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聖地神宮で再び戦うことを目標に“一戦必勝”のスローガンのもと戦い続けた東洋大の戦士たち。戦い抜いた先に待っていたのは5季ぶりの1部昇格という最高の結果だった。自分たちの力で勝利をつかみ取り、目標を達成した今季を振り返った時、選手たちは何を語るのか。どのような思いで戦っていたのか。激闘の半年を振り返ってもらう。
今回のインタビューは、エースとしてチームを引っ張り1部昇格の立役者となった細野晴希(総4=東亜学園)投手。自身の掲げた“無敗”、チームの掲げた“1部昇格”という2つの目標を達成し、さらには入れ替え戦後に日本代表としても活躍。充実した半年だったと細野は言う。「エースになれ」と井上監督から常に言われ続け、今季常に進化し続けた左腕は、リーグ戦・入れ替え戦で最高の結果となった今季を終えて何を思うのか。(聞き手=成吉葵)
――今季を振り返った時の自身の投球
あんまり良かったって感覚とかこれ!って投球はなかったんですけど、春からカーブを使い始めていい感じにハマって手ごたえがありましたし、状態としても最高ではないですが絶不調がなかったですね
――今季5勝0敗、防御率0.82、最高殊勲選手賞、最優秀選手賞、ベストナインなどタイトルもたくさん
最初の2つに関しては、自分自身でも多少こだわりがあるというか、自分の投球のすべてなので。このように結果に繋がって良かったです。残りはチームとしていい雰囲気で試合ができて、その中で自分についてきた結果、ほかの人から見てもらった記録なのでチームも勝てて、良い風に見ていただけたので良かったですね。
――最上級生として臨んだ春
昨年の入れ替え戦、負けた時も春で一年越しのリベンジじゃないですけど、そのような思いもありました。あと、今回上がらないと僕たち1部でプレーできないので。そこは水谷(営4=龍谷大平安)と一緒でこの春じゃなきゃダメって気持ちを持ってましたね。
――「エース」という言葉が聞かれました
そうですね。たくさん言われましたが、その中で自分の中で意識というか責任というか、目に見えない部分は今まで以上に成長したのかなって思います。
――今季、チームのテーマの1つに「細野登板時に負けない」が共通認識としてあったとほかの選手たちから多く聞きました
自分で言うのも難しいんですけど信頼されてるというか、こういう期待も自分自身をエースに育ててくれたのかなって思います。それに野手が最後の方は多く点を取ってくれてたし、僕の実力だけじゃなくて、チームとしてプレーできた結果なのかなって思います。
――今季、一番印象に残っている試合
全部印象的というか、今季はそれぞれが全く違うシチュエーションで投げたので難しいですが、特に強いのは延長の末に勝利した開幕戦ですかね。
――やはり、タイブレークというのがイメージ強いですか
それはありますね。今まで延長まで投げる経験とかなかったんですけど、実際投げてみた時にあんまり疲れなく投げれましたし、春先でも感覚が悪くなくて印象的でした。
――序盤は少し援護が少なかった。完封した国士大1回戦について投手として意識したこと
あの試合、状態だけで言ったらあまりいい状態ではなかったです。あの日がさっき言ったカーブを多く投げた試合で、うまくハマったのかなって思います。援護に関しては、0-0の方が緊張感があるのは事実でその中で丁寧に投げられましたし、野手陣と助け合いというか、0点ならこっちも0で抑えようって感じです。
――今季、後藤捕手とバッテリー間で意識したこと
個人だけじゃなくて投手陣として点を取られても最少失点ってことは徹底していて、個人としてはインコースの使い方ですかね。
――今季、入れ替え戦に向けてリーグ戦から徐々にギアを上げていったとおっしゃっていました。毎試合の中で何か変えたことなどはありましたか
基本的な部分は変えてなくて、相手との相性とかデータによって投げてましたが、投げてる球の質自体は変わっていったのかなって思いますね。
