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『覚悟~奪還~』という強いスローガンをもとに、2部優勝、そして悲願の一部昇格を決めた東洋大の戦士たち。最後まで諦めない姿勢で挑戦を続け、東都の頂点への切符を掴んだ。彼らはどのようにして試練を乗り越え、一部昇格という栄光を手にしたのか、その裏側に迫ります。12日間にわたり総勢24名の豪華インタビューをお届けする。
連続インタビュー投稿最終日。1人目は、岸新太郎(国4=北海)主務。投手として入部し、マネージャー転向を経て主務に就任したこの4年間を振り返るとともに、『支え抜いた』チームへの思いを語ってもらった。(取材日・12月7日、聞き手=一ノ瀬志織)
――1部復帰を決めた秋シーズン、チームとして振り返って
2年生の活躍が見られて、全体的にレベルアップができた秋のシーズンかなと思います。1戦目に4年生のピッチャーを使わずに大坪(総2=智辯学園)が先発して最後島田(総3=木更津総合)で勝った試合なども、来年の野球部を支えてくれる人たちがしっかり活躍できていたので、来年以降も頑張ってもらいたいなと思います。
――一番印象に残っている試合
駒大戦の最後優勝した時の、ホームランを打たれて最後1-3の2点差まで行かれたんですけど、池田(営3=三重)と花田(総3=大阪桐蔭)がホームランを打って追いついたところで、やっぱりチームとしての底力が、春だとあそこはそのまま負けてしまった流れだと思うんですけど、秋チーム一丸となってやってきたことが発揮できたので本当に印象に残っています。
――改めて駒大との最終戦、9回の2本の本塁打で追いついた時の心境は
正直言うと「引退」の2文字はずっと頭に浮かんでいて、まず回ってくる時にスコアを書いていて、池田と花田に回ってくるということで、拓大戦でも2人ともホームランを打って追いついてますし、本当に何かしてくれるんじゃないかなっていうちょっと期待もあって、花田がホームランを打った時は本当に、、、言葉にできないんですけど、本当に感情がたかぶったというか本当にうれしかったっていうか、ここからだっていう気持ちがさらに芽生えてきた場面です。
ーー同点になった後、タイブレークでの守りを見て
まずうちのピッチャーは良いので、きれいにヒットを打たれることが元々そんなにないんですけど、やっぱり前進守備ということもあって間に落ちるフライだったり、政所(営3=天理)も後ろ逸らしてないんですけど、逸らす可能性があったりなどして、ちょっと心配な部分はあったんですけど、その一條(総4=常総学院)の調子を見ていると前には飛ばないかなって思っていたので、とりあえず後ろに逸さなければ、点は入らないかなとは思っていました。
――サヨナラ勝ちで2部優勝を飾り入れ替え戦への切符をつかんだ時の心境
タイブレークにもともとすごく弱くて、東洋大学自体が、勝負弱いとずっと言われてきたところで、最後本当は花田の前で決めなければいけなかったところで決まらなくて、花田までまわってきて最後打ってくれたので、4年生の力というよりは本当にチーム一丸となって、勝てた試合ですごくうれしかったです。
――昨秋、サヨナラ負けで涙を飲んだ入れ替え戦、どんな思いで臨んだか
去年の秋(駒大との昨秋入れ替え戦)、すごい先輩たちがいて、それでも負けてしまって、二回戦、引き分けになった試合も点差開いたところから追いつかれて引き分けまでいかれたんですけど、(今回は)最終戦初回8点とってベンチの中でもこっから追いつかれた前例があるんだからと気を引き締めていこうって形で、相手どうこうより自分たちの野球をしっかりやっていこうという気持ちで向かいました。
ーー主将、嶋村(法4=栄北)選手の本塁打は
嶋村と最初ベンチで代打で行くって決まった時、後輩たちが本当に点差を開けてくれて、ここ(ホームランを)狙わない以外にないぞとは声かけて。2人で「狙ってこいよ」って会話はしてて「狙ってくるよ」って言って本当に打ったのはすごいなって一言なんですけど、やっぱり一番印象に残っているのは代打で出てきただけでスタンドがすごい応援だったり、ホームランを打った後に監督の井上さんが嶋村と握手してる姿を見たり、ベンチの中に居たのが自分と嶋村とランナーコーチの中井(営4=花咲徳栄)だったんですけど、ピッチャー交代のタイミングで中井がグラウンドからベンチの中に来て嶋村とハイタッチをしてるのを見たら、「頑張ってきてよかったんだな」って、いろいろ苦労が一番あったキャプテンだと思うんですけど、頑張ってきたのがやっぱり実ったんだなってふうに思ってうれしかったですね。
――改めて、1部昇格が決まったあの瞬間は
点差もあって、監督の方から、うれしいけど東農大さんのことを考えて(マウンドに)集まるのはやめようっていうことをちょっと話していたんですけど、やっぱりうれしいってよりもここがやっとスタートラインだって思っているので。自分たちは終わってしまうんですけど、後輩たちにすごい選手がいっぱいいるので、ここからが勝負という形で。強い大学さんがずっと(1部に)残っているのでそこに食らいついていってほしいなって思います。
――「戦国東都」で過ごした4年間を改めて振り返って感じることは
元々選手として入ってきたのもあって、やっぱりレベルの高さっていうのを一番感じましたし、大学一つ一つに個性っていうものがあって、入れ替え戦が自分たち7回中5回行くっていう、強かったのか弱かったのかよく分からなかったチームなんですけど、そこは本当に色々な意味ですごく楽しかった4年間かなっていうふうには思います。
