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2022.08.09
硬式野球

[硬式野球] 〜最後に散った1部への夢、ここから再起を図れるか〜14日間連続インタビュー第9日目・ 細野晴希投手

聖地神宮に戻ることを夢見て、チーム一丸となりこの春を戦った東洋大の戦士たち。厳しい2部を戦い抜き、1部への切符を掴みかけたが、最後は戦国東都の重圧がのしかかり、思い出の地で涙を流した。心に焼き付く経験をした選手たちは何を語るのか。14日間にわたり彼らの思いをお届けする。



第9日目は、先発として、中継ぎとしてチームのために腕を振り、勝利に貢献してきた細野晴希(総3=東亜学園)投手。チームを引っ張る立場になったエースが今季を振り返る。(取材日・7月17日、聞き手=成吉葵)


ーー今季を振り返っていかがでしたか

日によって、調子が良かったり悪かったりと不甲斐ないことも多かったが、チームが優勝したことと、個人として全勝できたことは良かったです。


ーー一番印象に残っている試合は

専大カードで投げた2試合(回戦)ですね。その前の国士大での登板が全くダメだった中で、ゴールデンウィークを挟んだ後に、いい感じに試合を終えられたので印象に残っています。特に3戦目は今季一番良かったです。


3戦目では相手のエースとの投げ合いに勝利した


ーー最優秀投手に選ばれましたね

ありがたいんですけど、正直、自分でいいのかなと思いました。絶対に松澤(営4=帝京)さんのほうが貢献してるし、菊地(専大)さんもすごい投げててハードだったから。自分の結果で取るのは申し訳ないなという感じがしました。


ーーリーグ戦では4戦、第一先発を務めました

2戦目のほうが、1戦目落とされたときに、「絶対に落としちゃいけない」というプレッシャーがすごいので。後ろに松澤さんがいるから、安心して投げられるのはかなり大きかったです。


昨春から松澤と共に先発を務めてきた


ーー入替戦前の調子は

球は悪くなかったが体調が優れなかったです。そのため、気持ちで投げた部分もありました。


ーー久しぶりの神宮球場はいかがでしたか

当日の天気は快晴ではなかったんですけど、それでも青々しい球場とバックスクリーンの迫力から、しみじみとしました。


ーー1戦目が始まる前は、少し不安げな表情でしたが

相手の実力がわからず、上の相手ということもあって抑えられるか不安でした。


1戦目のイニング間の細野


ーー2戦目の投手陣の総崩れをどう見ていましたか

一回のエラーから流れが完全に相手側に傾いたのと、試合を見ていても相手の振りが自分が投げた前日とは違うと感じました。そこに委縮してしまったのもあると思います。


ーーベンチから常に声を出されていましたね

負けたくなかったのと、自分がチームを引っ張る立場になってきていると感じることが今季中に何度かあり、自然と前に出ていたんだと思います。


2戦目ではベンチから声を出していた


ーー3戦目の先発も任されることになりました

2戦目の展開を見て、3戦目は自分しかいないと思いました。なので、すぐ覚悟を決めて準備に入りました。


ーー3戦目は不安な表情はなくなっていましたね

相手を見る時間があったのと、「絶対に勝つ」という気持ちがありました。こういう部分からそのように見えたんだと思います。


ーー降板直前まで150㌔台を連発していましたね

1戦目より体は軽かったのと、(1戦目で)相手打者を知ることができたので自分の中でリラックスした気持ちで投げられました。


入替戦では1、3戦目に登板


ーー勝負が決まる3戦目で完投したいという思いはあったのでしょうか

前日の試合展開的にも、自分の気持ち的にも九回もマウンドに立つ気持ちでいました。それでも、七回に入って球に勢いがなくなってきて、攻める投球からかわす投球に変わってきて、「まずいな」と思いました。それなら、後ろにもいい投手はたくさんいるので彼らにマウンドを託そうと思って降板しました。


ーー2部残留が決まった時の心情は

「終わった、また2部か」という気持ちでした。本当にこの2つと悔しさだけでした。


ーー中大の打者はいかがでしたか

個人的に北村(中大)さんと森下(中大)さんを警戒していましたが、どの打者も追い込まれても簡単にアウトにならなくて、1部で戦うとはこういうことなのかと感じました。


ーー入替戦を投げてみて収穫はありましたか

自分の投球スタイルですね。体調的な部分と相手が上ということもありましたが、打たせて取ることを基本として、ピンチでギアを上げるように投げたらストライク先行で投げられたので、これは良かったと思います。


ーー入替戦がある2部を過ごしてみていかがでしたか

正直、優勝することが昇格への絶対条件である2部で投げることは本当に難しくて、しんどいです。そして、日程的にではなく堂々と神宮のマウンドで投げたいって思いがあります。


ーー今季も小口(法4=智弁学園)主将に多く励まされていましたね

リーグ戦中はたくさん励ましてくれました。小口さんは、誰にもまねできないキャプテンだと思います。厳しさもあるし、雰囲気を良くできる明るさもあるし、ムードメーカーだけど、一番先頭でやってくれる存在です。


小口に声を掛けられる場面が多く見られた



ーー上級生になって意識に変化はありましたか

一個上に言いやすくなったなって。やってる人もいれば、やらない人もいるので、そういう人たちに「やった方がいいんじゃないですか」って言えるようになりました。下級生たちに、自分ができてないのに注意していたら、「できてないじゃん」と思うだろうから。「自分が言わないとな」という思いが強くなりましたね。


ーー今季見つかった課題を教えてください

一番は、スタミナですね。常に最後までマウンドに立つんだという気持ちを持つためには、まずスタミナがなくてはいけないので。スタミナをつけたいと思います。そして、投球については相手の選択肢を増やすために緩い球の習得と、今持っている球のキレを磨きたいです。


ーーそれでは秋の目標をお願いします

個人としては防御率0.00。チームは優勝と1部昇格。これだけです。


◇プロフィール◇

細野晴希(ほその・はるき)

生年月日/2002・2・26

身長・体重/180㌢・88㌔

好きな食べ物/焼肉

理想の選手/杉内俊哉(読売ジャイアンツコーチ)さん。球の出所が見にくく、球を速く見せる技術を持っていて憧れる。

東洋大学で見てほしい投手/石上祐介(法3=東洋大牛久)と野澤秀伍(総3=龍谷大平安)。同級生として刺激をもらっているしもっと見てほしい。後輩では島田舜也(総1=木更津総合)に注目してほしい。



◇連続インタビュー一覧◇

第1日目:杉本泰彦監督 「今度はもっと強いチームを」

第2日目:宮下朝陽内野手「いい経験になった初めての春」

第3日目:加藤響内野手 「秋は見返してやる」

第4日目:石上泰輝内野手「首位打者を狙いに」

第5日目:後藤聖基捕手 「手応えのあった春」

第6日目:橋本吏功外野手「自分が出ればチャンスになる」

第7日目:水谷祥平外野手「力不足を感じた」

第8日目:渡邊友哉投手 「困ったときに使われるような選手に」

8月10日 松澤海渡投手

8月11日 矢吹栄希外野手

8月12日 松本渉外野手

8月13日 河北将太投手

8月14日 小口仁太郎主将


PHOTO=宮谷美涼