――入れ替え戦までの1ヶ月間はどのように過ごしてましたか
代表合宿もあったので、そこで投げるまでは筋力維持しながら疲労回復に努めて、代表合宿で投げて、その勢いで入れ替え戦まで投げ抜いたって感じです。
――昨年の入れ替え戦は体調やメンタルなど様々な面で不安定だと振り返っていましたが、今年はいかがでしたか
今年は大丈夫でした。昨年は本当に反省というか、ベストじゃなくて悔しかったので今年は意識してました。
――昨年は入れ替え戦前に不安を口にしていました。今年はいかがでしたか
今年もありました。1戦目取れなきゃダメってチームで話をしていて大事なのはわかってるのでやっぱり任される身としては不安がありましたね。けど、不安あった方が1球1球を丁寧に投げられる気もしますし良かったのかもしれない。
――初戦、1点先制されるもすぐさま逆転。この流れについて
自分の状態とは別に少し指と球が絡まずにピンチを招いてしまったんですが、失点については取られ方も悪くなくて深刻に捉えてなかったし、最少失点で抑えられて良かったです。得点については、みんなの状態とか知ってたし実際に見て取ってくれると思っていたので、僕としてはもう一切心配なく。これ以上失点しないって意識に切り替えました。
――状態という話もありましたが、状態は良かったですか
入れ替え戦に向けて状態を上げていたし合宿もあって体はできていた。状態としては良い方でしたね。
――185球完投勝利、これは何か思いがありましたか。また自身でそのように評価されますか
初戦ですし、先発、エースとしての責任というもの自体は自分の中にありましたが、185球も投げるなんて絶対いい事ではないです。自分にとってなにかプラスになるかと言ったらならない。こういう試合を秋はしちゃいけないし、長いイニングを球数抑えて投げることが大事なのでそのような投球を求めていきたいです。
――前質問の思いや評価を無視した時、185球を実際に投げてみていかがでしたか
「あ、こんなに投げられるんだ」っていうのが率直な感想です。いつもよりかは疲労はあったけど、すごい疲労が残るわけでもない。最後まで球も勢いはあったので。
――後藤捕手が「投手陣が入れ替え戦では別人だった」という評価をされていました。それについてはいかがでしたか
僕は入れ替え戦自体が3回目で登板数は4回目なので、場馴れというか特に意識してとかはなかったと思うんですけど、野澤(総4=龍谷大平安)と島田(総2=木更津総合)に関してはそれぞれ思いだろうし、見てても別人でしたね。
――野澤さんについては同級生として意識する部分があると以前おっしゃっていましたが、ライバルの好投について
オープン戦とかでずっと抑えてたけど、天候とか様々なことの兼ね合いで今季も少し難しい中で投げていた。そんな中で大舞台で好投して、いろんな人に見てもらえたのは本当にこちらもうれしいですし、1部に上がれたのは野澤のおかげなので。よかったです。ありがとう
――今季、様々な場面を経験して得た収穫
投げる球とか変化をコントロールしてカウントの取り方が昨年よりも楽になったし、打者目線で考えた投球ができたのかなって思います。
――課題は
対左への投球ですかね。フルカウントとか、2ボール2ストライクとかに追い込んでるけど決めきれないことが多い。ここは反省だし、カットボールとかスライダーの使い方を考えなきゃなって思います。
――最後に一言
1部でも2部でもやることは変わらず。目の前の1戦1戦に全力で挑めばおのずと結果はついてくるので、その結果を常に求めていきます。今季はありがとうございました。秋もよろしくお願いします。
◇プロフィール◇
細野晴希(ほその・はるき)
生年月日/2002・2・26
身長・体重/181㌢・86㌔
2023年上半期の思い出/なんもない日とか普段の夜とかは山路(営3=天理)と阿萬田(営4=津田学園)とずっといたイメージしかないですね。
マイブーム/大乱闘スマッシュブラザーズ一択ですね。ブーム越えてなきゃいけない存在になってるんですよ最近。
♢13日間連続インタビュー♢
♢特別企画♢
♢インタビュー♢
細野晴希 投手