということで、難しい部分もあったと思いますね。でも、1年生らしくのびのびとやってくれたかなと思っています。


--今後期待している選手は

左向(営2=智弁学園)ですかね。期待してるかつ、もう少し頑張ってほしいなって。


--どういった点に注目すべきですか

やっぱり左向の足ですね。足の速さは中大の五十幡にも負けずとも劣らずだと思います。まだまだ技術面だったり、心の部分や野球に取り組む姿勢がお子ちゃまなので(笑)。足をどう生かすかっていう部分ですね。野球もどんどん変わってきて、周東選手(福岡ソフトバンクホークス)や増田大輝選手(読売ジャイアンツ)のように育成から這い上がってくる選手っていうのは、足が特徴的なので。その足という部分で得点率だったり、相手チームに対する影響とかは大きいと思いますし。そのためには野球に取り組む姿勢だったりもっと磨いてもらえたらいいなと思います。左向に対してもったいないなって思う部分もまだあって、野球できるのは今しかないので。なんのために野球やっているのかと言うことをもう一度このオフに考えて欲しいなって思います。期待を込めつつ、自分からの激励をここで知ってもらえれば(笑)。



--副将として1年を振り返って

自分では結構理想としていたというか思い描いていた副キャプテンになれたかなと思います。自分は副キャプテンとして、上級生と下級生のつなぎ役だということを常に意識して日々行動していました。それは多分ちゃんとできたんじゃないかなと思います。


--つなぎ役として徹底していたことは

僕の立場として後輩を見るということが自分の役割だと思っていて。同級生というよりかは、自分が下に何を伝えられるかということを常に意識してきた1年でした。副キャプテンとしてどう伝えるかとか、下からのアドバイスを上にどうつなげるかというのが自分のなかで考えたことですね。やっぱり後輩が言いやすい、話しやすい雰囲気を作るのが一番強いチームかなと自分の中で思っていて。下級生が言ってきたことに対して、上級生が最終的には責任を取るというか、野球で言ったらランナーを返すみたいな。そういうことが上級生の役割だと思って毎日取り組んでいました。


--高校時代主将を経験し、今に活かせたことなどもありましたか

高校の時はバチバチというか、自分が引っ張らなきゃだめだという責任感が強かったんですよ。そういう思いでずっとやってて、背負いすぎてしまった部分があって。それじゃやっぱりチームもまとまらないですし、今年副キャプテンになってその考えのままじゃだめだと思ったので変えようと。そこからどうしたらチームがうまく回るのか、一つになれるのかっていうことを常に考えるつなぎ役になろうと思いました。一線置きながらというかそういうイメージでチームを見たりですね。高校時代のキャプテンとは一つ変えてということを意識してやりました。その過去の経験が今につながったと思います。


--以前の取材にあった、後輩につなげるという意識が体現できた形ですね

そうですね。後輩も僕にアドバイスとか、「どういう風にしたらいいですか」ということを気軽に聞いてくれたりもして。自分の中で後輩に対して、喋りづらい先輩というか、聞きにくい先輩っていう雰囲気は出したくなかったんです。そう言った意味では良い空気感でできたと思いますね。


--いよいよ引退ということで、諏訪選手にとってこの4年間を一言で表すと

本当に内容は濃かったですね。1年、2年と最初の方怪我してしまったりとか、ポジションを外野にしたり内野守ったり。自分の中では大きく成長できたというか、考え方も広がりましたし。東洋大学に来てとても良かったなあと思える4年間でした。


--記憶に残る試合は

去年の全日本大学野球選手権大会の明大戦ですね。ピッチャー森下選手から打てなかった、っていうのが悔しい思いがあります。本当に自分たちも勝ちに行った試合だったので。悔しい思いもありますし、勝ちたかったっていう気持ちも強いので、その試合が僕の中で一番記憶に残ってます。

それと1年生の時の明治神宮大会の日体大戦。僕がその試合のラストバッターで、その試合が高橋前監督の最後の試合だったんです。一本出てればもっと変わったのかなって。その時から結構僕の意識もかなり変わったので、想いが強い試合でした。


