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未曾有の事態により、異例のシーズンとして迎えた秋季リーグ戦。チームは開幕5連敗と苦しみながらも、後半戦では3勝2敗。最終戦を勝利で飾り、今年の戦いを終えた。度重なる苦境に立ち向かい、乗り越えてきた選手たちは何を語るのか。14日間にわたって彼らの思いをお届けする。
最終日は、「For the team」を合言葉に闘志を燃やした山崎基輝捕手(営4=愛工大名電)。主将として挑んだこの1年。仲間たちといくつもの壁を乗り越え、共に歩んできた。そんなチームの柱がTOYOの誇りを胸に挑んだ4年間、そして次のステージへの想いを語る。(取材日・12月11日、聞き手=谷口遥菜)
--今季のリーグ戦を振り返って
優勝目指してやったなかで、順位こそ4位という結果だったのは悔しい。けど、最後の方は来年につながるような使い方ができたと思う。チームとしては、若いメンバーでリーグ戦経験したことない選手も多くいて。最初の方は声も出てなかったし、最後の方になって本来のリーグ戦がこういうもんだっていうのを4年生が見せられたと思うね。4年生たちはみんな後輩たちにいいものを残して、引退できたんじゃないかな。
--良かった点や課題となる部分は
どんな時も最後まで諦めないという姿勢を後輩に見せられたのは良かったかな。
悪かった点は、結果でチームを引っ張れなかったこと。
--「チームのために」というスローガンはチーム内で浸透できていましたか
んー、そうやね。なかなかそんな簡単に浸透するものではないと思うし、やり続けてっていうものだと思うかな。だから浸透っていうのができた部分と、もう少し足りてない部分があると思う。野球はチームスポーツだから、自己満足の野球じゃ絶対良くない。ピッチャーが点取られたら野手が取り返してあげるし、バッターが点取ったらピッチャーは絶対抑えるっていう気持ちでやることが大事やと思う。そういう面において、多少は実感できたかな。
--最終戦はどんな想いで臨んでいましたか
これで大学野球終わりなんだなあって思った。悔いなくやろうと思って臨んだかな。シーズン途中から結果出なくて、一つ一つを悔いなくやろうって思うようになり始めたね。後輩に良いもの残して引退したいっていうのもあった。
--4年間を振り返って、印象に残っているのは
やっぱり1年生と4年生が印象に残ってるな。
--特に記憶に残ってる試合などはありますか
昨春の駒大2回戦、最後に三振した場面。本当に悔しかったし、ここで決められるバッターになって帰ってきたいって思った。あの時の悔しさっていうのは今も結構残ってるかな。
それと全日本で明大に負けた時。森下投手みたいなピッチャー打てないと、上ではやっていけないなって。最後やっとヒット1本打てたけど、4打席見なくちゃ打てないピッチャーだったから。正直なところ、1打席目では絶対打てんなって思った。4年間振り返って悔しいところしか印象に残ってないな。
--山崎選手にとってこの4年間を一言で表すと
「濃厚」。いやなんやろな、難しい(笑)。んー、「変化」かな。
--「変化」という言葉を選んだ理由は
理由は何個かあって。まずは自分自身が変われたっていうこと。大学入学前よりいろいろな人と出会って、人として周りが見えるようになったし、そのおかげで人間的に成長できたなって。もちろん技術的にも変化できたと思う。個人的には一番練習したんじゃないかなって思ってるから、そこについても変化できた。1、2年生のときはメンバー外で、そこから出場、そして4年生になってキャプテンもやらせてもらって。周りの環境の変化っていうのもあったと思うし。いろいろな意味での変化があった4年間だったなあって。
--自身が成長したと感じる部分はどこでしょうか
