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2022.08.11
硬式野球

[硬式野球] 〜最後に散った1部への夢、ここから再起を図れるか〜14日間連続インタビュー第11日目・ 矢吹栄希外野手

聖地神宮に戻ることを夢見て、チーム一丸となりこの春を戦った東洋大の戦士たち。厳しい2部を戦い抜き、1部への切符を掴みかけたが、最後は戦国東都の重圧がのしかかり、思い出の地で涙を流した。心に焼き付く経験をした選手たちは何を語るのか。14日間にわたり彼らの思いをお届けする。



第11日目は矢吹栄希(総4=聖光学院)外野手。けがと付き合いながら歩んだ今季を「辛かった」と振り返った。秋は「不甲斐ない結果」で終わった春のリベンジ果たせるか。(取材日・7月16日、聞き手=宮谷美涼)


ーー今季を振り返っていかがでしたか

最初から最後までけがと付き合いながらのシーズンだったので、身体が本当に思うように動かなくて。それでも、ごまかしながらやらないといけないなっていう気持ちはありました。


ーー印象に残っている試合はありましたか

全部の試合が不甲斐なさ過ぎて、全部の試合が印象深いですけど。なかなか思うようにいかなくて、辛かったなと全試合を通じて感じていましたね。


ーーその中でも拓大2回戦では、代打で適時打を放たれましたよね

一打席だけだったら、いけるかなという感覚で、割り切って振っていこうと思えたんで、あのときは思い切って振っていこうという気持ちで打った結果が、ああいういい結果につながりました。


不振の中、適時打を放った


ーー打線がつながらない試合もありましたが

去年のシーズンも振り返ってみて、自分が打ったときに流れがよかったですし、今シーズンはそれがうまくいかなかったですね。自分が打てたら勝てたなっていう試合は多くありました。


ーースタメンから外れた時、左翼手に入った大髙(営3=常総学院)選手にもアドバイスはされていましたか

そうですね。試合があいつに代わったときも、「いつも通り好きにやれよ」とよく声をかけていましたね。


ーー打席で意識していたことはありますか

代打で出されるとしたら、絶対に大事な場面で代打かなという風には感じていたんで、四回、五回あたりから、裏で大事な場面を想像して常に準備していました。


ーーヒットが出なくなったときの対策とかはしていましたか

バッティングのこととか終始考えることは常に頑張って、その中でも打つ方向というのを、それからピッチャーの癖とか、配球だったり、それを考える時間はあるのかなと思いました。


打席前の矢吹


ーー入替戦の相手が中大に決まったときの心情はいかがでしたか

別に嫌なイメージは無くて、逆によかったんじゃないかなと思います。中央も1部の戦いでは、けっこう自分たちが1部に落ちたときと同じような戦い方をしていたんで。

  

ーー入替戦はご自身の調子はいかがでしたか

練習の中でもけっこう打ち込みをやっていて、そのときは身体のキレなど調子がだいぶ上がっていたんで、悪くはなかったという感じですね。

 

ーー久しぶりの神宮はいかがでしたか

やりやすさというのはだいぶ感じましたね。それとは別に2部の球場とは違う緊張感がありましたね。


神宮のスタンドを眺める様子


ーー入替戦の1戦目では、3安打と活躍されましたね

当たりとかは特によくなかったんですけど、なんとしても「つなごう」という気持ちが結果につながったのかなと思います。


1戦目では3安打と勝利に貢献した


 ーー2戦目は投手陣が大崩れしてしまいましたが、どのような話し合いをされましたか

1戦目勝っても、2戦目がダメだったんで、明日につなげるような試合をしようという風に心がけました。「とりあえず明日につなげよう、準備をしよう」といった感じでした。

 

ーー2部残留が決まった時の心境は

本当に1部に上がるためだけに自分たちは準備してきたので、そこで全部今までやってきたことが、あの瞬間に崩れ落ちるわけなので、何とも言えない感じになったというか、誰も責めることはできないので。あの瞬間は本当に絶望といった感じでした。

  

ーー1部に上がれなかった原因は何でしょう

特に悪いところがあったりとかは無かったと思うんですけど、僅差になったときでもちょっとした弱さであったりとか、あそこで突き抜けられるのがよかったですけど、練習でそういうところをもっと追い詰めてやっていければよかったかなという風には思います。技術面どうこうではなくて、ここぞという場面での弱さだと思います。

  

ーー今のチームの課題は

ピッチャー陣はいいと思いますし、バッター陣も他のチームと比べても悪くないと思うので、ここぞという場面での一本だったり、そういう強さが必要かなと。自分もそうですけど、昨シーズンは出せなかったので。クリーンアップが、3、4、5番が、一本を出せたら、チームも勝ちにつながるのではないかと思います。

 

ラストシーズンは満足した結果を残せるか


ーー矢吹選手自身の課題は何ですか

チャンスで回ってくることが多いので、小口が還せなかったら、自分が還すしかないですし。そのカバーというか、ここぞという場面の一本を出せるように頑張っていきたいなと思います。

 

ーー秋の目標を教えてください

チームとしては、2部では全部勝ちを取って、完全優勝して、入替戦でどんなチームが来ても、全部勝ち抜けるように強さをつけたいなという風に、後輩たちを神宮でプレーさせてあげられるように、自分たちが最後まで頑張りたいなと思います。個人的には不甲斐ない結果で終わったんで、まずは自分でしっかり整えて、いい状態でシーズンを迎えられるようにして、ここぞという場面で打てるように、前回のシーズンとは違うという部分を見せたいなと思います。

 


 ◇プロフィール◇

矢吹栄希(やぶき・はるき)

生年月日/2000・11・9

 身長・体重/178㌢・81㌔

赤バットを使っている理由/イメージがすぐ分かるように。(「あ、矢吹だ」と分かってもらいたい。)




◇連続インタビュー一覧◇

第1日目:杉本泰彦監督 「今度はもっと強いチームを」

第2日目:宮下朝陽内野手「いい経験になった初めての春」

第3日目:加藤響内野手 「秋は見返してやる」

第4日目:石上泰輝内野手「首位打者を狙いに」

第5日目:後藤聖基捕手 「手応えのあった春」

第6日目:橋本吏功外野手「自分が出ればチャンスになる」

第7日目:水谷祥平外野手「力不足を感じた」

第8日目:渡邊友哉投手 「困ったときに使われるような選手に」

第9日目:細野晴希投手 「チームを引っ張る立場に」

第10日目:松澤海渡投手 「全勝しないと1部で通用しない」

8月12日 松本渉外野手

8月13日 河北将太投手

8月14日 小口仁太郎主将


PHOTO=宮谷美涼