--この代、このチームで良かったなと思う瞬間は

同期たちは今年みんな就職活動でなかなか帰ってこなかったんでね…(笑)。3月に寮閉鎖してそれぞれ帰って、1年本当に会わなかったので(笑)。なのでなかなか自分らのイメージがないというか、4年生5、6人だけでやってたな〜って(笑)。

今年のチームとしては、後輩がのびのびとやってくれたので自分の中では本当に楽しかったなあと。そのなかでも3年生がやっと自覚をもって、練習中も試合中も僕らが人数少ない代わりに声を出したり、下級生を見たり。1年通して成長する姿を感じられたので、その点も楽しかったなあって思いました。


--今年はいろいろと難しい一年でしたよね。では、4年間振り返って良かったなと感じたことは

僕らの代はみんな仲良かったので、結構固まってましたね。頌樹(村上、総4=智弁学園)に対しても、みんな気軽に絡めたので(笑)。関西の人も多かったですし、本当に楽しい同期でしたね。毎日とても楽しかったです。


--4年間で成長したと感じる面はどんなところでしょうか

大学の授業とかもいろいろ心理学とかそういうのも勉強して、人の話を聞くということは本当にいいことだなって思いました。自分なかなか人見知りというか(笑)。人と関わるのが少し苦手だったんですけど、授業とかを通してまた違う面で勉強できたということがあって。大学に入って高校の時より多くの人と関わるようになって、いろんな人の話を聞いたりして学ばせてもらったり。自分の考え方も柔軟になったというか、色んな引き出しも増えましたね。それはもう成長したなあと自分の中では思います。


--野球のみならず成長できた4年間だったのですね

そうですね!技術面だけじゃなくてメンタル面とかで成長できたかなと。授業でヨガとかもやったんですよ。呼吸法とか面白かったですね、勉強になりましたとても!講師の人を呼んでくれて、数人でやらせてもらったんですけど。僕はこれいいな〜って、呼吸法とか取り入れさせてもらってました。


--大学生活でやり残したことはありますか

ピッチャーとキャッチャーですかね(笑)。その2つやれば完璧でしたね、コンプリートでした(笑)。サードで入学してショートもやって、レフトセンターライト、セカンドファースト。冗談です(笑)。いやでも本当それぐらい悔いはないというか、勉強させてもらったことばかりなので。やっぱりやり残したことは、ピッチャーとキャッチャーでお願いします(笑)。


--真のユーティリティとして活躍する姿をたくさん見させていただきました

いやほんとに自分の本職がどこなのかと言われても即答ができないので(笑)。この前ポジションを聞かれた時も堂々と、ユーティリティですと答えました(笑)。それが本職というか…。そのためにはやっぱり誰よりも練習しないといけないなと思うし、そう言ったからには責任があるので。あとはシャドーピッチングとかキャッチャーのスローイングとか練習して、どこでも守れるように(笑)。冗談ですけど(笑)。でも監督に使われる選手がいい選手だと思うので、期待に応えられるような何でも屋というか。自分はそういう立場でいいなって。何でも屋っていうのも大学で学んだことの一つですね。体力面には自信があるので、頑張りたいなと思います。


--社会人野球に進むとお聞きしましたが、どのような選手になりたいですか

自分の中で一つ目標があって。結婚して子どもが試合を見てくれるまで現役でやりたいなと。やっぱりかっこいいパパでいたいので…!まだまだ先の話なんですけど(笑)。とにかく長く野球に携われるように。そのためには、けがしないことは必須条件ですし、結果ももちろん出さないといけないですし。これからは部活動ではなく仕事になるので、生半可な気持ちでやるとどんどん抜かされてしまうし、チャンスも無くなってしまうので。大学入って自分の強みも固まってきてるので、それを生かすためにどうするかというのを常に考えながらやっていこうと思ってます。


--今年の都市対抗野球大会などをご覧になって印象などは

自分が進む日本通運のチームは本当に明るいチームだってことは知ってたんですけど、やっぱりかっこよかったですね。一人一人が役割を徹底してるというか、欲を出すんじゃなくてチームのためにっていう。自分もこのままじゃだめだなって思いましたね。あとは、37歳の選手が140km投げたりとか自分の中では考えられなかったので、正直驚きましたね。プロ野球がもともと好きでそこでは140km投げて当たり前って思ってたんですけど、社会人野球見てこの人たちすごいなって。感動しましたね、レベルの違いというかそれを感じました。


--ぜひ1年目からの活躍、期待しています!