一番は自分を客観的に見られるようになったことかな。冷静にというか、今まではできなかったことだったから、それができるようになったのは大きい。あとは視野が広がったこと。野球で言えば、気持ちの切り替えがうまくなったこともそうかな。野球ってバッティングでだめだったら守備で取り返す、その逆もまた然りで。取り返せるのが野球っていうスポーツやから、切り替えってすごい大事やと思うし…。そういう部分が成長できたかなって。
--大学生活で何かやり残したことはありますか
ない!やり切った。嘘、あるわ。日本一になりたかったなあ…。
--では、主将としてこの1年を振り返っていかがでしょう
理想としていた主将になれなかったことが悔しい。俺が見せたかったのは、結果で引っ張るっていう姿。でもそれはちょっと出来なかったな…。
--いわゆるチームの顔として特に意識していたことは
常に見られてるっていう意識はもってたねやっぱり、特にグラウンドで。練習に取り組む姿勢とかはもちろんだし、あとは誰よりも声を出すことかな。
--主将の重みというのを実感した瞬間はありましたか
リーグ戦中とかはやっぱり主将という立場から、結果出さなあかんなって思ったり。プレッシャーとかはあんまりないかもしれない。4年生になって、最高学年として自分たちが引っ張る立場っていうのに変わりはないからね。主将としてより一層人に見られてるから、姿勢だったりで引っ張ろうと思ったけど。そういう面でプレッシャーとかはなかったかな。
--野球以外での4年間の思い出はありますか
知り合いが増えたこと、友達がたくさんできたこと!関東の主な野球場全部行けたっていうのも思い出かな。
--ちなみに普段の息抜きやリラックス方法というのは
やっぱりおいしいご飯食べることやな。安室奈美恵のライブDVD見て、リラックスしたりもした。
--この代で良かったなと思う瞬間は
んー、良い同級生に恵まれたな。たくさん助けてくれたし、支えてくれたからここまでこれた。諏訪(総4=浦和学院)もすごい周り見てやってくれたし、速水(社4=佼成学園)とか玲雄(小林、営4=佐久長聖)も先頭に立ってチームのこと考えてやってくれた。頌樹(村上、総4=智弁学園)とか拳輝(山本、法4=作新学院)とかももちろん。拳輝は学生コーチの方回っても、練習の手伝いとかいろいろやってくれたし。そういう面では全部一人でやってるって感じしなかったね全然。手伝ってくれるおかげで、大変やなと思うことも少なかったし。
--次期主将が佐々木選手(営3=帝京)に決まりましたが、何か伝えたことは
チームの野球っていうことも大事なんやけど、チームのことだけを考えすぎると良くないっていうことかな。主将が結果出せばチームも良い方向に行くと思うから、あんまりチームのことを考えすぎるよりも、自分の結果をどうやって出すかっていうのをちゃんと考えた方が良いって伝えた。
--来年は見守る側として、どういうチームになってほしいですか
強いチームっていうよりは負けないチームになってほしい。最終的に勝ってれば良いっていうのが野球やから。どれだけ先制とかされても最終的にはなんだかんだ勝ってるっていう。そんな負けないチームを作って欲しいなって思うかな俺は。
--では、来季期待している選手は
廣岡(総2=拓大紅陵)と後藤聖(法1=京都学園)。今年2人とも試合出たし、来年は競争になると思う。だから切磋琢磨して、より高いレベルで競って欲しいな。これからもっと力つけなあかんと思うけど、2人とも実力はあると思うし!「絶対自分が試合に出る」っていう気持ちが大事だと思うから、仲良くやるんじゃなくて競争だから意識してやってもらいたいなと。あと、あいつら2人ともかわいいから(笑)。2人ともレギュラー獲ってほしいけど、ポジションは一つしかないからな…。2人とも頑張ってほしい。
--これからのチームに伝えたいことは
