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聖地神宮で再び戦うことを目標に“一戦必勝”のスローガンのもと戦い続けた東洋大の戦士たち。戦い抜いた先に待っていたのは5季ぶりの1部昇格という最高の結果だった。自分たちの力で勝利をつかみ取り、目標を達成した今季を振り返った時、選手たちは何を語るのか。どのような思いで戦っていたのか。激闘の半年を振り返ってもらう。
今回のインタビューは、打撃では中軸として打線を引っ張り、守備でも内野で複数ポジションをこなして1部昇格に大きく貢献した宮下朝陽(総2=北海)内野手。入れ替え戦後には日本代表としても活躍と激動の半年となった今季。二年目ながらチームの中心選手として戦い抜いた彼は、リーグ戦・入れ替え戦で最高の結果となった今季を終えて何を思うのか。(聞き手=成吉葵)
――今季を振り返っていかがでしたか
昨年の秋よりはいい結果を残せたので良かったかなって思います。
――打撃面で今季は好調、打率と打点ではチームトップの成績
率を残すためにバットを短く持ったり、ボールの待ち方を変えたりと形の部分も考えましたし、長打を狙わずにヒットを狙うっていう考え方で打席に入っていたので、そのアプローチがハマったのかなって思います。
――打点はリーグでも2位、勝負強い打撃でした
走者がいてもいなくても初球からアプローチしたくて。その点は心掛けてました。とにかくファーストストライクから振っていくこと。得点圏だからこうしようとかなくて、常にこの考えなので、それが結果に繋がったのかなって思います。
――打順に関しても主に3番固定だった
大きいのはいらないので繋ぐこと。これを意識してました。打順にこだわりはないですが、固定してもらえるとやりやすいですし、上位打線を担えるのはやりがいを感じます。
――今季、守備においても二塁だけでなく三塁や遊撃でも出場されました
そうですね。守備の方が多くの経験値を得られたというか、新鮮でしたね。
――三塁を守るという経験は今までにありましたか
三塁手は高校1年生の夏に一回だけやったことがあるんですけど、そこからやってなかったですね。久しぶりでした。
――本職は遊撃手ですよね
そうです。昨年よりも守備機会が増えたのは嬉しかったですし、多く経験してきた分動きはわかりますね。
――三塁手や遊撃手として出場となったきっかけは
監督から、「サードとショートもできるだろ」ってシーズン中に聞かれて、「できます」って答えたからです。チームに貢献できるので自分としては良かったです。
――様々なポジションで出場しても失策0。守備の際にどのような意識で臨んでいましたか
試合前からいろんなポジションでノックを受けてたのもありますが、とにかく足を使うことが大事だと思うので、ここは意識してました。
――今季一番印象に残っている試合
東農大2回戦ですかね。あの時、自分が先頭で出塁して、結果としてホームでアウトになりました。その時、ベースランニングの周り方次第、もっと小さく回ればセーフになったと思うので反省の気持ちがあります。試合の終わり方も印象的ですが、自分としては勝利って結果に助けられたって感じがあります。
――専大3回戦のサヨナラについて聞かせてください。サヨナラ打というのは
サヨナラ打はあんまり経験にない気がします。
――あの時、どのようなことを考えていましたか
正直、打席入る時よりも前の回の方が自分の中で考えることが多かったんです。タイブレークだったので、前の回の展開次第では10回の攻撃時に、自分がバントスタートになってしまう。バント苦手だし、打つ方が楽なので、自分がバントする展開だけは避けたくて。頼むから決めてくれって感情と、回ってくるなら自分が打てる展開で回ってきてくれって感情がずっと頭の中を巡ってました。
――結果として後者になり、ご自身で試合を決めました。自分が決めるということにおいて緊張はなかったんですか
なかったですね。あの日のあの場面は打てる気しかしなかったです。直球しかないだろうなって絞ってた中で直球が来て、狙い通りだから迷わず振ったって感じですね。打った方向も形もイメージ通りの打球で、内野の間を抜けていったので良かったです。
――入れ替え戦でも好調を維持
そうですね。昨年を経験していますし、気持ちに余裕があるというか。それがしっかりバットが振れた理由だと思います。あとは、1ヶ月の間に代表の合宿もあって生きた球を多く見ていたので、それもあると思います。
――昨年の入れ替え戦の中大3回戦、サヨナラの打球は宮下選手の横を抜けていきました。今年も昇格が決まる最後の打球が宮下選手の元へ飛びましたね
昨年も今年もですけど、何があるかわからないって中で最後まで丁寧に守ることを心掛けました。昨年も言ったと思うんですけど、今年も飛んでくる気がして。今年はしっかり捌いてアウトが取れて、勝利をつかみ取れたので良かったです。
――宮下選手が感じた昨年と今年の入れ替え戦の違い
昨年を経験した分、自信をもって臨めましたし、「勝つぞ」って気持ちで2試合を戦い抜けたのかなって思います。自分としては昨年はついて行った立場であんまり覚えてなくて。とにかく必死な感じでしたが、今年は周りや流れが見えていたのかなって思います。
ーー東洋大を担っていく存在として期待されている中で激動、飛躍の半年になったと思います
様々な経験をして、自分としても形が見え始めたというか慣れてきた感じはあります。ただ、まだまだ自分自身で納得できていない部分もありますし、もっともっと高いレベルを求めて生きたいと思っています。
――今季得た収穫と課題
収穫は、率を残すバッティングができたのと体重をキープしたまま終えられたことですね。
課題は本塁打が減ってしまったことです。本塁打が打てると思った球でも、捉えきれなくて二塁打で終わってしまったことが何回かあったので。仕留めるときはしっかり仕留める確実性は課題だと思います。
――最後に一言
1部を経験したことがないので楽しみでいっぱいです。1部で戦い抜くために、結果を出すためにこの夏の練習を頑張ります。神宮に見に来て応援してください。今季はありがとうございました。
◇プロフィール◇
宮下朝陽(みやした・あさひ)
生年月日/2004・1・26
身長・体重/183㌢・88㌔
最近のエピソード/母校が甲子園に出場しました。自分がOBになって、OB特有のうれしさというものを感じてます(笑)
決勝をリアルタイムで見ることができたんですけど、エスコンフィールド北海道でプレーしてたのがめっちゃ羨ましかったです。
♢13日間連続インタビュー♢
♢特別企画♢
♢インタビュー♢
宮下朝陽 内野手
細野晴希 投手