ありがとうございます!期待に応えられるよう頑張ります!


--なにかチームメイトに伝えたいことは

自由にさせてくれてありがとうって伝えたいです(笑)。結構周りから「何考えてるかわかんないよね」とか「楽しそうだよね」って常に言われてるので…(笑)。のびのびとやらせてもらったなって思ってます。


--では最後に、家族や応援してくれている皆さんにメッセージをお願いします

4年間応援ありがとうございます。まだまだ僕の野球人生は終わらないので、これからも応援よろしくお願いします!


諏訪選手、4年間お疲れ様でした!



◇プロフィール◇

諏訪賢吉(すわ・ただよし)

生年月日/1998・8・11

東洋での思い出/それはコーヒーですね(笑)。もともとインドアで料理だったりお菓子作りが小さい頃から好きだったんですよ。でも大学入って、友達にスノボとかキャンプ誘われて行くうちに、楽しくて趣味が増えました。でも一番はやっぱりコーヒーですね。コーヒー店のマスターとお話しできるお店が好きです。あと、コーヒーに対するうるささには絶対の自信があります(笑)。この前後輩にコーヒーミルを引退記念でもらって、快適すぎてもう一段コーヒーにハマってしまいました(笑)


サンタさんにお願いするなら/パボーニというメーカーの16万円のエスプレッソマシンが欲しいんですよ。初任給で買おうと思ってて、サンタさんがいるならぜひ。誰かサンタさんいないかな…(笑)。


将来の夢/40歳ぐらいですかね、浦和でSwa's coffeeがオープンしてる可能性が(笑)。あともう一つの目標は、神宮球場に第二号店を出店することです!知り合いの神宮スタッフに言ったら笑われました(笑)。夢はいっぱいあるので!


好きなご飯屋さんin鶴ヶ島/はつがい商店の「ローストビーフ和えそば」が僕の好きなメニューです!たしか数量限定なんですけど、美味しいのでぜひ!


卒論のテーマ/「野球選手とラグビー選手の性格による選手特徴の違いについて」です。ラグビー部に友達がいたこととワールドカップで有名になったこともあって、面白いかなあと。


チームメイトで彼女にするなら/芦名(総3=木更津総合)かなあ。料理が上手で気遣いもちゃんとしてくれるので、今のままでいいですね。あ、でもちょっとゴツいなあ…怖いなあ…(笑)。だからまあ、体つきとか顔つきとか置いといて(笑)。でもとりあえず優しいです!


~連続インタビュー一覧~

第1日目:「新たな1年に向けて」杉本泰彦監督

第2日目:「チームを勝たせられる捕手に」後藤聖基捕手

第3日目:「悔しさを晴らす2年目へ」野澤秀伍投手

第4日目:「試合ができることへの感謝」廣岡隆成捕手

第5日目:「目指すは走攻守全て揃った選手」〜3年目に向けた誓い〜小口仁太郎捕手

第6日目:「強い投手から打ってこそ意味がある」〜変化を恐れず進む〜松本渉外野手 

第7日目:「自分が一番に」〜ライバルとしのぎを削り飛躍の1年へ〜松澤海渡投手

第8日目:「凡事徹底」~覚悟を持って挑む~瀬川航騎内野手

第9日目:「チームをサポートできるように」〜力強い投球でチームの柱へ〜山内響投手

第10日目:「常に高みを目指して」〜真摯に野球に取り組む〜木村翔大内野手

第11日目:「信頼される投手に」〜ラストイヤーに懸ける思い〜大宮隆寛投手

第12日目:「強いチームを作り上げたい」〜自信を胸に主将へ〜佐々木俊輔外野手

12月18日 山崎基輝捕手