ーー投手入学からマネージャーになられて、時期や心境は
まず本当に「投手として勝負したい」って気持ちで大学に入ってきたんですけど、やっぱり同級生にすごいピッチャーたちが居て、自分の2年のシーズンが終わった後、3年のシーズンが始まる前11月くらいに井上監督に代わるタイミングで、マネージャーになってくれないかということで声をかけて頂いたんですけど、その時すごく悩んで、当時お世話になった母校の先生とかにもいろいろ話していたりしたんですけど、やっぱり自分がやりたい道っていうのをやった方がいいってことだったので、チームのためになるならっていう気持ちでマネージャー転向の方に行きました。
――マネージャーとしてベンチ入りするようになってから意識していたことや感じたこと
元々ピッチャーっていうのもあって、ピッチャーの調子だったり相手のバッターの観察などを元々2年生までしていたので、気づいたことをベンチの中で伝えたり、自分が初めてマネージャーになった時が上が福原さんが主務で、色々教えて頂いていたので、その福原さんがやっていたことをそのままやればいいって気持ちで入っていました。
――マネージャー業で大変だったこと
一番大変だったこと、、、お弁当とかを頼んだ時に選手たちの中になんでこの弁当なんだって言うのが一定数いるので、、そこがちょっと、、。違うのにしてうれしがる人がいれば、また違う人が言ってくるって感じなので。あとは、社会に出て役立つ経験がいっぱいできたと本当に思うので、何も分からない状態からしっかり教えてくださった方たちにも福原さんにも本当に感謝したいなって思います。
――主務として過ごしたこの1年を振り返って(苦労や喜びなど)
まずマネージャーを1年間しかやってない中で、主務ということで分からないこともいろいろあったんですけど、同じマネージャーが同級生に2人いるんですけど、本当に助けてもらったりいろいろ迷惑をかけながらできたのかなって自分で思うくらいいろいろあった1年だったんですけど、自分たちの代で最後に(1部に)上がれたのが本当にうれしかったですし、4年生が少ない中でも、ちゃんと存在感出した4年生たちが居たので、振り返ればあっという間だったなって1年でした。
――東洋大学に入ってよかったと思うこと
本当にレベルが高いところで切磋琢磨、自分で甘えるところが無かったので、チームメイトみんながよかったかなと思います。先輩後輩にも恵まれましたし。
ーー岸さんが思う今年のチームとはどんなチーム
元々自分たちの力を出せば、春も優勝できたのかなって思う部分がスコア書く中であったり、スコアを書くとチャンスで打てないのがすごい見えてて、チャンスで打てない、どういうバッティングをするのかが一番良いかがこの1年の課題でした。でも、今年のチームは本当に仲が良くてピッチャー、バッター関係なしに本当に仲が良かったのでチーム一丸となって、秋はピッチャーが調子悪い時はバッターが打つ、バッターが調子悪い時はピッチャーが抑えるって形で助け合いながらできたチームかなと思います。
――試合中隣にいらっしゃった井上監督へ
最初はコーチで、元々ピッチャーだったのであまり関わりっていうのが挨拶だったり話したりする程度だったので、指導っていうのはあまり受けてなかったんですけど、自分がピッチャーからマネージャーになって井上さんから指導を受けることは全てごもっともで、自分が足りなかったところが多かったなっていうふうに今マネージャーが終わって色々感じでいるんですけど、社会人にこれからなる上で一つ一つ井上さんのご指導が身になっているなって感じるので、ありがたいなと思います。
――4年間を共に過ごした同期へ
入ってきた時は結構人数も居て、最初「自分たち最強だ」みたいな形で入って、結果終わってみればこんな形なんですけど、4年間を振り返って本当にこのメンバーで良かったなって思うことがいっぱいあって、最後嶋村が打った場面でも全員で声出して応援できたり、池田花田のホームランで同点に追いついた時もしっかりみなで応援できてるってるいうのが自分の代の色かなって。本当に4年間楽しかったなって伝えたいですかね。
中央:岸
――後輩たちへ
スタメンは野手全員残ってるんですけど、まだ確実性とかを残してる選手は少なくて、来年入ってくる1年生たちも結構良いって聞いているので、しっかりそこの競争意識を持って、すぐ優勝できる力は残っていると思うので頑張ってもらいたいなと思います。
――応援してくださった方々へのメッセージ
父母会の保護者の方だったり、OBの方だったり球場に足を運んでくれるファンの方たちの声援だったりは本当に力になってると思いますし、用具の寄付などもしてくださって、チームとして本当にすごくありがたい部分が多かったのでこれからも後輩たちのことを応援よろしくお願いいたしますって思います。
ーーこれからに向けて
上下関係の礼儀だったり、この野球人生を通じて、小中高大続けてきて身についたものがいっぱいありますし、マネージャーをやることでパソコン作業だったり、アポイント件だったりとか、成長させてもらう点が多かったので、やってきたことで生かせないことはないなと思うので、しっかり自分自身の仕事を全うしてやっていきたいなと思います。
◇プロフィール質問◇
岸新太郎(きし・しんたろう)
鶴ヶ島のおすすめスポット/ 鶴ヶ島駅の周辺(色々あって便利)
大学4年間で一番の思い出/野球で言うと最後入替戦で勝って1部に上がれたこと。私生活では学部が野球部でひとりなので同じ学部の友達とご飯に行ったりするのが楽しかったです。野球部と違う友達ができたのが良かった
◇連続インタビュー一覧◇
PHOTO=一ノ瀬志織、山本華子