野球に対するガツガツさっていうのがまだまだ足りないんじゃないかなって思う。どうしてもまだ「何がなんでも活躍する、うまくなる」っていう気持ちがある選手が少ないかなって。能力はあると思うから、練習を含め、それをもっと全面に出していけば良いチームになると思う。その部分をずっと言ってるんだけど、ここでも言いたいねん。良い選手が多いからこそもったいなって。相手も勝ちたいと思って戦ってくるわけやし、気持ちで負けてちゃいけない。
--次の社会人野球の舞台に向けて、今取り組んでいることは
社会人野球に進むけど、やっぱりやってることは変わらんよ。バッティングやって守備やって、トレーニングしてランニング。やってることは変わらんけど、動きを身体に染み込ますっていうことを意識してるかな。かなり数はやってるつもり!あとはスタートが大事だと思うから、スタートからつまずかないような準備。
--気持ちの面ではいかがでしょうか
野球がうまくなりたいっていう気持ちはすごくあるから…。とにかく1年目から出られるように、今できることをしっかりやっていこうっていう思いかな。
--社会人野球ではどんな選手になりたいですか
チームから一番信頼される選手。あとはやっぱり勝負強い選手かな!都市対抗野球大会見て、来年東京ドームの舞台でやりたいなって思ったから。そのためには信頼とか勝負強さが必要やと思うし、そういうところかな。
--都市対抗を見て、印象に残った選手は
藤井さん(H30年度法卒=ENEOS)かな。エースとして、チームを背負って立っているというのがすごい表れてたなって。社会人で野球やる重みとかそういうのがすごい伝わってきた。見てた試合では途中で降板したけど、降板しても一塁にエルボーガードとかフット取りに行ったり、先頭になって声出したりとかしてたんよ。ああいうのって本当に大事やと思ったし、でもみんながみんなできることではないから、藤井さんすごいなって思った。
--社会人野球に進んでの目標は
プロに行きたいっていう気持ちがあるから、社会人の舞台で活躍することかな。優勝したいし、大学で叶えられなかった日本一になりたい。
--では、最後に家族や応援してくれている皆さんへメッセージをお願いします
やっぱり一番支えてくれてるのは両親やから、まずありがとう、と。社会人になってやっと両親に迷惑かけへんくなるから、ちょっとずつ恩返しできれば良いかな。野球で結果残すっていうのが一番の恩返しだと思う思ってるから、そのためにも頑張っていきたい。
OB会含め、東洋の関係者の人にも感謝したいな。おかげで野球ができてるわけやから。スタッフ、関係者にはすごい感謝してます。
あとやっぱり、応援してくれてる人たち。地元もそうやし、名古屋から応援してくれる人もいた。東京で知り合った人とか、男女関わらず応援してくれる人がたくさんいたっていうのは、ありがたいことやな。周り見てもすごい応援してくれる人がいたのを感じてるし、自分の力になった部分もたくさんあった。本当にありがとうございますって伝えたいですね。
山崎選手、4年間お疲れ様でした!
◇プロフィール◇
山﨑基輝(やまざき・もとき)
生年月日/1999・1・18
身長・体重/177㌢・80㌔
サンタさんにお願いするなら/Nintendo switch「eBASEBALL パワフルプロ野球2020」
好きなご飯屋さんin鶴ヶ島/蝦夷(チャーハン)、徳樹庵(うなぎ御膳)
チームメイトで彼女にするなら/廣岡か後藤聖。理由は優柔不断じゃなさそうだから(笑)。
~連続インタビュー一覧~
第5日目:「目指すは走攻守全て揃った選手」〜3年目に向けた誓い〜小口仁太郎捕手
第6日目:「強い投手から打ってこそ意味がある」〜変化を恐れず進む〜松本渉外野手
第7日目:「自分が一番に」〜ライバルとしのぎを削り飛躍の1年へ〜松澤海渡投手
第9日目:「チームをサポートできるように」〜力強い投球でチームの柱へ〜山内響投手
第10日目:「常に高みを目指して」〜真摯に野球に取り組む〜木村翔大内野手
第11日目:「信頼される投手に」〜ラストイヤーに懸ける思い〜大宮隆寛投手